激戦州を地盤とするUAWの支持表明は今後の選挙情勢を左右しそうだ(UAWのショーン・フェイン会長
)=ロイター
【ニューヨーク=川上梓】
米自動車大手の従業員が加盟する全米自動車労働組合(UAW)は31日、11月の米大統領選挙で民主党の候補者となる見通しのハリス副大統領への支持を表明した。
8月7日に本拠地の中西部ミシガン州デトロイトでハリス陣営との集会を開く。
UAWの支持表明は自動車産業が集まる激戦州の選挙情勢に影響を与える可能性がある。
ショーン・フェイン会長が31日に声明を発表し「私たちはこの国の岐路に立っている。組合員にとってこの選択は明らかだ」とコメントした。
ハリス氏の陣営はUAWの支持表明を受け、「ハリス副大統領はUAWの支持を受けたことを光栄に思っており、組合の労働者と家族のために今後も戦い続けるだろう」との声明を発表した。
UAWは、8月7日にハリス陣営がデトロイトを訪問し、組合員やミシガン州の有権者が参加する集会を開くと発表した。
ハリス陣営は組合員やリーダーと面会し、労働者の課題について直接話を聞くという。同州は自動車や運送関連産業が集積しており、労働者票の争奪が想定される激戦州の1つとなっている。
UAWはゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手「ビッグ3」や関連企業、航空宇宙などの従業員が加盟する労組。現役の組合員は約40万人とされ、退職者を含めた組合関係者は60万人規模に及ぶ。
もっとも、UAW幹部は共和党のトランプ前大統領と対立姿勢だが、組合員の中にはトランプ氏を支持する層もいる。
バイデン米政権が推進してきた電気自動車(EV)への移行に不満を持つ組合員も多く、2023年秋にはビッグ3に対して大規模なストライキを実行し、4年半で25%の大幅な賃上げを勝ち取った。
米大統領選では民主党のハリス副大統領に労働組合からの支持表明が相次いでいる。
米国最大の労組連合、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が支持を表明したほか、サービス産業の労組や教員連盟などの労組も相次いで支持を表明している。
バイデン政権で労働政策のトップアドバイザーを務めたノースイースタン大学のセス・ハリス教授は「バイデン大統領を支持した組合がハリス副大統領を支持することを期待している」と話す。
その上で「焦点は今後、トラック運転手ら130万人が加盟する米国最大級の組合、全米トラック運転手組合(通称チームスターズ)が支持を表明するかどうかだ」とし、「労働者票の獲得に向け、ハリス氏が労働者向けの経済政策を訴えて支持を引き寄せられるかが焦点となる」と分析する。
チームスターズは民主党寄りだったが、7月、大統領選で共和、民主どちらの候補にも支持を表明しない可能性が報じられた。
共和党大会でショーン・オブライエン会長が初めて演説した一方、ハリス副大統領との対話の機会も設けている。