「身の丈」経営,「身の程」人生

身の丈,身の程を知って生きる・・・・・

日航再上場にからむ疑念-稲盛氏はなんとするのか?

2012-09-24 00:25:05 | 「身の丈」経営

 JALのV字回復で「カリスマ経営者・稲盛和夫氏の下での再生」,「アメーバ経営のたまもの」と,その経営手腕が賞賛される一方で,東京新聞(8月7日付),「週刊文春」(文藝春秋/8月9日号)をきっかけに,第三者割当増資による株式取得に関する疑念も出ている。

 それは,JALの稲盛名誉会長が同じく名誉会長にある京セラに関するものである。京セラ,再上場の主幹事を務める大和証券グループ本社など8社は,JALの会社更生手続きが終了する直前の2011年3月15日,第三者割当増資により合計635万株を取得したが,「これはインサイダー取引ではないか?」というものだ。
 JALは3月時点では非上場会社であるため,厳密には違法ではない。しかし,この取引が“目前に控えた上場を見越して”行われたものであるとすれば,問題視されてしかるべき行為というわけである。

 第三者割当増資による株式取得額は,1株当たり2000円あった。対して,JAL株の9月19日の東京証券取引所第1部再上場に伴う初値は売り出し価格(3790円)を20円上回る(3810円)だった。結果として,250万株を取得した京セラは,上場すれば約95億円相当のJAL株を,その半額の50億円で手に入た,ということになる。

*日航が関東財務局に提出した有価証券届出書によると,京セラなど8社は,日航の更生計画が終了する直前の昨年3月15日に,国が保有する日航株と同額の1株あたり2000円で合計127億円を出資した。京セラは,再上場の主幹事を務める大和証券グループ本社(東京都)とならんで50億円出し,250万株を購入した。

◆日本発の管理会計理論--アメーバ経営
 2010年に京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が日本航空の会長に就任して以来、その経営手腕に世間の関心が高まっている。

 稲盛氏が京セラの創業間もない時期から開発してきた管理会計の仕組みが「アメーバ経営」だ。本書『アメーバ経営学―理論と実証 』ではアメーバ経営学に関する8本の研究論文を掲載し、アメーバ経営を考察している。

 アメーバ経営は「機能ごとに小集団部門別採算制度を活用して、すべての組織構成員が経営に参画するプロセス」と定義されている。小集団同士が社内で取引を繰り返し、付加価値の合計を最終価格とする。従って社内で利害の対立が起こった時、声が大きい小集団のリーダーが無理に自分の利を通そうとすることが起こりがちだ。

 京セラ創業期に「若手の反乱」が起こったエピソードに立ち返り、その際に稲盛氏が「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」という経営理念を定めたことに言及。アメーバ経営が大家族主義や運命共同体という意識に立脚していると指摘する。
 管理会計という合理的なシステムと、家族主義などの「非合理的」な思想の融合が理解できる。   

アメーバ経営学―理論と実証
 
KCCSマネジメントコンサルティング

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「地域ブランド調査2012... | トップ | 安愚楽牧場のその後 -詐欺... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

「身の丈」経営」カテゴリの最新記事