ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

本屋さん

2020-08-20 | アメリカ事情

 

 

 

かなり長い間、合衆国の本屋にはいくつかチェーン店があり、ウォルデン書店とB. ドルトン書店はどのモールに行っても必ず店舗があった。そして1970年前後から、ボーダース書店が、バーンズ・アンド・ノーブル書店(1886年創業)に次いでチェーンを展開して行き、2011年にボーダーズが経営破綻により閉店するまで、この二つはアメリカの書店の顔のようなものだった。

どちらも喫茶コーナーを設け、バーンズ・アンド・ノーブルはスターバックスと、ボーダーズはシアトルズ・ベスト・コーヒーとタイアップしていた。現在チェーン書店は、約26あるが、最大大手はアマゾンブックスに並んで、バーンズ・アンド・ノーブルである。

近年はアマゾンに負け気味であるが、実在の書店でゆっくり実際に書物を手に取って目を通したい時、雨の土曜日の午後など、温かい飲み物を片手に気に入った本を購入して喫茶コーナーでちょっとした時間を過ごすのも決して悪くはない。

こうした大規模書店が興隆時に、街中の昔からある書店、独立書店は、その渦に巻き込まれていったが、今でもそうした書店はひとつ、ふたつは大抵の街に残っている。例えば、ミシガン州アンアーバー市にあるLiterati Bookstoreリタラティ書店。

この書店は2013年にマイク・グスタフソンと妻のヒラリーが始めた独立書店である。一目ここの店内を見渡しただけで、本好きは三時間は居たいと思うことだろう。居心地のよい本屋さんは、このコンピュータ―ヴァーチャルの時代、希少価値がある。そしてこの書店には、ひとつの「ならわし」がある。それは下階に置いてある一台の手動タイプライターで、客は皆誰でも何か書き残したければ、タイプできる。

 

 

五年間でこの古いタイプライターで打たれて書かれたものは、千にも及ぶ、愛の手紙、引用、人生の瞑想、 詩、 深い個人的な告白、すでに亡い人への、あるいは愛するペットへのメモや手紙である。書店主のマイク・グスタフソン氏は、この公共タイプライターで書かれたものは、この街の日記で、すべてのメモは捨てられない、と言う。こうした様々なタイプされた作品は、2018年一冊の本にまとめられて、出版された。勿論アマゾンでも入手できる。

 

 

図書館は勿論、書店も大好きな私は、子供たちが成長し、家を離れてから、夫を誘ってバーンズ・アンド・ノーブル書店で土曜日の少しだけを費やしたりする。 あるいは、”You can find me at the usual  place"(いつものところにいるから見つけてね)とでもメモを冷蔵庫のドアに張り付けて一人でも出かける。そういう小さな楽しみは、三月以来持てないが、その代わり、この”Notes From A Public Typewriter"(公共タイプライターからのノーツ)を居間のカウチの端に丸くなって読むとしようか。

こんなに暑い(今日は華氏109度=ほぼ摂氏43度)けれど、二十四節気では、すでに8月7日から22日が立秋である。読書の秋もすぐそこだ、と励ましながら、自粛を心がけよう。

ところが、自粛はいいのだが、夏は非常に高温になるカリフォルニア州は今週からRolling Blackout( 輪番停電)が例年のごとく始まった。サクラメント方面からだんだん州の下方へ、順番に普通午後3時から10時までの2時間近く、停電するので、冷房やコンピューターやらが一番に影響を受ける。だからやっぱり紙の本は離せない。蝋燭で、読めるのだから。それにしても何故こうした計画的停電が、Theの付く先進国で起こるのだろう? そうだ、公共タイプライターが目の前にあったら、それについて二、三行は打てそうである。

 

日本で流行りそうなブックバッグ

 

 

 


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