空の色

Ricaの気まま日記と詩の世界

『あしたの喜多善男』:最終回レビュー(バレ有り)

2008-03-25 17:38:52 | ドラマ・映画(ネタバレ有もあり)

『あしたの喜多善男』
出演:
  • 喜多 善男:小日 向文世
  • 矢代 平太:松田 龍平
  • 長谷川 リカ:栗山 千明
  • 鷲巣 みずほ:小西 真奈美
  • 杉本 マサル:生瀬 勝久
  • 森脇 大輔:要 潤
  • 三波 貴男:今井 雅之
  • 宵町 しのぶ:吉高 由里子

    [あらすじ]
    ある時、自分の全てを悲観した男、喜多善男は
    親友の命日である、今から11日後に自殺することを決意する。
    そんな時、善男はキャバクラのスカウトマン、矢代に出会う。
    矢代は後11日で死のうとしている善男に
    最後にやりたいこと会いたい人に会わせたり、親切に接した。

    ただ、矢代の彼女、リカには親の残した多額の借金があり、
    二人はその借金を返すため、善男を生命保険に加入させ、
    保険金を手にすることを画策しているのだった。

    矢代は11年前に分かれた妻、みずほを探し出し、善男に会わせた。
    しかし、その後、みずほの元夫の事故死を疑問視する保険調査員、杉本の調査で、
    みずほの元夫の事故死の謎や、みずほと善男が結婚した背景など、
    ある人物を中心に、善男の知らない謎が
    だんだんと明らかになってくるのだった。

    一方で借金返済に時間が無くなってきた矢代とリカは
    次第に善男の命を狙うようになってくるが、
    平太の方はどうしても善男を手にかけることができない。
    そして、善男は残された日々で真相を知ろうと動き出す。

    するとみずほと善男が結婚したきっかけとなった、
    親友、三波貴男が生きていると言う情報を得る。
    しかも三波は優秀な心理学者だったのだ。
    11年前、事業に失敗した三波は実はみずほと付き合っていて、
    保険金欲しさに善男とみずほを結婚させ、
    善男のネガティブ人格を操作していたと言うのだ。

    善男はそんなことはない、と信じようとはしない。
    しかし、生きていた三波は善男にその全てを話す。
    自分が計画したことは保険金殺人だったこと。
    そして、善男の人格操作は失敗しており、
    善男を自分の手で殺さなければならない罪にさいなまれていたこと。
    飛行機事故で自分が死んだことになったことで、
    全てから開放されたことを。
    そして最後に善男に罪滅ぼしのため、
    ネガティブ人格と向き合わせ、一人の善男に戻す。
    そしてネガティブとひとつになった善男は最期の場所に旅立つ。

    その頃、ついに警察が動き始めていた。
    みずほの元夫の死について、警察はみずほに事情聴取を求めてきた。
    彼女が工作し、保険金殺人を行ったと裏付ける証言が取れたのだ。
    そのことが理由でみずほは森脇に社長を退任するよう、要求される。
    しかし、肝心の証言にみずほは心当たりが無く、
    保険調査員の杉本もみずほが誰かに陥れられているとにらむ。

    一方で、リカが借金取りの丸山と組んで善男を殺そうとする。
    しかし、善男は間一髪、保険調査員の杉本に助けられ、
    杉本は善男を襲ったチンピラを調べ上げ、警察へと情報をリンクする。
    丸山が警察に連行され、リカのことも話し、、
    リカと平太は善男の保険金を狙った殺人未遂の罪として
    警察に追われることになってしまった。

    警察に追われながらも善男に死んで欲しくない平太は
    善男を探し回るが、最期の場所が全く見当が付かない。
    善男が最期の場所として選んだ場所はみずほが知っているらしいのだが。

    ◆最終回◆
    みずほは警察に任意同行され、平太と会うことができない。
    平太は善男の居場所を懸命に探していた。

    そんな中、保険調査員の杉本はみずほの通話記録に疑問を持ち、
    みずほと同じ携帯電話を契約した人間がいないか調査を始める。
    すると、みずほの会社に彼女と同じ携帯電話を持つ人間がいることがわかった。
    証拠をつかんだ杉本は、みずほの会社に向かう。

    社内では森脇が部下を集めてミーティングをしているところだった。
    そこへ入ってくる杉本。
    ただ、今回は保険調査員だけでなく、警察同伴のようだ。
    杉本は警察官を前に自らの仮説について森脇に詰め寄るが、
    森脇は彼の仮説に証拠はない、と反論する。
    杉本はそばにいた女性社員に携帯電話を新規契約したことを告げ、
    既に通話記録を調査していることを話し、嘘をつくと偽証罪にあたると詰め寄る。
    すると、女性社員は慌てて、森脇が指示したことだと喋ってしまった。
    全ては森脇が仕組んだことだったのだ。
    会社の建て直し、みずほをも自分のものにするために…。

    そして、取調室で尋問にあっていたリカは善男の証言により、
    罪から開放され、釈放される。
    さらに丸山たちが警察に捕まったことで借金の2000万円も無効となった。
    自由になったリカ。
    しかし、これまでの出来事を振り返ると罪悪感が自分を責めていた。

    その頃、杉本が未だ警察署に拘留されているみずほに容疑が晴れることを伝えに来る。
    みずほは晴れて、前夫の保険金詐欺の容疑から解放されたのだった。
    みずほは善男に死んで欲しくない一身で、平太と協力し、
    善男を探していることを杉本に話す。
    杉本は善男の命を狙っていた二人が今度は生かそうとし、滑稽だと笑う。
    みずほはそれでも真剣に杉本に善男の居場所を尋ねる。
    すると、杉本は部下に調べさせ、善男の居場所を割り出した。
    しかし、仕掛けておいた発信機は10日しかバッテリーが持たないもので、
    途中で善男の居場所はわからなくなってしまう。

    平太が言うには、善男の最後の場所は「二人の心が繋がった場所」らしい。
    すると、しのぶから平太に電話が入る。
    しのぶは善男がいつか「クリスティーナの世界」について話していたことを思い出し、
    仕事の合間を縫って平太に連絡してきたのだ。
    また、みずほもカウンセリングの最中に心が繋がった瞬間を思いだす。
    そして、平太に「クリスティーナの世界」の1枚に良く似た場所があり、
    一緒に行こう、と話をしたことを伝えた。

    善男はその頃、「クリスティーナの世界」によく似た草原にいた。
    草原にたった一つの小屋には煙突があって、その先は断崖絶壁。
    善男はその煙突に登り、ネガティブ善男を呼ぶ。
    しかし、ネガティブ善男は現れなかった。
    ただただ、煙突の上で立ちすくむ善男。

    そこへ善男を見つけた平太がが小屋の煙突に登った善男を発見する。
    善男は最後の自由を邪魔しないで欲しいと言うが、
    平太はそんな善男に自分の父が自殺してしまった話を始める。
    弱くて、自らの命を絶った父親がキライだった。
    平太は弱いやつは消えればイイと思っていた。
    けれど、善男と共に過ごすうちに弱くても精一杯生きれるのだと、知った。
    自分が父親を嫌っているのは弱いからではなく、
    自分達の目の前から勝手にいなくなったからだと気が付いたのだ。

    そして、善男の足元にしがみつき、カレーを作って欲しいと、説得する。
    善男にとって誰かに必要とされるという思いは
    自らの命を絶つ決断を揺るがせた。
    そして善男もまた、弱くても精一杯生きて行けるのだと、感じるのだった。

    死ぬことから前向きに生きることを選んだ善男はみずほに会いに行く。
    しかし、二人は言葉を交わすことも無く、ただ、視線を合わせただけで、
    背を向け、二人はこれから別の道を進んでいくのだった。
    そして、平太はリカから別れを告げられる。
    善男と善男の影響を受けた平太と過ごしてきて、
    リカは自分の罪悪感に耐えられなくなっていたのだった…。
    それぞれが新しい道を歩み始め、
    善男もまた、仕事探しを始めたこと、友人ができたことなどを
    母への手紙につづっていた。
    これからは、今以上にたくさんの出来事が待っている。
    楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと…。
    善男には数え切れないほどの「明日」がやってくる。
    -------------------------------------------------

    [レビュー]
    善男は自殺せずにすみました。
    最後の11日間でいろんな人とふれあって、
    それぞれが善男の心に影響を受けて、
    そんな彼らの力によって善男の「明日」が開けたんだなぁ、と思いました。

    最後は平太だけでなく、しのぶやみずほも善男に死んで欲しくなくて、
    そういう心の動きが逆に切ない感じでした。
    平太やみずほは善男を利用していただけの関係だったのが
    善男の「善」の部分を前面に受けて変わっていったのに、
    当の本人の心は自殺から全く動かない感じで。

    特に「善男ちゃんを助けて」という宵町しのぶの言葉が印象的でした。
    しのぶは特に善男を利用したと言うわけではないので、
    純粋に涙を流す姿とてもキレイでした。
    あの舌っ足らずな口調でわがまま三昧を言っていたしのぶが
    後半はちょっと大人になったように見えました。

    このドラマでは周りの人間の善男への感情が変化していって、
    いろんな事件に善男が巻き込まれていくところが見所だったと思います。
    平太、しのぶ、みずほの温かい感情と、
    反対にダークになっていくリカや森脇。
    それぞれの思惑の上で、どんどん感情が大きくなっていって、
    いろんな出来事を引き起こして、それを冷静に判断する杉本。
    最初に生瀬さんが自分は謎解き役だと言っていたので、
    毎回、杉本に「頑張れ~」と思いながら観てました(^^;

    最後、善男はネガティブ人格と一人になったので
    「善」だけじゃなくて暗い人間臭さが出るようになりましたが、
    やっぱり、死ぬということを最後までネガティブ人格に押し付けて、
    自分から死ぬことはできなかったように思います。
    平太の思いが伝わったから、と言うべきなんでしょうけど、
    なんだか最後もあっさりと自殺をやめたように感じたので(^^;
    最後はあっさりかなぁ、と思いましたが、
    とりあえず、善男が死なずに前向きになれたことは良かったです。

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    2 コメント

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    言葉 (風舞)
    2008-03-27 17:44:00
    原作者の島田雅彦氏が出演なさった、しのぶが台本を朗読しているシーンには胸を打たれました。
    「本当の愛を手に入れたいのならば、許すことを知りなさい。他者を、そして自らを……。」
    これは、ラストシーンの伏線でもあったのでしょうね。
    エンディングで流れたGilbert O'Sullivanの名曲「Alone Again」と共にそれぞれが別れて別の人生を歩み始めた時は寂しかったですね。
    でも、唯一、善男と平太だけは年齢差を超えた友情で結ばれていることを確認できて、何だかほっとしました。
    返信する
    そうだったんですか (Rica)
    2008-03-28 17:30:11
    ★風舞 さん
    原作者の方が出演されていたシーンだったんですね。
    まさにラストにピッタリなセリフ朗読でしたよね。
    しのぶの涙がホント、切なかったです。

    私もみんなこの事件でバラバラになっちゃったのが寂しかったけど、二人の友情は最後に温かくなりました!
    善男にとって新しい世界を開いてくれた存在だったので、離れ離れになって欲しくなかったので(^^)
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