バンス氏(中央左)とウォルズ氏(中央右)は討論会終了後に言葉を交わし、
互いの夫人を紹介し合った=ロイター
【ワシントン=坂口幸裕】
11月の米大統領選に向けた副大統領候補討論会が1日に開かれた。民主党のウォルズ・ミネソタ州知事と共和党のバンス上院議員は浮動票を意識して個人攻撃を控え、比較的冷静に政策論争を交わした。
討論は互角となり、接戦が続く大統領選の趨勢に大きな影響はなかったとみられる。
大統領候補の民主のハリス副大統領と共和のトランプ前大統領の2回目の討論会は予定されていない。副大統領討論会は投票先をまだ決めていない浮動票の動向に影響を及ぼす可能性があるとして注目されていた。
副大統領討論会後の米メディアの評価はほぼ互角だった。討論会を主催したCBSテレビの調査では、42%がバンス氏、41%がウォルズ氏を勝者と判断した。
最初の質問は1日にあったイランによるイスラエル攻撃を受けて、重要テーマとなった外交だった。
ウォルズ氏は同盟・有志国を軽視するトランプ氏の外交姿勢について「我々は同盟国に関与し続ける」と強調した。トランプ氏がイラン核合意を離脱したため「イランが核兵器保有に近づいた」と批判した。
バンス氏は「(在任中の)トランプ氏は効果的な抑止力を確立して世界に安定をもたらした」と反論。「(同氏は)米国を恐れさせるには強さによる平和が必要だと認識していた」と説明した。
イスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃はトランプ前政権では起こらなかったと力説した。
気候変動問題も主張の違いが際立った。バンス氏は気候変動対策に必要なのは「できるだけ多くの製造業を米国内に戻すことだ」と訴えた。ハリス氏の政策について「世界で最も環境汚染がひどい」中国に太陽光パネルの製造を依存した結果、温暖化につながっているとの見解を示した。
ウォルズ氏は「天然ガスや石油を大量生産し、クリーンエネルギーも増やしている」と語り、「二者択一ではなく両立させられる」と訴えた。
不法移民対策では応酬が繰り広げられた。
ウォルズ氏は不法移民の取り締まりを強化する国境対策をめぐる与野党合意をトランプ氏が阻止したと非難。
9月10日の大統領候補の討論会で、トランプ氏がオハイオ州の町で不法移民が犬や猫を食べていると主張したことを擁護するバンス氏を批判した。
バンス氏はバイデン政権が発足当初に進めた寛容な移民政策を念頭に「恥ずべきだ。ウォルズ氏はこの問題を解決したいだろうが、ハリス氏はそうではない」と述べた。
互いを誹謗(ひぼう)中傷する場面は目立たなかった。過激な言動を好まない浮動層に敬遠されるのを避けたかったためとみられる。
ひとこと解説
外交からエネルギー、景気浮揚、中絶などの政策や、議会襲撃への立場はあまりにもかけ離れていて議論にならず、「勝者」は決めようがないのですが、どちらの支持者も納得。
ハリスとトランプの討論会と同じ。いずれにしろ「何かあった時に大統領職を担当できる」という副大統領としての資質を二人とも証明。
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日経記事2024.10.02より引用