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石破氏の経済・金融政策 米識者、金利正常化に期待

2024-09-28 09:22:18 | 日本政治・外交

自民党は27日投開票の総裁選で石破茂氏を第28代総裁に選んだ。
米国の識者に経済、金融政策面で石破新総裁に期待する点を聞いた。

 

 

賃上げや女性活躍策に期待

米ピーターソン国際経済研究所 アダム・ポーゼン所長



岸田文雄政権は特に、外交安全保障政策や経済政策で優れていた。岸田首相はワシントンで存在感があったほか、日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」での国際連携、欧州やウクライナとの関係においても、有能な外交官として見られていた。

日本国民の間ではインフレへの不満や自民党のスキャンダルへの関心が高いのかもしれないが、外交・経済政策はおおむね成功している。新総裁の下でも継続すべきだ。

 

石破新総裁の人となりは詳しくないが、賃上げの促進や女性活躍を重視する政策には期待している。ぜひ実現してほしい。一方で地方振興は財政の無駄遣いにつながりかねず、評価しかねる。

日米同盟の再構築への言及は、何を明確に意図しているのか不透明だった。台湾有事を見据えたタカ派的な発言とみている。米国も大統領選を控えており不確定要素が多いが、日米首脳同士の良好な関係の継続を切に願う。

 

日本が今後重視すべきは、まず労働力の供給拡大に向けた取り組みの継続だ。

つまり海外からの移民労働者を増やすべきだ。経済協定などで近隣諸国との関係を深めながら、外国からの直接投資を呼び込むことも不可欠だ。

 

労働市場における女性の待遇改善や、配偶者が働いても不利にならないような税制改正も求められる。

(聞き手はニューヨーク=長尾里穂)

 

 

金融政策の正常化、長期的に株価にポジティブ

米資産運用会社オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、マティアス・シェイバー氏(ロンドン駐在)



石破氏は日銀による金融政策の正常化を支持するとみられており、為替市場では円が急騰している。今後も円高が進む可能性が高く、短期で見れば株価にもボラティリティー(変動率)を生む可能性はある。

インフレ率やインフレ期待が継続して高止まりする場合には、日銀が金融引き締めに動く余地が生まれることになる。

 

日本の金利は他の先進国と比較して非常に低いが、金融政策の正常化は市場センチメント(心理)を後押しし日本経済への資金流入をもたらすとみている。

株式市場への影響について、長期的にはポジティブだとみている。円高は短期で見れば株価にとって逆風だが、長期的には低インフレと堅調な経済成長が株価を下支えするだろう。

 

地方支援を通じて人口問題に取り組むという石破氏の考えは、長期的に経済成長を後押しするはずだ。

岸田前首相は新しい少額投資非課税制度(NISA)を作り、国民が株式市場に資金を投じるように促した。

企業はより多くの資本投資を行うことができるようになった。新政権も日本の資本市場と経済成長を支える改革を継続すると期待している。

 

岸田前首相は地政学の観点から、同盟国との関係強化にも注力してきた。防衛費増額に向けた財源確保の枠組みを作り、防衛費は2027年に国内総生産(GDP)比で2%になる見通しだ。

石破氏は選挙期間中にアジア版の北大西洋条約機構(NATO)の設立を提唱している。(安全保障を重視する)岸田政権の外交方針を引き継ぐとみている。

(聞き手はロンドン=日高大)

 

 

 

財政再建は経済拡大あってこそ

米資産運用会社アドベント・キャピタル・マネジメントのマネジング・ディレクター

ケビン・ザウ氏

 

新総裁の下馬評では石破氏が3人の最終候補の中で最も可能性が低いとみられていただけに新総裁への当選は少々驚いた。

金融市場関係者の同氏の見方は法人税率の引き上げやキャピタルゲイン課税の拡大などを通じた財政再建、金融政策の正常化という日本の株式投資家などにはあまり好ましいものではなかった。

つまり岸田首相とは反対の経済政策を投入するとみられていた。日経平均が先物市場で急落したのはそのためだ。

ただ、岸田首相も就任当初は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に反対していたが、その後資産運用立国を目指して新NISAの導入などアベノミクス寄りの政策を取り入れた。

 

石破新総裁もこれまで主張していた経済政策からより資本市場を重視した政策にシフトしてもらいたい。財政再建も経済拡大があってこそ実現するものだ。

スローガンだけでなく、具体的な資本市場活性化の対策を講じてほしい。石破氏は「あらゆる政策はすべての人に公平・公正に」と強調している。例えばNISAはまさに公平、公正にすべての人の資産運用に役に立つものであり、ぜひ資産運用立国の政策を続けてほしい。

 

 

また、石破氏がかねてから主張している地方再生の政策として、例えばリニア中央新幹線の計画について、JR東海1社だけの体力に頼らず、政府の政策銀行が優遇金利で融資するなど資金調達の面などで支援しながら早く実現すべきだ。

首都一極集中を減らすために東京・大阪間のリニア新幹線を通じて、途中駅の山梨県、長野県、岐阜県の活性化につながる。

 

日本で遅れている医療情報のデジタル化に加え、住宅不動産情報も普遍化、透明化するために規制を緩和すれば、住宅不動産売買もより活発になるだろう。

外交問題である日米関係、日中関係については政治家として長い実績がある石破氏は平和的なやり方で関係を構築していくと思われる。

 

日経平均はキャピタルゲイン課税などへの懸念からいったん軟調となるものの、具体的な政策が出てくれば上昇に転じるとみている。

(聞き手はニューヨーク=伴百江)

 

 

円相場、25年に130円台まで上昇も

米バノックバーン・グローバル・フォレックスのマーク・チャンドラー氏


石破氏の選出は驚きだった。多くの人が(金融緩和に前向きなハト派の)高市早苗氏が選ばれるだろうと考えて円を売っていたため、反動で円が急騰した。

石破氏の経済政策はやや不明瞭だが、それでも新総裁に選ばれたのは強気の外交姿勢のためだろう。 中国での日本人少年の殺害事件や南シナ海における対立など、対中関係を中心に外交面が重大な問題として意識されたのだと思う。

 

7月から8月にかけて、円相場は変動率(ボラティリティー)の小さい通貨から大きい通貨に変化した。 為替レートを動かす大きな要因は米国の10年物国債利回りだとみている。

長期的に10年債利回りは低下するだろう。これまで高金利で強かったドルは下落基調に転じたとみており、円相場は2025年に1ドル=130〜135円まで上昇するとみている。

 

円は9月に3%ほど上昇し、主要な10カ国の通貨の中でも強さをみせている。

ヘッジファンドなどの投機筋の持ち高をみると、円の買い越しに転じた。一方、日本の投資家は円を売り、外国の株式や債券を買い続けている。これは急な円高進行を防ぐ要因になるだろう。

(聞き手はニューヨーク=野一色遥花)

 

 

 

 
 
 
 

自民党は9月27日投開票の総裁選で石破茂氏を第28代総裁に選びました。1回目の投票で過半数を得られず、上位2人による決選投票で215票を得て高市早苗氏に勝利しました。10月1日召集の臨時国会で岸田文雄首相の後継として第102代首相に指名される見通しです。

 

 

 

2024.09.28より引用

 


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