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you are my sunshine

40代でblog始めてあらもう60代。
光陰矢の如し。年が明けたらあっという間に年の暮れ。

「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」気になる食べた後

2025-02-23 | 
話題のエッセイ本らしい。
鈴木保奈美さんの本の番組で紹介されていた。

作者の小原晩さんもゲストでいらしていた。
仕事をサボってビルとビルの隙間で唐揚げ弁当を時々?食べていたら、ある日タイトルの張り紙があったという内容。

それを聞いて、ある疑問が。

実はわたしも、似たようなことをしていた。
前職は午後13時から勤務開始だった。
その前にコンビニでおにぎりを2個買うと、車でもないのにコンビニ横にあるショッピングセンターの立体駐車場に入る。
おもむろにおにぎりのフィルムをはがす。
通りからは全く見えないのだけど入るとすぐ左側に、幅2メートルくらいのその駐車場の建物と隣のマンションの隙間があり、公園までの抜け道になっていた。
公園の隣が職場。
公園の方からは植え込みの繁った草木の間のわずかな隙間から入るので、これまたわかりづらい。
(雨の日は、舗装されてないからぬかるむし、草木の間を一瞬ではあるがすり抜ける時に服が濡れるので通らない)
だからなのかひととすれ違ったことはほとんどなかった。
マンションの窓からは丸見えだろうけど、こちらからは見ようとも思わないので気にもならない。
こっそり食いするのに最適な場所。
そこでおにぎりを完食するのが、小腹が空いた日の定番コースだった。

食べた後のおにぎりのフィルムは、職場のゴミ箱に捨てていた。
他にも利用しているひとがいるようで、食べ終わったカップラーメンやお弁当の容器、パンの袋、ペットボトルなどがそのまま置かれているのをよく見かけた。
お菓子の袋くらいは拾って一緒に捨てていたが、他のは見て見ぬふり。
放置されたゴミはマンション側ではなく必ず駐車場側に置かれていた。
ただいつの間にか綺麗になくなっているので、ショッピングセンターのかたが見回って片付けていたのだろうと想像する。


で、から揚げ弁当。
彼女は仕事をサボってこっそり食べていたと言っていた。
食べた後のゴミはどうしていたのだろう。

気になって書店でそこだけ立ち読みしてみた。
食べた後のゴミについては書かれていなかった。

隙間で食べるだけで、張り紙までやるだろうか。
しかもあえて『唐揚げ弁当』とまで指定。

作者さん、ゴミはちゃんと持ち帰っていたのだろうか。
そこが気になってしかたない。


わたしの歩き食い定番





とくに鶏五目。
大好きです。

今日の人生 益田ミリ

2025-01-31 | 
健診の帰り、BOOK・OFFに寄り道。
読書会の課題本探しに。
無事にみつけ購入。

支払いをしようとレジに向かっていたら、レジの手前にお買い得本のラックが。
チラッと目をやると益田ミリさんの本。
550円。
朝からなにも食べてなくて、お茶するつもりだったので、そのお供に。

無職でお金ないくせに、本は迷わない。

カフェに入り、珈琲とパンふたつをトレイに載せて、座り心地のよさそうなソファを選んで着席。
ではとページを開く。

はじまりから衝撃。

ミリさんが大人になって帰省中のこと。
ささいなことからミリさんとお父さんがケンカ。
怒ったお父さんは、自分の湯のみをタンスに投げて割ったと。
(その行動は)ワンパターンで慣れていると。

慣れてるってことは小さい頃からよくある光景なんだろうか。
ミリさん、やれやれまたかって、動じない書きっぷり。
ふと思いついてミリさんもマグカップや桃を投げてみたって話。

シンプルな文章と優しげなイラスト、クスッとするオチもついて、内容をかなり薄めているが、普段から怒ると湯のみを投げる父親は、娘としては精神的になかなかきつくないか。

いくつか読んだミリさんの本から抱いていたほんわかした勝手なイメージ。
気性の激しいお父さんは意外だった。


最後のページ。

ふいに胸がいっぱいになり、
こみあげてくる涙をこらえるために
深呼吸をくりかえす、

父が82才でこの世を去って一ヵ月。

コロッケを買ったり、焼きいもをみたりして、
ふいにお父さん好きだったな、もう食べられないんだと思い、涙があふれて泣いてしまう。


父はじぶんのことを
娘にどう書かれようと
なにもいわなかった。
わたしが知っているのは
父の一面でしかないのに、
それを許してくれていた。


なるほどこうきたか。
少しウルっときて、本を閉じた。


高瀬舟 なぜ喜助は楽しそうなのか

2024-10-11 | 
今月の読書会課題本「高瀬舟」(森鴎外・著)

読んだことありませんでした。
中学の教科書に載っているそうです。
短編で、青空文庫で読みました。

「安楽死」と「足るを知る」がテーマなんだそう。
たしかに「高瀬舟」で検索するとそのふたつがでてきます。
(課題本は読む前には検索しないと決めてます)
読む前に読書会のLINEで「安楽死」がテーマですと書いてくださったかたがいて、そうなんだと思いながら読みはじめました。

どうしてもわからないところが。
舟に乗った喜助はなぜ楽しげなのか。
なんなら歌まで歌いだしそうと書いています。

最後まで読んでも「楽しい」が奇妙に思え、どうしてもひっかかるのです。

早くに親を亡くし住む場所も食べるのもない極貧のなか身を寄せあって生きてきた兄弟。
病で寝たきりになった弟が、自殺しようと頚に剃刀の刃が刺さったまま瀕死の状態のところを発見した喜助。
刃を抜いて楽にしてほしいと息絶え絶えのなか懇願され、抜いたら死ぬのはわかっていても抜いてしまう喜助。

偶然それを弟の世話を通いでしてくれていたおばあさんに見られ、捕まって島流しになる喜助。

「安楽死」がテーマ?
ピンとこない。
目の前で、自分でやったとはいえ首に刃が刺さり血まみれで苦しんでいて取ってほしいと言われたら取るんじゃないのか。
お金もない人間が、江戸時代に医者を呼びに行ってもそんなところに来てくれるだろうか。
車も自転車もない時代、呼びに行く間に死んでしまう可能性が高いし。

テーマは「自殺幇助」のほうがふさわしいような。
わたしも抜くだろうな。

働いているにも関わらずご飯も満足に食べられず、住む場所さえない生活。
それが弟殺しで牢屋に入れられ、働かずとも食べさせてもらえ、島流しによって今まで住む場所がなかった自分が初めて住んでいい場所を与えられ、わずかばかりのお金まで持たせてもらえた。
こんな幸せなことはないと思う喜助。

弟思いの喜助だったようだが、弟を亡くしての悲しみとかは一切描かれてない。
刃を抜いた後、死んでしまったことに対しての喜助の気持ちも一切ない。

自分のこれまでのこと話した内容と、喜助が今は楽しそうに鼻唄まで歌いだしそうな様子にどうしても違和感を覚えてしまう。

80才くらいでまた読んでみてと、80代の会員さんがおっしゃった。

中学生の息子さんの感想を話してくれた方がいた。
「自殺ではなく、喜助が弟を殺したのではないか」
病気で寝たきりになってしまった弟が負担になり、殺したのではと。

なるほど。
喜助はおそろしいひとなのか?
弟がいなくなり、清々しているのか?

読書会での自分の感想は、喜助は自分は弟の刃を抜いたことに後悔していないからスッキリしているんだろうし、これからの人生は幸せに生きていってほしいみたいなことを取り繕ってまとめたような。
あと、殺したのではないかと言った中学生の兄であるお兄さんの感想も聞いたので、それに近いと言ったような。
すぐに書けばよいけど、一晩寝たら細部はすぐ忘れてしまって。

今もなんとなくスッキリしていない。
もう一度、次は本で読んでみればまた違った感想になるのかもしれない。

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 岸田奈美

2024-08-04 | 
NHKでやってるドラマを観て、原作を読みたくなった。

4才年下の弟はダウン症。
中2の時、父親が心筋梗塞で急逝。
高1の時、母親が倒れ病気の後遺症で車椅子生活となる。

それが岸田さんの家族のこと。

生活がつらいわけではなく、毎日毎日悲しくて悲しくてしようがない、それがつらかったと書いている。
なにをがんばるでもなく、ただ毎日死なないようにした。
その代わり、忘れることにした。
そんな状態が何年も続いた。
いつの間にか嵐が止み、父の笑顔と声を全く思い出せない。

本に書かれているエピソードはすべて母親から聞いたものらしい。

自分は「忘れる才能」があったから、生きてこれた。

壮絶であったはずなのに、エッセイは底抜けに明るい。
嫌なこと、嫌なひとであろうことも、嫌な書き方をしない。

編集者の佐渡島庸平さんから
「たくさん傷ついた岸田さんだから、だれも傷つけない、笑える優しい文章が書けるんだと思うよ」
と言われたことがめちゃくちゃうれしかったと書いている。
何回も書いている。
ものすごく嬉しかったんだろうと思うし、その言葉は書くことを生業にした自分への指針となったのではないだろうか。

読んでると、岸田さんは瞬発力がすごい。
躊躇なく(多分)会いたいと思ったひとに会いに行く。
本に書かれているのは素晴らしい出会いだったり、助けてくれるひとばかりだけど、そうじゃないひともたくさんいたはず。そっちが多かったに違いない。
それでも。
世の中捨てたもんじゃないなって思わせてくれる。

岸田さんだって怒り狂う日もあるはず。
でもそっちは書かないと決めてるんだろうな。

前向きな気持ちになれる一冊。

一緒に買ったのがノンフィクション作家佐々涼子さんのエッセイ「夜明けを待つ」
昨年「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている―再生・日本製紙石巻工場」を読書会の課題本で読んでこの作家さんを知る。
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(ドラマ化もされている)や在宅の看とりをテーマにした『エンド・オブ・ライフ』など命と死についての作品を次々と出して、数々の賞も受賞している。

佐々さんは現在56才、2022年12月に悪性の脳腫瘍がみつかり余命も宣告されます。
40才を目前にノンフィクションライターになり、がむしゃらに取材し書いてきた彼女が、自分の命のことは書けない日々が続いているとテレビのインタビューで語っていた。

あとがきには、こんなことが書かれている。
自分のガンが「希少がん」でそれが「希望」に見えてくると。
希望とはなんだろう、その希望はいったいどこにあるのだろう。
いつか私にも、希望の本当の意味がわかる日がくるのだろうか。

この「夜明けを待つ」はエピソードひとつひとつが深く考えさせられます。
一気に読むのではなく、枕元に置いて眠る前にすこしづつ丁寧に読みたいと思う本。


この2冊どちらも「命」つまりは「生き方」について書かれている。

本を読むことで、いろんな人生があり、いろんな生き方があるということを知る。
自分のこの先になにがあるかなんてだれもわからない。
できれば機嫌よく生きていきたいけど、なかなか難しい。
悟りも開けない。

ただ偶然だけど、この2冊の本は同じことを言ってる。

「限りある命、だったら愉しく生きていきたい」

壮絶な日々を生きてきた、そして生きているひとたちの心からの願い。




岸田さんのご家族。


●追記●

佐々涼子さんは悪性脳腫瘍のため9月1日、永眠されました。56歳でした。
心よりご冥福をお祈りいたします。

佐々さん、ありがとうございました。



文化の脱走兵 奈倉有里著

2024-07-24 | 
書店の平積みでみつけた、奈倉有里さんの最新作。

お名前は高橋源一郎の飛ぶ教室(NHKラジオ)のゲストにいらしたことで知る。
その時に紹介された(多分)エッセイ「夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く」を購入して読んだら、とてもよくて。

肩書きはロシア文学研究者・翻訳者。
以前本屋大賞をとった「同志少女よ、敵を撃て』の著者逢坂冬馬さんのお姉さんでもある。

手にとり、パラパラとページをめくっていたら、最後のほうで柏崎という文字を見つけた。
ロシアに柏崎?
すぐさまレジへ。
支払いを済ませそのまま近くの椅子に腰掛け、柏崎の章を読みはじめた。

ふいに泣きそうになる。
柏崎、出かけたが、住んだことはない。
わたしがいたのは新潟市内。
なのに一瞬にして、新潟で過ごした日々の記憶が鍋から一気にお湯が吹きこぼれるようにぶわぁーっと溢れ出てきた。

自転車を飛ばせばすぐ海。
台所の窓から見た夕焼けが怖いくらいのオレンジ。
料理の火を止めて、急いで娘と海へ向かう。
水平線に沈む太陽は息を飲むほど美しい。
月もまた手が届くかと思えるほど。
夏の夕暮れ、波の音は優しかった。

冬になれば一面が銀世界、どこまでも。
深夜、シーンとした世界に、除雪車の音だけが遠くから聞こえる。

夏は海水浴、冬はスキー、朝採りのとうもろこしや枝豆。

記憶のどれもがくっきりと鮮明なのに驚く。

書かれている柏崎のページの内容とは関係ないのに。
どういうこと?
いよいよ号泣しそうになり、自分でもわけがわからず、慌てて本を閉じ、立ち上がった。

急いで家に帰り、最初から読む。



「悲しみのゆくえ」
わたしが常々思っていたこと、それでいいんだと書いてもらった気がした。

「道を訊かれる」
奈倉さんはひとによく道を訊かれるらしい。
わたしもそう。
好きな作家津村記久子さんもそうらしい。
ご自身がエッセイに書かれていた。
おふたりと被る点などひとつもないはずなのに「道を訊かれる」という共通点があったことがとても嬉しい。ただし奈倉さんは外国でもその国のひとから道を訊かれるというからレベルが違いすぎなんだけどね。

なぜ奈倉さんが柏崎に住もうと思ったのか。
その理由を知り、なぜにそこまでと。
なぜにそこまで自分事とするのか。
そんなひとの書く文章だからひかれるのだろうか。
偽善的な自分が恥ずかしくなる。


~大丈夫。
人はこれまでもそうして強い悲しみを抱えながら、それゆえに少しでも個々の人々の権利を守ろうとしてきたし、その軌跡はたくさんの本に描かれている。ただ人間はあきれるほどに忘れっぽく、目新しいことを言っていると思い込んでいる人物に限って過去の過ちを繰り返すというだけのことだ。けれどもそうして戦争がおこなわれるというのなら、文学は何度でも考え直し、示してみせよう。それは憎しみの連鎖を止めるための、人類の大切な共有財産だ。戦争の本質的な悪を、身勝手な権力の構造を、そこから生まれる社会の不安や管理社会の息苦しさを、無念な市民の思いを、恐れずに語り続けよう。~
(「悲しみのゆくえ」より抜粋)

今の政治家は、本など読んでいないのだろうなと思うひとが増えたと、どなたかが新聞に書いていた。

目が疲れるしそもそも視力が落ちた。
内容が頭にはいってこないことも増えたけど、それでも本を読むことはわたしの楽しみ。
これからもずっと楽しみであり続けることを願う。

しごとへの道 鈴木のりたけ

2024-06-30 | 
読書会で話題になった「鈴木のりたけ」さん。
絵本作家です。



「大ピンチずかん」
書店に行けば平積みになっているので、目にされた方もいらっしゃるのでは。
わたしもそのひとりですが、手にとることはなかったんです。

読書会の話題がきっかけで、この「しごとへの道」を知り購入。

3人の方が現在の仕事にたどり着くまでの道が漫画で描かれています。
その道のりがいいんです。
あえてまっすぐではないひとを選んだのかもしれない。
いやまっすぐにいけるひとなんてなかなかいないのかも。

就職が決まってない子どもや若いひとによさげかと思いきや老齢のわたしにも響きまくる。

道に迷っても死ぬまで人生は続く。
どんな風に生きていくのか決めるのは自分。
でもどんなひとに出会うか、その出会いを自分がどう受けとるのか、それも大切なことなんだなーと思った。

十二月の十日 ジョージ・ソーンダーズ

2023-12-10 | 
生活クラブの「本の花束」で紹介されていて、訳が岸本佐知子さんというただそれだけで読んでみたくなった。
生活クラブの注文が終わったあとにチラシを読んだ(よくある)のでAmazonで購入した。

ここ二年ほど、本の内容がまったく頭に入ってこなくて、あんなに文字が好きだったのが嘘のように本や新聞を読む機会が減った。
読んでも覚えてないことも多いくせに本は相変わらず買ってしまう。
積ん読度が凄まじく高くなってる。


「十二月の十日」が届いて、パラパラッとページをめくってみたら、なんとなく文体が苦手だったのでしばらく放置。
それより初めて聞く作家「ジョージ・ソーンダーズ」が気になり検索。

母校での卒業スピーチが話題になったひとらしい。

自分がこれまでの人生で後悔しているのは、中学の時にまわりからいじめられていた転校生の女の子がいてなぜあの時にもっと優しくできなかったのかなということだそう。
そして年を取ると多くのひとは丸くなり、愛情深くなるらしいこと。
人生で一番大切なたったひとつのことは『ひとに優しくすること』そんなことを話している。

わたしも過去を振り返れば恥ずかしさや後悔でガックリうなだれることはたくさんある。
ひとに優しくできなかったばかりか傷つけてしまったことのほうが多い。
誰だってあるでしょと思う。
『優しさ』ねぇ。そうありたいけど、できない時もある。かなりある。
でも彼がスピーチでも言ってるように優しくされたら嬉しいんだよね。
優しさで溢れた世界になればいいけど、そうはならないのが現実。
だからこそ優しくあろうと意識や努力が必要なんだろうな。


本は短編集で、かなりメチャクチャで悲惨で哀れなひとたちばかりがでてくる。
あまり入り込めない話は飛ばして、読んだのはまだ三作品。

「棒きれ」 

「子犬」

そして表題の
「十二月の十日」

全部家族の話。
どれもかなりハードな内容で凄絶な境遇にあるひとちたちが出てくる。

もしかしたらこの作家は同級生だった彼女への後悔を、今書くことで世界中にいる『あの時の彼女』にどんなに困難な人生でもきっと『希望』はあるよ、だから生きようって伝えようとしているのかもしれない。
恵まれた境遇のひとたちが語る「希望」とは違う、ほんとにあるのかもわからないような儚いでも確かな「希望」それがこの作品にはあった。


「何滴もの幸せな、良いしずくがきっとこの先にはあって(中略)おれが勝手に距離できるものじゃないんだ」
~『十二月の十日』より~









THE BLUE CASTLE 青い城 L.M.モンゴメリ著

2023-05-12 | 



5月読書会課題本。

まったく聞いたことがない本でした。
少しだけ読んだところで、これは絶対読む前にネット検索しては面白さが半減するなと確信。(もちろん最後まで検索しませんでした)

作者は「赤毛のアン」のモンゴメリ。

いやー、面白かった。
どんなに面白かったか熱く語りたいけど、今回のわたしみたいに全く知識なく読むのをおすすめします。

小川洋子さんが選ぶ5冊

2023-04-09 | 
東京FM「小川洋子Melodious Library」が今年の3月で終了しました。
15年9ヶ月続いたそうです。

Melodious Library【メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 -

放送開始はよくは覚えていないけど、普段からFMラジオ中心の生活だったので日曜10時からの楽しみによく聴いてました。
それがいつの間にか安住さんのラジオを聞いたり、最近はふかわさんと阿川さんのを聞いたりして。
ラジコで後で聴いたりもしていたのですが、ここ1年くらいはあんまり聴けてなかったかな。

それが今日、洗濯物をたたみながらふと安住さんではなく、小川さんを聴きたくなりチューニングしていたら、
Panasonicではなく、大和ハウスのCMが。
おかしいな~と思っていたら、藤丸さんではなく違う女性の声。
ピンときました。改編だと。

すぐにネットで検索して、終了したことを知ったのです。

街の本屋さんがいつの間にかなくなることがあり、閉店の張り紙を見て、
なんだか申し訳ないような淋しい気持ちになることがよくありました。
あんなに立ち読みでお世話になっていたのに、ついつい駅前の大手ブックセンターで購入したり。
わたしがもっと買えばつぶれなくて済んだかもしれない(そんなわけないけど)
放送終了を聞いて、なんだかそれと一緒の気持だなーと思いました。

有名な作品は小川さんの解説を聞いてこんな読み方ができるのかと思い、小川さんに教えてもらって知った本もたくさんあります。
岸本佐知子さんもここで知ったし、最近でいうと、ナイジェリア出身女性作家として初の全米批評家協会賞を受賞しているチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの短編集『なにかが首のまわりに』は早速購入。
アフリカのひとたちの生活の一端を垣間見れるような小説をこれまで手に取ることがなかったので、興味深く読みました。

最後の放送(第1回で取り上げた夏目漱石「こころ」を最終回でも)は聞くことが出来ませんでしたが、
『15年9ヶ月ありがとうスペシャル!AuDee読書会』をAuDeeで聴けました。

その放送の中で小川さんの心に残ったベスト5冊。
小川さんのベストというのは、皆さんこの本をどうか忘れないでくださいねという意味だそうです。

〇『夜と霧』 V・フランクル:著
〇『片腕』 川端康成:著
〇『若き日の悲しみ』 ダニエル・キシュ:著
〇『友は真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス:著
〇『枕草子』 清少納言:著

そして藤丸さんの特に印象に残った1冊が

〇『八甲田山 死の彷徨』 新田次郎:著

とにかく怖ったとか。

新潟にいた頃は、娘とよくこの番組を聴いてました。
まだ5~6歳だったから、よくわからなかっただろうけど、一緒に聴いてましたね~。
児童文学作品もよく取り上げてくださってましたね。

小川さん、藤丸さん、お疲れ様でした。
15年9ヶ月の長きにわたり、たくさんの素晴らしい本を紹介してくださってありがとうございました。




じゃむパンの日 赤染晶子・著

2023-03-14 | 
年1回の健康診断を終え、有隣堂でめあての本を探す。

「じゃむパンの日」(赤染晶子・著)

ランチしながら読んでいたら、ヤバっ。
笑いをこらえるため、顔が歪む。
客はわたしも含めふたりだけ。
店員さんがヒマすぎて、チラチラこちらのほうを見てくる。

声でもあげて笑えば、気味悪いオバサン間違いなし。

泣く泣く本を閉じる。
急いで帰って、家で読もっと!

電車に乗った。
普通にした。
平日、昼間、ひとは少ないはず。

当然開くよね。

開いて2分もせず「小僧さん」のところで、また閉じる。

うっうー ( ̄▽ ̄;)

赤染晶子、恐るべし。
しかしすでにもうこの世にはいない。(2017年、42才没)
米原万里といいこのひとといい、残念でたまらない。



職場の白木蓮。
安住さんがラジオで言っていた通りだった。
先週の月曜は咲いてもなかったのに、火、水休んで木曜出勤の帰り(行きは道が違う)にみたらビックリ。
一気に開花!



翌日は満開!

それはまぁ見事。

●●追記●●

「じゃむパンの日」読了。

独特のユーモアと視点、そしてあらゆるものに注がれる眼差しの温かさ。
赤染さん、書いてくれて本当にありがとうございます。

そしてこの本は、赤染さんが芥川賞をとった「乙女の密告」を担当した編集者加藤木礼さんという方が独立して個人出版社を立ち上げ出版した第一作目だそうです。

全然知らない作家さんでした。
この本を読んだ後、検索してみたら、
芥川賞選考委員の小川洋子さんは『赤染晶子という名前』という随筆のなかで、こう書いています。

二〇〇七年、芥川賞の選考委員になってから今まで、最も強く心に残っている出会いは、第一四三回受賞作、赤染晶子さんの『乙女の密告』である。「ああ、自分はこの作品を受賞させるために、選考委員になったんだ」と感じるようになっていた。 

次に読む本が決まりました。



インド人によく間違えられるらしい赤染さん。



海うそ 梨木香歩著

2022-07-19 | 
読書会7月の課題本

内容
昭和の初め、人文地理学の研究者、秋野は南九州の遅島へ赴く。かつて修験道の霊山があったその島は、豊かで変化に富んだ自然の中に、無残にかき消された人びとの祈りの跡を抱いて、彼の心を捉えて離さない。そして、地図に残された「海うそ」ということば...。五十年後、再び遅島を訪れた秋野が見たものは―。 Google Booksより

梨木香歩さんの静謐な文章が好きで、特に気に入った作品は文庫本で買って時折読み返しています。
すべてが好きなわけではなく、全作品を読んだわけでもないのですが「春になったら苺を摘みに」「家守奇譚」「村田エフェンディ滞土録」特にこの三作品が好きです。
とはいえ最近は、数年前に生活クラブの本の花束という本のカタログで紹介されていた「新しいリーダーの作り方」を購入して読んだのが最後でした。
そんななか、会員のかたが特に好きな一冊ということで紹介してくださったのが「海うそ」

前知識なく、読み始めました。

初めは現代の話だと思い込んで読んでいました。
南の島の、細やかでありながら圧倒的な存在感で迫ってくる自然描写が続くなかに時折はさまれる亡くなった許嫁のこと、さして深く考えずに読み進めていました。
民俗信仰、廃仏毀釈、破壊と開発、そんなことがテーマなのかなとも思いながら。

それが最後に語られる主人公秋野の、息子への告白で、これまでにいくつもの伏線が張り巡らされていたことに気づきました。

「色即是空空即是色」という仏教用語が重要なキーワードになるのですが、その言葉の意味をよくわかっていないので、肝心なところが理解できずもどかしくて、また勉強してから再読したいと思っています。

読んだ後、ひとと語りたくなるような、まさに読書会にふさわしいそんな小説でした。

前知識なく読んでいただきたい作品なので、このへんにしておきます。

リゾート地ではなく、ひとの手があまり入ってないような島に行ってみたくなりました。
紹介してくださった方は、屋久島が好きで何度かいらしているとおっしゃっていました。

屋久島、死ぬまでに一度は行ってみたいなー。




三千円の使いかた ~原田ひ香~

2022-04-21 | 

 

4月の読書会課題本「三千円の使いかた 著・原田ひ香」

原田マハではなく原田ひ香。

文庫本になってからなのか、すごく売れているみたいです。帯には35万部突破とありました。

連作短編集で、登場人物はある家族。

●姑であり祖母琴子(73才)

銀座のデパート勤務の時、商社マンの夫に見初められ結婚。5年前に肺ガンで夫は他界。息子夫婦と同じ十条で、孫たちから素敵と言われる一軒家に、良い家具や食器に囲まれてひとり暮らす。夫が残したものは1000万と数百万の普通預金。年金は月8万。普段から常にアンテナを張り、高金利の銀行をみつけては資産を動かしていたものの、最近はそれも面倒になってきた。大金だと思っていた数百万が今は数十万、心の拠り所だった1000万に手をつける日も近いのではと不安に思う日々。そんな時は母の教えで結婚してからずっと欠かさない家計簿をつけることで心を落ち着かせている。

●嫁であり母智子(55才)

23年前に30年ローンで建てた十条駅から徒歩10分の一軒家に、家事が全くできないそして家庭に無関心な夫(精密機械メーカー勤務、智子に言わせればさっぱり意味が分からない課長ではなく次長職)と暮らす。仏文科卒、バブル世代。結婚してからもずっと英語とフランス語を学び続けている。更年期に悩まされ、以前はあそこで買ったら女も終わりと敬遠していた商店街にある激安衣料店「むらさき屋」の大ファンとなり、保温下着をこよなく愛す。スマホではなく携帯を使用。夫には弟がいるが関西在住で妻の実家の家業を継いでいる婿養子状態。長男の嫁として義母の今後を考えると頭が痛く、見て見ぬふりをしている。800万あった貯金も、娘たちの大学進学や娘の結婚に関わる費用、親たちの葬儀代、自分の入院費用などで一気に目減り、現在100万。

●長女真帆(29才)

専業主婦。短大卒、元証券会社勤務。結婚6年目。十条の2Kのアパート(家賃88,000円)に、高校時代の友人で消防士(月収23万年収300万)の夫と3歳の娘の3人暮らし。現在預金600万(うち100万は真帆独身時代に貯めたもの、夫独身時代貯金ゼロ)。証券会社勤めの経験から日々株価をチェックし、手堅く資産運用、お小遣いは自分で稼ぐと決めている投資の知識豊富、節約はするが知恵を絞り貧乏くさい生活はしない賢い主婦。目標は娘大学入学までに1千万!

●次女美帆(24才)

大学卒業後、西新宿にあるIT関連会社勤務し1年半。オシャレな街中目黒に近い祐天寺の築浅10畳の1Kマンション(管理費込98,000円)に半年前から念願の一人暮らし。節約のため弁当を作ろうと8,000円のまげわっぱを買ったものの1日で挫折、コンビニでの買い物、カフェでのお茶が日常化、まとまった休みは旅行と使いたいものには惜しまない金銭感覚。貯金は30万。彼氏はいるが最近微妙な雰囲気。

 

この4人と彼女たちに関わるひとたちでまとめられた6話の短編になっています。

 

「三千円の使い方」という題なので、年代によっての三千円の使い方が描かれていると紹介されていることもありますが、実際は第1話のタイトルが「三千円の使い方」というだけで、ほかの5話はお金にまつわる内容ではあるけど、三千円は関係ないと思っていいです。

わたしが特に共感したのが義母琴子の話「七十三歳のハローワーク」と嫁智子の話「熟年離婚の経済学」

年代的にでしょうかね。

 

「七十三歳のハローワーク」

今後の生活費が不安になった73歳の琴子が、働こうと思い立つ話なんですが、そう思うきっかけが、嫁智子から頼まれたおせち教室の手伝いで、お礼にもらった5000円が想像以上に嬉しかったんですね。あまりの大きな喜びに、自分自身、戸惑ったとありましたが、この気持ちとってもわかるんです、わたし。

娘を出産後も落ち着いたら働くつもりでいたのですが、10年間は夫の希望を尊重すると決め、50才になって即効パートにでました。

その会社は大量採用するけど早いと1日、1週間、1ヶ月とどんどん人が辞めていくようなブラックな職場で、今ならパワハラって訴えていいくらい恫喝あり、いびりありの鬼のような女性管理職がいて、何人もやられ、わたしもそのひとりだったのですが、それでも辞めるよりお金をもらえる方が嬉しくてたまらなかったんです。自分名義の通帳を記帳しに行き、印字された数字を見てわたしも涙が出るくらい嬉しかった。

夫はケチな人じゃなく、結婚当初から給料も全部わたしに渡してくれて、なにを買ったかも全く頓着しないのですが、わたしはずっと「ひと」のお金を「使わせてもらっている」という意識が抜けなかったんです。夫が自分の稼ぎを全部わたしに渡すことも信じられなかった。わたしにはできませんもん。今もパートのお金で家族のものも買いますが、意識は「わたし」のお金で買ってるです。

わたしはお金が大好きなんです。だから働きたい。お金に働いてもらうより、頭悪いから身体動かして働く方が性にあってます。まぁ今は元気だからそう言えることなんですが。もし3億宝くじが当たったとしても働く気がする。お金あるからいつ辞めてもいいと、いびられても内心鼻で笑って働けそうです。当たらないかな宝くじ。

といっても週3パートなんで、フルタイム勤務のかたからするとお気楽でいいわねってところでしょうか。

 

「熟年離婚の経済学」

こちらは身につまされる内容でした。

開腹手術して退院の日、夫や娘は都合が悪く一人で帰宅。多分一度も掃除機をかけていないのだろう埃っぽい部屋で疲れてソファでウトウトしていると夫からメール。「今夜は、外食でもいいし、出前でもいいよ」

夫は自分が退院した日でも「出前でいいよ」っていうのだろうかと考え込む智子。

わかるわー、この想像力のなさ。

わたしも寝込んだ時に夫が「なに食べたらいいかな」と言ってきたのには、唖然としたわ。3歳児じゃあるまいし、頭あるだろ、自分で考えろよって情けなかったわ。

 

なんにもしないしできない夫に嘆く智子に、娘たちは手厳しい。

「お母さんも悪いんだよ。お父さんにご飯の作り方とか教えればよかったじゃない。おばあちゃんに育てられた時間よりお母さんと一緒にいる時間の方がもう長いじゃない」

我が家の娘はもっと言うのよね。

「お父さんはさ、お母さんがいない時の方がちゃんとしているよ。なんでもやれるんだよ」だってさ。

 

話を本に戻して、智子の親友千さとが熟年離婚を考えていることを告白する。

元客室乗務員千さとと大手航空会社勤務の夫は似合いのカップルだった。その夫に女がいることが、とあるきっかけで判明。夫を問い詰めたところ、待ってましたとばかりに夫から離婚を突き付けてきたのだと。

そこからの離婚に関するお金の話が興味深い。

千さとは30歳で結婚。55歳の今、大学生の一人娘がいる。

離婚するとなると結婚生活25年間で貯めたお金を折半するのだとか。専業主婦でも夫の稼ぎは妻のお陰でもあるという考え方でそうなるらしい。ただ結婚以前の貯金はそれぞれのもの。

現在のままでいたら国民年金13万、厚生年金が10万、合計月々23万。熟年無職夫婦の1ヶ月の平均収支は25万足らずだから貯金を取り崩したとしてもそう困らない。

千里と夫は同い年。夫は大学卒業後すぐ就職、33年働いて結婚して25年。だから33対25で分ける。ザックリいうと4対3。年金も貯金も退職金もその割合で分ける。国民年金は折半、厚生年金は4対3。

千さとの話によると、彼女夫婦はこうなる。

国民年金が65,000円、厚生年金は夫が57,000円、私は43,000円。でも支給されるのは私たちが65になってから。さらにこれから5年、夫が60才になるまでには新しい女が夫を支えることになるからそこから引かれる。

夫が前の会社を退職して新しい会社に入った時の退職金が2000万。それも4対3。夫が1,143万、私が857万。独身家庭では女性のほうがお金を遣うらしく、月平均が15万。わたしのように離婚して最初の10年間は年金が出ない計算だと、パートで月7万くらい稼いで足りない分は貯金で取り崩していると、8年後には貯金は残ってない計算になり、年金受け取る前に貯金ゼロになる。それが63才。住んでいるマンションのことだってある。

 

その話を聞いて言葉も出ない智子は、翌日預金通帳を開いて愕然とする、ほとんど底をついていたのだ。

って、そこツッコミどころよね。

専業主婦で、夫がお金全部握っているわけじゃなく通帳も自由にみれる環境だったら、家にどれくらいお金があるか、ちゃんと把握してないと怖くて生活できないと思うんだけど。娘二人大学に出して、ローン組んで持ち家もあるわけだから、ある日自分ちの通帳が底をついていることに気づいて愕然!なんてことにはなるはずがない。

専業主婦を作者はなめてないか。

 

さて、智子。

千さとから聞いた離婚後のシビアな試算に、ショックを受ける。夫の不満も我慢して結婚生活を続けるしかないのかという現実をつきつけられ、退職後の夫との生活を想像し、溜息をもらす。

数日後、千さとが離婚試算でお世話になったファイナンシャルプランナーへ智子も相談に行く。

FPに、夫への不満は自分が我慢すればいいのだと思わず、本当のところ自分はどうしたいのかをよく考えてみてとアドバイスされる。そして具体的なことも。

・買い物の後は財布の中身を確認し、レシートを整理する

・最後の週は買い物に行かず、冷蔵庫の中のものを一掃するつもりで使い切ってしまうレシピを考える。

・週に何日か夫と別々に夕食をとる日を決める。(智子は習い事の日、皆は帰りに食事をするのに夫の食事作りがあり参加できないでいたので)

 

夫の夕食の準備だけして、今日は私は外で教室の皆と食事の日だからってなんで言えなかったのかな、智子は。夫が望んでいるのではなく、智子自身がやって「あげたい」という思いもあったんじゃないのかな。

FPのアドバイスは、わざわざお金払ってまで聞きに行くほどの内容ではないけど、行くというその行動が大事な気がする。行動することで頭の中が整理されるからね。ここに来たことは無駄だったなと思うことも含めて。

 

この本に出てくる話はどれもハッピーエンドで、そんなにうまくいくか?って思ったりするけど、軽く読むにはいい本だと思った。

知らないうちに奨学金を親から背負わされた美帆の新しい恋人の話は、いくらなんでもまわり甘すぎないかと思う。借金返してから結婚しても遅くない年齢だと思うけどな。

日本で最も歴史ある旧家のお嬢様とその夫君を思い起させる内容だったわ。

 


もう別れてもいいですか 垣谷美雨

2022-04-03 | 

メイ・サートン「独り居の日記」

雑誌で本特集があると、だれかしらが必ず紹介しています。なんなら武田百合子の「富士日記」と双璧をなします。

あーまた、あーまた選んでると何度もみてきたので、わたしも一度読んでみたいと思いつつ機会がありませんでした。

少し前に横浜市中央図書館で、いつもは寄らない上の階へ。

お目当ての本を探していたら、そこで偶然みつけました「独り居の日記」を。

夜、寝る前に読むと睡眠薬。

期待して借りたものの、今のわたしには、ほとんど入ってきませんでした。

 

4月の読書会の課題本は「三千円の使い方」

それを買いに行ったはずなんです。

なのに、買ったのは、

「もう別れてもいいですか」

 

レジで店員さんに渡す時ニッコリ。「考えてるのよ、わたし」感、醸し出します。

「婦人公論」に連載されていたので知ってはいたけど、立ち読みで小説まで読む時間はなく、単行本になったのを見つけ、即買い。

垣谷さんのは、図書館で借りることはあったけど買ったのは初めてでした。

そしてここ数年、本を読むのが辛かったはずなのに、ビックリ、一晩で完読。

わたしのことだと何度思ったか。

みてました?、垣谷先生。

 

人生残りあと20年。

どう生きていくか、どう生きていきたいのか、ちゃんと考えようと思う春。

 

 

 


サザエさんの東京物語 長谷川洋子

2021-12-12 | 

 

「マー姉ちゃん」時々見逃しもありますが、朝の楽しみです。

 

女ばかりの家族で、横暴な母親に三姉妹は団結してますよね。

ただ晩年はそうではなかったようです。

 

「サザエさんの東京物語」を読みました。

末っ子の洋子さんが、主に町子のことを綴ったエッセイです。

 

まり子と洋子は結婚します。町子は生涯独身。

まり子の夫に召集令状がきたことで慌てて式をあげますが、結婚生活はわずか一週間。その後、夫は戦死してしまいます。

洋子の夫は、母貞子に懇願され長谷川家に同居することになります。マスオさんですね。その夫も35才の若さでガンにより他界。

洋子の2人の娘が増えたものの、長谷川家の女たちは変わらず一緒に暮らしてゆきます。

桜新町に30年ほど住んだのち、用賀に新築の家を建て引っ越すことがきっかけとなり、洋子さんは姉たちに独立宣言をします。

すべて母や姉たちが決めたレールの上を歩いてきた洋子さんが、初めて自分の足で歩いてみたいと思ったのです。それも60近くになって。

末っ子の反旗に、姉たちは憤慨しなんと縁を切ってしまうのです。姉たちの新居とこれまでの住まいはたったの徒歩10分という近距離。そこまで腹立てるかって思うんですけどねー。気の毒な洋子さん。

濃すぎる愛情は裏を返せば憎しみも凄まじいのでしょうか。

まり子は、洋子さんが送った手紙も一切開封せずそのまま送り返しています。

72才で町子が亡くなった時、まり子は「洋子には絶対、知らせてはならない」と厳命したといいます。

さすがにそれはと関係者がこっそり連絡をくれ、だから弔問も遠慮してほしいといわれた洋子さん。切ないですね。

町子の30億の(実際ははるかに超えていた)莫大な遺産も、母親の10億ほどの遺産も相続放棄させられてます。腑に落ちない国税局が調査に来たほど。骨肉の争いをせず、潔すぎます。

『お金より自由がほしかった』

洋子さんはそう書いています。

洋子さんは、母親から「芋畑にしなさい」と買ってもらった土地があり、経済的に不自由していなかったこともあるかも。でもあの激しい気性の姉たちから離れることで得られる自由が、億のお金より値打ちがあったということかな。

洋子さんは、姉たちから独立後、自ら出版社を興します。

「彩古書房」

精力的に仕事に励み、児童心理学や千葉敦子さんの本を世に出しておられます。

長谷川家の女性たちは皆、逞しいDNAが組み込まれているようですね。


かくかくしかじか ~東村アキコ~

2021-10-09 | 

読書会のSさんが貸してくれました。

 

東村アキコさんの自伝漫画です。

高3で進路を美大に決めた東村さんは、

クラスメートから誘われて、宮崎のとある絵画教室に通うことになります。

まぁそこがスパルタで。

 

石膏デッサン1枚12時間以内、受験までに100枚。

月水金と土日の週5日来いと有無を言わさず命令。

 

先生はひたすら

めでたく東村さんは現役で美大に受かるわけですが、

美大の4年間より絵画教室にいる時のほうが圧倒的に描いていたらしい。

そこでの8年間が東村さんが漫画家としてやっていける土台を作ったといっても過言ではないくらい、密すぎる時間を先生と過ごしているのです。

その教室では漫画家はるな檸檬さんも輩出しています。はるなさんは東村さんの教え子です。

「ダルちゃん」持ってます。

 

いかにすごい絵画教室だったか。しかも先生、美大とか出てないのですよ。

東村さんも努力しまくり。

大学卒業後、コールセンターで働きながら、夜は絵画教室で先生と一緒に生徒指導。帰宅後徹夜で、時間がない時は教室で生徒を教えながら漫画を描くという、超ハードな日々を送っているんですよね。

 

東村さんって素直な方なんだろうなーと思いました。

先生が東村さんを手放そうとしなかったのは、もしかしたら惚れていたのかもしれないな。

5巻ありますが、一気に読みました。