開幕を前に準備が進むワシントンの会場(8日)=AP
【ワシントン=飛田臨太郎】
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が9日、米ワシントンで3日間の日程で開幕する。
米国家安全保障会議(NSC)のカーペンター欧州上級部長は8日、加盟国が来年1年間で、400億ユーロ(約6兆9600億円)のウクライナへの安全保障支援策で合意するとの見通しを示した。
首脳会議で正式に決める。ドイツにNATOの新司令部を創設し、ウクライナ軍を訓練などで支援することも明らかにした。
カーペンター氏は記者団に「訓練と装備を調整し、ウクライナの将来の兵力開発を支援する」と説明した。ウクライナのキーウ(キエフ)に上級代表を駐在させ、連携を強化する。
ウクライナの将来的なNATO加盟を巡る声明の文言を巡り「明確かつ力強いものになるだろう」と語った。「加盟への道を歩むウクライナへの加盟国の支持を示す」と強調した。
首脳会議はロシアの侵略を受けるウクライナへの支援の継続が主要議題となる。加盟国はウクライナの防空網を強化するための新たな支援策も発表する。
11月の米大統領選を戦う共和党のトランプ前大統領はNATOを軽視する。トランプ氏が再選を果たした場合でも、NATOによるウクライナ支援に大きな支障がでないような方策を議論する。
ロシアの防衛産業を支える中国への対応も討議する。カーペンター氏は首脳がまとめる声明にも協議の内容が盛り込まれるとの見通しを示した。
首脳は9日にNATO設立75年を記念したイベントを開く。10日に会議を開き、スウェーデンの新規加盟を歓迎する。バイデン大統領は同日夜、ホワイトハウスで夕食会を主催する。
11日は日本などインド太平洋地域のパートナー国も交えた会議を開催する。NATOとウクライナによる協議もある。バイデン氏は同日、記者会見を開く。
米政府は8日、バイデン氏と英国のスターマー首相が10日にホワイトハウスで会談すると発表した。スターマー氏は5日に就任したばかりで、両首脳が対面で会談するのは初めて。
各国の首脳が一堂に会するのに合わせ、2国間の会談も活発に開かれる。
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日経記事2024.07.09より引用