終値で4万0913円をつけ、史上最高値を更新した日経平均株価(4日、東京都中央区)
東京株式市場で4日、日経平均株価が前日比332円89銭(0.8%)高の4万0913円65銭で終え、史上最高値を3カ月ぶりに更新した。
グローバル企業が多い東証プライム市場の時価総額は初の1000兆円に到達した。半導体主導だった3月までと異なり、円安を追い風に収益力を高める製造業や、脱デフレによる金利上昇がプラスになる金融などにけん引役が広がっている。
日経平均は終値で3月22日につけた4万0888円43銭を上回った。東証株価指数(TOPIX)は1989年12月18日につけた2884ポイントを34年半ぶりに上回った。プライム市場の時価総額は1007兆円と、初めて1000兆円を超えた。
海外投資家の日本株買いが再び始まった。米モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのマルチアセット運用部門の最高投資責任者(CIO)、ジム・キャロン氏は、日本の企業統治改革を評価したうえで「日本株は基準となる資産配分比率よりも多めに配分している」と話す。
2022年以前から上場する東証プライム約1630社の株価を調べたところ、4月以降に223社が最高値をつけた。
製造業大手が7月、相次いで最高値を更新している。
三菱重工業はエネルギーや防衛事業の成長期待から、株価が3月末比で40%上昇した。M&A(合併・買収)をテコに送配電事業などの収益力を高めてきた日立製作所も34%高となった。
「金利ある世界」の復活で、銀行株も高値更新ラッシュだ。利息収入増への期待が高まる中、25年3月期に2期連続の最終増益を見込むめぶきフィナンシャルグループは3月末比で22%上昇した。
株主還元に積極的な企業も投資マネーを集めている。4月に1000億円を上限とする自社株買いを発表したコマツ、追加の還元期待が強いリクルートホールディングスは、いずれも7月4日に最高値を更新した。
海外で稼ぐ力を磨く企業にも資金が流れ込んでいる。4日には海外で人工知能(AI)に積極投資するソフトバンクグループが、2000年2月につけた1万1000円(株式分割考慮)を上回って最高値を付けた。
長らく500兆円台だった名目国内総生産(GDP)は物価上昇圧力が高まった23年から上向き600兆円台に迫る。
名目成長が時価総額を押し上げており、みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「インフレが進みながら株価が上がる、通常の国になったことの表れ」と指摘する。
ただ実体経済とマネー経済に乖離(かいり)が生じている。東証プライム時価総額は名目GDPを上回る勢いで増加。その差は約1.7倍に開き、約2倍の米国に迫る。
GDPが国内の生産活動を反映するのに対し、時価総額は日本企業の海外市場での成長の果実も取り込むからだ。円安が海外子会社の利益をかさ上げしている面もある。
経済成長の果実は個人に十分に行き渡っていない。円安を背景にした物価高で実質賃金はマイナスが続き、GDPの半分以上を占める個人消費の足かせとなっている。
野村アセットマネジメントの村尾祐一常務CIOは「さらなる株高には、名目だけでなく実質の成長率を高める政策が必要になる」と指摘する。
(大越優樹、桝田大暉)
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壁谷洋和大和証券 エクイティ調査部長 チーフストラテジスト
ひとこと解説
多くの市場参加者にとって、このタイミングでの株価の高値更新には意外感があるかもしれません。
ただ、以前から日本株には独自の好材料(割安感、高水準の賃上げ、資本効率改善、円安・好業績、NISA拡大など)が存在することは指摘されていたので、特段の違和感はないかと思います。
直接的な背景としては、米国のインフレ緩和期待を受けた株高、一段の円安進行による国内企業の業績回復期待などが挙げられます。
今後の焦点は、日銀の金融政策と企業の決算発表で、追加利上げの有無や、決算内容の良し悪しが目先の相場を方向付けることになりそうです。
一方、長期の視点で言えば、今回の高値更新は、あくまでも一つの通過点との位置付けです。
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井出真吾ニッセイ基礎研究所 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト
ひとこと解説
先週あたりから「海外投資家が日本株を買い始めた」という話はありました。
さらに1ドル161円を超えても財務省が為替介入を実施した様子がないことで「急激な円高リスク」が遠のき投資家の買い安心感に繋がった面もあるようです。
さらに、今週は空売りしていた投資家の買い戻しも重なり、一気に最高値を更新したとみられます。
目先、もし利益確定売りが膨らめば4万円割れの可能性も否定できませんが、こうした動きを何度か繰り返しながら、いずれは「4万円台定着」が期待できそうです。
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ひとこと解説
日経平均もTOPIXも最高値。2つの要因が日本株を押し上げたと考えている。
【1】4-6月決算への期待:6月の日銀短観大企業DIが高水準であったことから、これから本格化する4-6月決算は良好と考えられる。
円安・米景気堅調・リオープンが追い風。今期(2025年3月期)業績の会社予想が低かったことが、5月から日経平均が売られる要因となったが、4-6月決算発表で日本企業の業績好調が続いていることを再確認することになると予想している。
【2】買い需要増加:買いの中心は外国人投資家と考えられるが、それに加えて、例年以上に自社株買いが増えていること、個人投資家の積み立て投資が増えていることも寄与。(再掲)
(更新)
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ひとこと解説
①TOPIXの終値は3000の大台に迫る勢いです。
日経平均に続き、TOPIXが34年半ぶりに最高値を更新したことはシンボリック。日本株はこれでもはやバブル後ではない。天井が取り払われた雰囲気でしょう。
②もしトラを織り込む投資環境は日本株には追い風、まさにトラに翼なのかも。
減税による米景気テコ入れを期待した米国株高と米長期金利の下げ渋り。
それに伴うドル高は、日本企業にとって悪い話ではない。
③円安は日本の長期金利を押し上げますが、それはそれで金融機関には利ザヤ拡大をもたらすプラスという解釈に。踊らにゃ損損とばかりに、市場参加者はいいとこ取りに走っています。(再掲)
(更新)
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2024年7月4日、日経平均株価が終値4万913円65銭となり史上最高値を約3カ月ぶりに更新。同日、東証株価指数(TOPIX)はバブル経済期の最高値を約34年半ぶりに上回りました。最新ニュースと解説記事をまとめました。