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年金水準「経済成長なら6%減、横ばいで2割減」 政府試算

2024-07-03 16:39:07 | 日本経済・金融・給料・年金制度

厚生労働省は3日、公的年金に関する長期的な見通しを示す5年に1度の「財政検証結果」を公表した。

一定の経済成長が続けば将来の給付水準低下は現在の6%減にとどまり、成長率がほぼ横ばいなら2割近く下がる結果が出た。

 

いずれのケースも前回の2019年に比べて低下率が縮小する傾向がみられた。高齢者と女性の就労参加が進んだことや、株高による積立金の増加が寄与した。

 

 

今回の財政検証は人口推計や経済状況などの前提が異なる4つのケースについて、年金財政の健全性や給付水準がどう変化するかを試算した。

給付水準については会社員の夫と専業主婦の妻の世帯が受け取る「モデル年金」を中心に検証した。

 

年金制度は少子高齢化が加速しても長期的にわたって給付できるように、当面の支給額を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがある。

財政検証ではモデル年金が現役世代男性の平均手取り収入の何%にあたるかを示す「所得代替率」という指標で、将来の年金水準がどこまで下がるかを確認した。

 

実質経済成長率が1.1%の「成長型経済移行・継続ケース(成長ケース)」の場合、所得代替率は37年度に57.6%となり、2024年度の61.2%から6%低下した。

女性や高齢者などの労働参加が一段と進むという前提条件を置いた。

 

成長率が1.6%の「高成長実現ケース(高成長ケース)」の所得代替率は39年度に同7%減の56.9%となる。成長ケースの方が前提となる賃金上昇率を低く設定している分、「賃金を上回る実質的な運用利回り(スプレッド)」が大きくなり給付水準の下げ幅が小さい。

成長率をマイナス0.1%に設定した「過去30年投影ケース(横ばいケース)」は給付水準の低下が57年度まで続き、所得代替率は50.4%と2割近く下がる。

 

 

財政検証は年金制度を改革する場合の効果も試算した。そのうちの1つはパート労働者らの厚生年金の加入要件を緩和することだ。

10月からの基準である「従業員51人以上の企業に勤務」という企業規模要件を撤廃した上で、5人以上の全業種の個人事業所に適用すると新たに90万人が加入対象となる。

 

週10時間以上働くすべての企業や個人事業所に勤める人を加入させると対象は860万人増える。成長ケースの場合、所得代替率を1〜3.6%引き上げる効果がみられた。

国民年金の保険料納付期間を現在の40年から45年に延ばす場合の影響や、厚生年金の給付抑制期間を長くする代わりに基礎年金の抑制期間を短縮する場合の影響も算出した。いずれも所得代替率にプラスの効果があった。

 

厚労省は今回の財政検証を踏まえ、秋にも与党と年金制度改革の議論を始める。年末までに具体策をまとめ、年明けの通常国会で関連法の改正案を提出する。

 

 

 
 
 
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授
分析・考察

モデル世帯における、2024年度の所得代替率61.2%の内訳は、基礎年金部分が36.2%、報酬比例部分が25%です。

厚労省の資料(2024年財政検証)をみると、それが「過去30年投影ケース」では、2057年度以降で所得代替率が50.4%になり、その内訳は、基礎年金部分が25.5%、報酬比例部分が24.9%となっています。

これは、1階部分(基礎年金部分)の給付が約29.5%カット(=1-25.5÷36.2)されることを意味しますね。

前回の似たシナリオのケースⅢでは、1階部分(基礎年金部分)のカット率が約28%だったので、基礎年金の刈り込みが1.5%ポイント、より深くなったことを意味します。

 (更新)
 
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日経記事2024.07.03より引用

 

 


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