スナック営業

朝起きたら上半身裸でした、３２１です。

昨晩は蒸し暑かった。私の病室のエアコン壊れててさ、窓少し開けてはいたんだけどね、耐えられなかったみたい。
脱いだ記憶がないんで誰かに脱がされたのかもしれません。今、傷口保護のために腹巻きもしてるんだけど、それもベッドからずいぶん遠くに落ちてました。

さて、入院生活で一番仲良くしているオトコ友達がいます。なんだ、楽しそうな入院ライフ送ってんじゃん？って思うよね？彼は長崎から横浜に移ってきた浜崎さんといいます。
なんだか名前に合わせて引っ越したんか、って感じだけど。
えっと…彼は、じいさんです。
彼を中心としたじいさん達に毎朝会います。もうね、ちょっとしたスナックですよ。
で、皆から饅頭や、あんぱん、ふりかけ、海苔、シラスまで頂きました。
そんなにプレゼントしてくれても食べられません。
今はいいけどまだ自由食じゃない時は困った。なぜじいさんは無理やりでも食べさせたがるのでしょうね(笑)？ 特に生物は困った。「わし、下痢だからシラスはダメだって医者に言われちまってよ～」ってね、私だって負けないくらい下痢なんすけどね、人の話なんてまともに聞いてやしないんだなと思った。さらに皆さん腰がお弱いので自販機で牛乳が欲しくても買えません。
それをね、私に買ってきてくれ、と頼むんすよ。
私だって切腹してる身。便座に座るのも一苦労。
でもね、じいさん達に牛乳飲ませるために頑張りましたよ。
今朝なんてね、「アンパンが食いたい」ってね、わがまま言うんですよ。今日は売店がお休み。
「お昼食べられなくなるからよした方がいいよ」ってアドバイスしたけど聞いてなんかない。
「あんた、ちょっとコンビニ探して買ってきてくれよ」ってね。
あのね、私も患者なの。病院指定のダッサイじんべえ着てんの。しかもすっぴんなの。横浜をそんな姿で歩いたら補導されるでしょ。
でもどうしても食べたいと、私を説得してくるの。「この前頼んだ子なんか点滴してたのに行ってくれたけどなあ」とね。負けず嫌いな私としては、もう行くしかないわけ。
横断歩道渡って、隣のまた隣の素敵なオフィスビルの中のファミマまで、入院着で。
しかも朝。オフィスビルは通勤ラッシュ。スーツの中に一人だけジンベエにオヤジサンダル姿のオンナ。真っ先にアンパンを見つけ、レジに並ぶ。その間ずっと下っ腹を右手で抱えて猫背。左手にはアンパン。ガラス窓に映った自分、見ちゃった。トイレ我慢してるっぽく見える。なのにアンパン食いたいか、みたいな視線を店員さんから受けた。
もうさ、ダッシュで病院に戻りたかった。でもゆっくりしか歩けないの。
こんなに精神的苦痛を受けて購入したアンパンを浜崎さんに渡したら、２分くらいで平らげてしまったからね。
ちゃんと味わってんのかって突っ込みたかったけど。

もうスナックは閉店しようかと悩んでます。おかげで今日熱が出ました。順調だったのに。

今から一眠りします。