ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

息をする

2021-10-07 | 家族

ベーカー山: この山を目にする度、majestic(気高く雄大)、という言葉が浮かぶ。

 

 

 

カリフォルニア州中部の著名な観光地のあちらこちらに煙が立ち、

 

こちらの地方新聞の写真。

近隣のいくつかの国立公園や国立森林への道は、下の写真のように様消防車両ばかりな日々が長く続いている。避難勧告や立ち入り禁止のサインもたくさん出ている。そして空気は非常に汚れ、大気はオレンジっぽい色あいになっている。煙たい。

 

こちらの地方新聞の写真。

外出はくれぐれも最低最小限にして、外ではN95のマスクが推奨されている。N95 はいいのだが、息苦しいのは否めず、わたしはオフィスではすぐに不織布マスクに掛け替える。日本製の不織布マスクが入手できるようになり、そんな小さなことでも嬉しい。

とにかく煙に燻された私は、北の姉を訪ねることにした。息がしたい、と願って。飛行機の窓からいつものように、毅然としたベーカー山やレーニエ山の気高い白い嶺を見下ろすと、なんだかほっとしてきた。州を越える旅は、ワクチン接種以前の去年10月にもしたが、あの時は不織布と布製のマスクを重ね掛けで、手指消毒用のワイプスやジェルをポケットに、一段と浄化された空気の航空機内で快適に過ごして旅をした。昨年は乗客も少なかったが、今回はほぼ通常営業で、みなマスクを掛け、ほどほどのソーシャル・ディスタンスも保たれて、ひとつも気がかりはなかった。

この旅の目的は末娘の私とかなり年の離れた長姉の様子を見ることだったが、すでに未亡人になって5年になる彼女は、夫婦単位からなんでも一人という生活にも慣れて、元来の活発さも戻っている。供える花束を持って、小雨の墓地へ行くと、たった一年なのに、今までなかったいくつかのモーソリアム(Mausoleum)が建てられ、その半数近くはすでに納骨されていた。パンダミック渦中のこの2年近くを感じぜずにはいられなかった。

向かいが森で海の見える墓地を秋雨の中、散歩してから後にしたが、姉と私は、やはりどの墓所にも亡くなった方々はいらっしゃらず、義兄とて、おそらく世界中を飛んでいるに違いない、などと話していた。この小雨にそよぐ風に、やがて降るだろう雪にそうした方々はいらっしゃるにちがいない。

姉は二頭のオールド・イングリッシュ・シープドッグと、二匹の猫と暮らしていて、庭には、鹿、ウサギ、三種類のリス、ウズラ、フクロウ、ときには猛禽類(ハクトウワシ)、三種類のキツツキやハミングバードを含めた多くの野鳥(孔雀さえやってきたことがある)が毎日ひっきりなしにやってくる。一人暮らしの姉は、そうした動物たちに非常に癒され、また親切な隣人一家もあり、かなり快適な隠居生活を楽しんでいる。

写真では小さく見えるが、120パウンズ(約54Kg)女の子。

 

非常に野性的な女の子。

 

私たち姉妹や弟は、みな渋谷区原宿で生まれ、育ち、後に横浜へ移り、都市生活を経験したが、特に長姉は今のこの生活が気に入っている。姉宅で、私は朝一番にまず暖炉に火をおこすことが気に入っている。そしてなによりも、窓を開けて、森を吹き渡る微風を頬に感じ、埃や煙のない新鮮な海からの空気を胸いっぱいに吸い込むことを感謝する。

たった8日間でも、喘息がちな私は、両肺の隅々まで新鮮な空気を満たせ、ゆっくりと休息できた。たちまちのうちに再び機上の人となり、中部カリフォルニアにのしかかっている厚い煙の層を眼下に見て、ため息をついた。

 

 

このリスは、毎日野鳥の餌に入っているひまわりの種を熱心に取り、その執念には驚かされた。その執念さの「ご褒美?」に、最後の朝、たくさん殻付きピーナツを積んだ薪のあちらこちらに置いてきた。また来年ね。

 

コメント (4)
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