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受刑者の再犯防止、国連で指針作り 日本が主導

2024-05-20 19:48:42 | 国際政治・財閥


ベニスで開かれたG7司法相会合でも司法制度のノウハウの共有など改善策が議論された=イタリア政府提供

 

【ウィーン=田中孝幸】

国連などの多国間外交の場で受刑者の再犯防止や社会復帰の問題が注目されている。

国連が再犯防止対策の指針をつくるほか、主要7カ国(G7)も司法当局間で協力する。保護司など独自の取り組みを持つ日本が議論を主導する。

「再犯を減らす取り組みを考える必要がある」。イタリア政府の発表によると、同国のベニスで9〜10日開いたG7司法相会合は、各国の司法制度について学び合って改善を目指す「ベニス司法グループ」の創設を決定した。

各国の閣僚からは薬物犯罪などの抑止に向け、再犯防止対策の必要性を指摘する声が聞かれた。出席した閣僚の同行筋は「再犯防止など具体的な取り組みへの関心の高まりが感じられた会議だった」と語った。

再犯防止対策に関心が高まるのは、米国など各国で再犯率の高い薬物犯罪が問題になっているからだ。供給側を解体するだけでなく、使用する需要側を減らす取り組みが欠かせないとの問題意識がある。

犯罪者への対応を巡っては厳罰による犯罪抑止を目指す多くの新興国と、寛容な政策で受刑者の更生を重視する北欧などの欧州諸国の隔たりが大きい。日本は中間に位置する。

 

国連は17日、ウィーンで開いた国連犯罪防止刑事司法委員会で再犯防止対策の国連準則を2025年までに採択することを目指すと決めた。準則は国連加盟国の再犯防止対策の基本指針や基準を定める内容だ。

議論は日本が主導する。日本のこれまでの再犯防止の取り組みを盛り込むことを探っている。

日本では罪を犯した人の立ち直りを支える保護司など、独自の対策を続けてきた歴史がある。西欧で教会を中心としたコミュニティーの弱体化が進み、日本の取り組みへの関心も高まっている。

日本政府が15日にウィーンで開いた保護司制度を紹介する会合には、欧州や東南アジア諸国など25カ国の代表者が集まった。

日本から訪問中の保護司とも面会したルーマニアのモラー国立刑務所管理局次長は「日本の再犯防止のノウハウは非常に貴重で、今後の対策づくりに反映させたい」と語った。

フィリピンのアバロス内務・自治相も「現政権は再犯率の低下を非常に重視しており、日本の制度から取り入れるべき点は多い」と強調した。

 


在ウィーン国際機関日本政府代表部の海部篤大使㊨が開いた会合には日本の保護司制度に
関心を寄せる25カ国の代表が集まった

 

在ウィーン国際機関日本政府代表部の山崎純1等書記官は「司法制度上も西欧と新興国には違いがあるだけに、日本が果たせる役割は大きいと実感した」と語る。

日本が司法外交で指導力の発揮を目指すのは、ウクライナへの侵略で法の支配に基づく国際秩序を揺るがしたロシアや、中国への対応策の一環と位置づけるからだ。G7は司法相会合でも、権威主義陣営に対抗するための法の支配の推進や人権の尊重を打ち出した。

 

 

日経記事2024.05.20より引用

 

 

 


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