なんとなく更新
スケートの話題はまあおいとく
相変わらず、テレビやニュースを見ながらドキドキと楽しんではいるけれど
今日は、私事です
こんな雑事で更新なんて久しぶりだな
昨日、ペットコーナーでウサギを飼いたがってお母さんにねだる女の子を見た
「ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ」
「すごく繊細で弱い生き物なの」
「だから我慢しようね、ちゃんと世話できないでしょ」
そんなようなことを言っててその子を連れてペットコーナーから離れたお母さん
その子が見てたウサギを見ながら、おいらは久しぶりに泣きそうになった
その昔おいらはウサギを飼っていたことがある
「ミニウサギ」という何とも怪しげなネーミングのやつ
あとでペット系の学校に行ってた友達に聞くと、つまるところ体の小さな雑種らしい
当時まだ小学校に上がる前だったおいらは、かーちゃんと原宿に買い物に行って
そこでとんでもないものを見た
リヤカーにたくさんの小さいウサギをのせて引いているおっさん
今思うと恰好もかなり怪しげなそのおっさんはヤキイモでも売るみたいな顔してウサギを売っていた
お祭りの縁日で売ってるカラーヒヨコみたいなあの雰囲気を想像してもらえるといい
おいらはもう目が離せなかった
かわいい・・・
か わ い い 。゜+.(・∀・)゜+.゜
白、黒、茶色の子ウサギたちが緑色の人工芝のシートを敷かれたリヤカーの中で
もそもそと動き回っていた
おっさんはニヤリと笑って金歯を見せると
リヤカーの中を覗こうと背伸びするおいらを持ち上げてくれてウサギを触らせてくれた
「かわいいだろ」
「こいつは大きくならないんだ」
「餌も沢山はいらないから楽だぞ」
「欲しいか、ボウズ」
そんなこと言ってたような気がするけどおいらはもうウサギに夢中だった
隣でまだ若かったカーチャンは困ったような顔して笑ってた
ほしい、とおいらがカーチャンを振り返るとカーチャンはもっと困ったような顔した
当然だ
もし今おいらに息子がいて、そいつがリヤカーに乗せられたウサギを欲しいって言い出したらどう思うか
「たぶん、このウサギはすぐに死んじゃうよ」なんて子供には言えない
こんな怪しげなおっさんから買うくらいならちゃんとしたペットショップで買ってやりたい
だいたいたぶん、商売の許可なんかとっちゃいないだろう
そんなこと考えるんだろう
でも、カーチャンが困った顔した理由はそれだけじゃなかったんだと思う
おいらがカーチャンに何かをねだったことなんて皆無だったから
欲しいものがあっても口に出す子供じゃなかった
買ってやると言われても断るような子供だった
どうしてかはよく覚えてないけど、お金ってすげえ大事なものなんだと思ってたから
未だに結構、そういうタイプかも
そんなおいらが欲しいと言った
カーチャンは、寒い中、ずいぶん考えていた
そう、あれは冬だった
おっさんはニヤニヤしながら、
(本当はニコニコだったかもしれない、子供のおいらにはなんだか怖かった)
ポケットに手をつっこんで時々子ウサギ同士がじゃれてもみくちゃになったりするのを
放してやったり、小さく切ったリンゴをやったりしておいらとカーチャンが決めるのを待ってた
おいらはカーチャンが考えるということはNOだと思った
だからもう心の中ではほとんど諦めていて、
それでも、「もしも飼うんならこの茶色のコイツがいい」と
真ん中らへんにいて口をもごもごさせているきかなそうな眼をしているやつをじっと見ていた
おいらの感覚だと、ずいぶんたった後、おっさんは「安くしとくよ」と言った
そんなことを言いだす時点で、カーチャンの考えていただろうことは大体当たっていたんだろうけど
カーチャンは財布を取り出した
おいらはびっくりした
びっくりしすぎて、まずい、と思った
カーチャンがこんなに考えて迷って、そしてお金を払おうとしている
これはきっとすごく高いんだ
だってこんなに欲しいんだもん
おいらが払わなくちゃ!と思った
お金を払おうとするカーチャンをおいらは止めた
そして言った
「おじさん、出世払いだ!」
ちょwwwwwwwww
今思い出してもなんでそんなこと言ったのかも分からないw
つーかよくその言葉知ってたなww
おっさんもカーチャンもすげー笑ってた
声出して笑われた
なんで笑われるのかも分からんけど真剣においらは言った
「おねがい!おじさん」
おっさんは「いいよ」と言って、またニヤリとして金歯を見せた
カーチャンはなにか、「いいえ、払います」とかそんなようなことを言ってた気もするけど
おいらはもう、やった!やってやった!とでかい仕事をやりきったような気分でドキドキしていた
「いいからいいから」とか言いながらおっさんは、ささっと白いウサギを手に取った
「ちがう、おじさん、その茶色がいいんだ!」とおいらは言った
タダでくれてやるんだ、その代わりに一番元気のない奴を、という考えだったのだろう
でもおいらは茶色のそいつを指差した
おっさんは一瞬躊躇したようだったけど、おいらに茶色のそいつを抱かせてくれた
小学生にもなってないおいらの小さかっただろう両手にそいつはすっぽり収まった
世話の仕方と、箱とかそういうのをくれて、おっさんは「大事にしろよ」と言った
おいらはおっさんの目を見てしっかりうなづいた
約束する時はちゃんと相手の目を見ろ、ととーちゃんがいつも言ってるから
お礼を言って、ちゃんと大事にする、約束するよと言った
大人になったらちゃんと払いに来るからここにいてよ、と
家に帰る電車の中でおいらはずっと箱に覆いかぶさっていた
ウサギは耳がいいらしいから、きっと電車の音がすごく怖いだろうと思って
それからピーターラビットの絵本が大好きだったおいらはピーターから
ピーちゃんという何ともセンスのない鳥みたいな名前をそいつにつけて可愛がった
「大きくならない」わけはなく、ぐんぐんとたくましくなるピーちゃんの世話をものすごく頑張った
鈴のついた小さな首輪をつけたピーちゃんが跳ねるたびにしゃんしゃんと音がして
めちゃくちゃかわいかった
呼べばちゃんと付いてきたし、いたずらもせずいい子だった
おいらは本当にピーちゃんを大切にしていたし、
世話をしなさいなんてカーチャンから言われたことは一度もなかった
動物園のドキュメンタリーみたいなのがテレビでやっていて
「フンを見て体調をチェックする」という飼育員のシーンを見て、なるほどと思ったおいらは
ピーちゃんのコロコロしたうんこのひとつひとつまで毎日つぶさに観察していたくらいだ
それから半そでを着て海に行って日焼けをするような季節になって、
キャンプに行くことになったおいらは、初めてピーちゃんと離れた
ちょっと心配だったけど、おいらはバーちゃんにピーちゃんを預けた
「世話はこうするんだよ」
「夜はこうしてやって」
うるさいくらいにバーちゃんに頼んで、おいらはキャンプに出掛けた
そして帰ってきて、ピーちゃんが死んでしまったことをバーちゃんから申し訳なさそうに伝えられた
バーちゃんはつらそうな顔をして何度も謝った
おいらが出かけた日から見る見る元気がなくなったのだと
バーちゃんのせいだとか世話を失敗したのだとかは考えつきもしなかった
世界で一番信頼し、尊敬しているバーちゃんだったし、
バーちゃんは人に嘘をついたことがないとよく知っていたから
おいらのせいでピーちゃんは死んだと思った
キャンプなんか行くんじゃなかったと、キャンプ中に川で泳いだこととか釣りをしたこととか
カブトムシを捕ったこととかスイカ割をしたことまで全部しなきゃよかったと思った
それからおいらは「ピ」と聞くだけで泣いていた
そんな状態が何週間も続いた
あとで、「ピーマン」とか「ピンク」とかも言えなかったからものすごく気を使ったとカーチャンは言っていた
冬のコートを着せられて買い物に行った日にピーちゃんに会って、
キャプへ行く季節になったんだから、ずいぶんとカーチャンとおっさんの予想をいい意味で裏切ったのだろう
カラーヒヨコがニワトリになった話なんて聞いたことがないから、
ピーちゃんはとてもよかった方なのだろう
そういえば小学校のウサギ小屋が苦手だったのはピーちゃんのこともあったかもしれない
それからずいぶん大きくなって、10歳くらいだったか、流行っていたドラマで某のりPが
「うさぎは寂しいと死ぬ」と言ったのを聞いて、おいらは頭が真っ白になるくらいの衝撃を受けた
もうとっくの昔の小さい頃の苦い白黒の思い出になっていたおいらのピーちゃんの姿がカラーになって蘇った
そうか、さびしかったんだ
毎日一緒にいたのに、キャンプなんて行ったからだ
ものすごい後悔がまた蘇ってきた
あれはあとで作り話で、そりゃもちろん世話されなかったり
可愛がってもらえなかったりすれば犬や猫だってストレスがたまるように
ウサギだってちょっとは元気がなくなるかもしれない、という程度の話だと知っても嫌だった
トラウマになりそうなくらい嫌だった
昨日、ペットコーナーでウサギを欲しがる子をみたときなんか懐かしい気持だった
カーチャンは結婚したのも若かったから、あの時のカーチャンは今のおいらの年齢とそう変わらなったはず
ウサギをねだっていた女の子はもう小学校の高学年くらいかな、という感じだったけど
おいらもこんな感じだったのかな~なんて思っていたらその子のお母さんが
「ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ」と言った
ドキっとして、「そんなの嘘だから、子供に言わないであげてくれよ」と心の中で反論をした
だってたとえばもし、その女の子がウサギを飼ってもらえて、
いつかそのウサギが長生きの末しあわせな大往生を遂げたとしても
きっと女の子の心にその台詞は刺さると思うんだ
ずっと気にしてしまうと思うんだ
のりPめ、と矛先の間違った苦々しい気持を抱く程度においらはそれを抱え続けているからw
あのドラマはきらいだ
その言葉を信じ込ませて、独り歩きさせるくらいまでにした脚本家はすげえなと思いながら
やっぱりウサギって~と聞くたびに、ちぇっと思うんだ
罪悪感と後悔と一緒に
もしもいつか自分の子が、「飼って」と動物をねだってきたら
「大事にしろよ」とだけ言おう
あの時のおっさんみたいに
男と男の約束はそれだけで十分だ
女と男でも変わらないか
下手に、「世話しないと死んじゃうんだからね」とか
「ちゃんと散歩に行くのよ」とか
生き物がいかに大事か、ってことは多分言わないでいい
子供ってものすごく分かってるからね
今の子は~、とか言うけど、きっと分かってるからね
そういやあ、あのおっさんはどうしてるんだろうな
おっさん、おいら、社会人になったぜ
約束忘れてないよ
どうやって払えばいいか、分からないし、おっさんはきっと忘れてるだろうけど
社会人になってるだけで、出世はしてねえけどさw
もしも会ったら、今でもどっかでリヤカーを引いているんなら、
おっさん、出世払いと、大事にしろとだけ言ってウサギを託してくれたことのお礼をさせてくれ
さて、犬の散歩に行くか
雨だからくさくなるだろうな
帰ってきたら風呂にも入れてやるか