取材に答える英金融街シティーのロードメイヤー(市長)のマイケル・マイネリ氏
(5月31日、東京都千代田区)
英金融街シティーのロードメイヤー(市長)を務めるマイケル・マイネリ氏は岸田文雄政権が掲げる資産運用立国に絡み「日本における投資機会が増えている」と述べた。
「英資産運用会社の日本進出を誠実に望んでいる」と語り、日本市場への参入を後押しする意向を示した。
5月31日、都内で日本経済新聞の取材に答えた。「日本拠点の開設が最善の決断だと多くの運用会社が気づき始めている」との見方を示した。
そのうえで「企業がこうした決断を下せるよう環境を整えたい」と話した。
シティーと東京都は2017年に金融分野での交流や協力に関する合意書を締結した。
マイネリ氏は相互理解を促すイベントの実施や人的交流など実績に触れた。「これまで8年間の協働が英運用会社の日本進出の機運を高めた」と強調した。
日銀の資金循環統計によると、日本では家計の金融資産に占める現預金の比率が5割を超えており米欧より高い。同氏は「(日本は)貯蓄をうまく活用できていない」と指摘した。
岸田政権は貯蓄から投資へのシフトを促進してきた。
マイネリ氏はこの流れを定着させるためには「(不動産や未公開株など)オルタナティブ(代替)投資を含めた運用商品の多様性が重要だ」と語った。
投資機会の拡大に英運用会社が寄与できるとの考えを示した。
英国の資産運用業界に対して目先の利益でなく将来性や持続可能性を意識するように呼びかけていると説明した。
「クリーンエネルギーへの移行やジェンダー平等に焦点を当て、解決策を模索する企業などと将来を見据えてほしい」と訴えた。
こうした課題の解決に向けた一環として日本企業にも目を向けるべきだと説いた。
マイネリ氏は「日本は未来に立ち向かう体制が整っている。同国への進出の検討を英運用会社にためらいなく勧めたい」と意欲を示した。