ロシアの裁判所は16日付で、ドイツ銀行の資産の一部差し押さえを決めた=ロイター
ロシアのサンクトペテルブルクの裁判所は18日までに、ドイツ銀行やイタリアの銀行大手ウニクレディト、独コメルツ銀行がロシア国内で保有する資産の一部を差し押さえた。
金額は合計で8億ユーロ弱(約1300億円)相当に上る。今後は他の銀行も含めて金額が増える可能性がある。
ロシアメディアによると、サンクトペテルブルクの裁判所が16日付でドイツ銀行の保有する有価証券など約2億4000万ユーロ相当の資産を暫定的に押収したと発表した。
ロシアの国営ガス会社、ガスプロム子会社の訴えを認めた。
裁判所はこのほか、ウニクレディトの有価証券など約4億6300万ユーロ相当を差し押さえた。コメルツ銀行の約9400万ユーロ相当の資産も押収した。
暫定措置のため、金融機関側は控訴できるという。
訴えを起こしたガスプロム子会社は、2021年に産業ガスを手がける独リンデと、ロシアのレニングラード州でガス処理プラントの建設で契約した。
ロシアメディアの報道では契約額は59億ユーロで、ガスプロム子会社はこのうち約10億ユーロを支払っていたとされる。
だが、ロシアが22年2月にウクライナ侵略を始めたことに伴う欧州連合(EU)の制裁措置を受けて、リンデは同年に契約の中断を決めた。
保証業務を担当した金融機関も制裁を理由に債務履行を拒否。ガスプロム子会社は23年にドイツ銀行など5行に対し、保証金や違約金の支払いを求める訴訟を起こした。
ガスプロム子会社はリンデに対しても3月に訴訟を提起している。6月に審理が始まる見通しだ。
ドイツ銀行の広報担当者は18日、日本経済新聞に対して「今回の措置がロシアの裁判所によってどのように実施され、ロシアでの当面の業務にどのような影響があるかを見極める必要がある。ドイツ銀行はすでに約2億6000万ユーロの引当金を計上している」とコメントした。
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日経記事2024.05.19より引用