去年のリーグ戦第15節は雨中であった。
7月9日、埼玉スタジアム2002、対戦相手は浦和レッドダイヤモンズ。
埼玉ダービー初戦(注)のアウェーゲームである。
注)リーグ戦として。同年、浦和レッズとはこの試合までにナビスコ杯で2戦し、2連敗を喫している。
その日の17時、私はさいたま新都心駅にいた。
駅には多くの人がいたが、そのほとんどは通勤客かあるいは買い物客で、サッカーに関心がありそうな人の姿は見あたらなかった。
上り電車に乗る。
車内に数人の赤いユニフォーム。
与野駅に停車。
一般客が降り、何人かの赤い人々が乗車。
車中の赤色は、北浦和駅、浦和駅と進むにつれて確実にその面積を増して行く。
そして、南浦和駅でそのすべてが吐き出され、まるで赤い糸の様に階段を登る。
私も、その調和を、オレンジ色で乱しながら進む。
少し、周りを気にしながら...
東川口駅に到着すると、赤色の勢いはさらに増し、埼玉高速鉄道の地下駅へ流れ込む。
異邦人は遠くに目をやり、同胞を探す。
18時、終点の浦和美園。
雨は降り止まない。
人々の流れはまるで血流の如く、一本道を移動していく。
そして何人かの異物が、それに紛れて進むのが見えた。
私も、直通バスを見て一瞬躊躇したものの、決心して歩き出す。
そしてスタジアム。
まるで鼓動する心臓。
そして、吸い込まれていく血球。
異物は心臓に入る直前で濾過され、アウェーゴール裏に集められた。
私は、ここだけが安心を許された場所と知った。
19時、試合開始。
5万人の、巨大な拍動の中、あらんかぎりの声を出した。
飲み込まれるのを懸命に拒否するように...
二つの熱狂と一つの落胆、その後の長い我慢の末、歓喜はアルディージャにもたらされた。
21時、まだ雨は降り続く。
私は何かを捨て、何か得たような気がした。
そして帰る道すがら、来年も必ずここに来ると誓った。
その日が、もうすぐ、やってくる。
7月9日、埼玉スタジアム2002、対戦相手は浦和レッドダイヤモンズ。
埼玉ダービー初戦(注)のアウェーゲームである。
注)リーグ戦として。同年、浦和レッズとはこの試合までにナビスコ杯で2戦し、2連敗を喫している。
その日の17時、私はさいたま新都心駅にいた。
駅には多くの人がいたが、そのほとんどは通勤客かあるいは買い物客で、サッカーに関心がありそうな人の姿は見あたらなかった。
上り電車に乗る。
車内に数人の赤いユニフォーム。
与野駅に停車。
一般客が降り、何人かの赤い人々が乗車。
車中の赤色は、北浦和駅、浦和駅と進むにつれて確実にその面積を増して行く。
そして、南浦和駅でそのすべてが吐き出され、まるで赤い糸の様に階段を登る。
私も、その調和を、オレンジ色で乱しながら進む。
少し、周りを気にしながら...
東川口駅に到着すると、赤色の勢いはさらに増し、埼玉高速鉄道の地下駅へ流れ込む。
異邦人は遠くに目をやり、同胞を探す。
18時、終点の浦和美園。
雨は降り止まない。
人々の流れはまるで血流の如く、一本道を移動していく。
そして何人かの異物が、それに紛れて進むのが見えた。
私も、直通バスを見て一瞬躊躇したものの、決心して歩き出す。
そしてスタジアム。
まるで鼓動する心臓。
そして、吸い込まれていく血球。
異物は心臓に入る直前で濾過され、アウェーゴール裏に集められた。
私は、ここだけが安心を許された場所と知った。
19時、試合開始。
5万人の、巨大な拍動の中、あらんかぎりの声を出した。
飲み込まれるのを懸命に拒否するように...
二つの熱狂と一つの落胆、その後の長い我慢の末、歓喜はアルディージャにもたらされた。
21時、まだ雨は降り続く。
私は何かを捨て、何か得たような気がした。
そして帰る道すがら、来年も必ずここに来ると誓った。
その日が、もうすぐ、やってくる。