辻政信著「ノモンハン秘史」 [完全版]を讀む。
内容は 先の新書版と同じであるが、巻頭の「本書に寄せて」の筆者の肩書きが 東京國際大學教授に昇格してゐる。
また 巻末に “手記「ノモンハンの罪人と呼ばれて」”なる手記が追加されてゐる。
この手記は 戰後の 潜行三千里中にものしたとあるが、まだ事件のほとぼりさめやらぬ昭和14年9月 長沙作戰中の漢口の第11軍司令部に着任するところ「流謫の漢口」から始まる。
そして、翌年2月8日付けで 支那派遣軍総司令部付に轉補。
轉任早々、「派遣軍將兵に告ぐ」なる一文を起草、皇紀二千六百年天長の佳節に板垣征四郎支那派遣軍総参謀長名で隷下全軍に布告すると共に、大新聞にも全文が掲載された。
六項目に亘る長文であるが、今 これを讀みなをしてみて 非常に當を得た まっとうな布告文であると思う。
反響は非常に大きく、國内外に好評を博したことから 東條一派から嫉妬され 板垣失脚の名目になったとある。
内容は 皇軍の綱紀の粛正を訴え、石原莞爾將軍の主張する東亞聯盟促進を唱えるものである。 皇軍の軍紀弛緩を示すものでもある。
そして 同年12月15日付けで 臺灣軍研究部員に轉補される事になったとある。
好戰派と目された辻政信のあらぬ一面を見た思いがする。
2021/02/03 初稿
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