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吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています

200錠で致死量? その2

2016年07月02日 06時11分18秒 | 日記
 別の報道では、「200錠もの致死量を超える睡眠導入剤を・・・」とあった。
 昔、自分は救急医療をやっていた。医薬品中毒の診療を経験をしたものであればすぐに気が付くはずである。
 それは「睡眠導入剤でたかだか200錠が致死量となるような薬物はない」ということである。

 救命センター在職時にいつも医薬品、特に眠剤関係の多量服用で意識不明の患者を診療した。現場に散乱した空パッケージを持参させ、その数から推測して服用した錠数を推定するが、過去に致死量まで服用した(できた?)人はほとんどいなかった。唯一、患者が薬剤師の方で致死量を自分で計算しそれに見合うだけの量を服用されてしまい、その方は救命できなかった。
 しかしその他の患者はすべて致死量にはるかに満たない量であった。

 因みにラットやマウスの致死量でしか資料がないのであるがLD50(50%致死量:その動物の半数が死亡する服用量)での判断である。人間あたりの体重(60kg)に換算すると、ハルシオン(0.5mg)で90万錠、デパス(3mg)で87000錠、コンスタン(0.8mg)で56000錠、ユーロジン(2mg)で22000錠、そしてリーゼ(10mg)で5700錠といった感じである。
 どうやったらこんなに飲めるの?・・・といった感じである。