日経平均株価は石破茂首相の金融政策を巡る発言を受けた円相場の急激な値動きに伴い荒い展開となっている。
年内の見通しを岩井コスモ証券の嶋田和昭ストラテジストに聞いた。
日経平均は2024年末に4万1000円まで上昇するとみている。良好な海外景気を背景にした企業業績の伸長が後押しする。
米国の個人消費は底堅く、中国が打ち出した追加の景気刺激策は先々の世界経済にプラスに働く。
日本株のPER(株価収益率)は足元で過去1年間の平均と比べて割安な水準にあり、好業績が確認できれば見直し買いが進むだろう。
国内では実質賃金がプラスに転換し、消費も堅調だ。強気な設備投資計画を打ち出している企業も多い。
夏場以降の為替の円高進行で、輸出企業の収益上振れ効果は剝落しつつあるものの、期初の業績予想が保守的だった分、上方修正期待は依然として強い。
セクター別では景気が底堅い米国を中心に事業を展開している住宅メーカーや建機メーカーなどが有望とみている。
11月5日の米大統領選挙で民主党候補のハリス副大統領か共和党候補のトランプ前大統領のどちらが当選するかで物色の対象は変わるかもしれないが、いずれにせよ次期政権への期待から恒例となる米国株の年末ラリーが始まり、日本株の上昇にも弾みがつきそうだ。
ただ、石破新政権の政策の方向性が見えづらいことは日本株の短期的なリスクだ。これまでの資本市場の改革を背景に、企業の自社株買いは今年のこれまでに23年通年を上回るペースにあり、資本効率の改善期待が相場を下支えしている。新政権はこの改革の流れを加速させてほしい。
岩井コスモ証券の嶋田和昭ストラテジスト
日経平均株価などの相場の見通しと背景をマーケットのプロが語ります。
日経記事2024.10.08より引用