稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

資料館収蔵庫の燻蒸をおこないました。

2013年10月04日 | 日記
9月29日(日)~10月3日(木)、この間、当館では、

「燻蒸」(くんじょう)という作業をおこないました。

今回は、その作業について、ちょっと紹介いたします。

燻蒸というのは、当館の収蔵庫内に殺カビ・殺虫・
殺卵・殺蛹効果のある「アルプ」というガスを充填し、
これを資料に浸透させておこなう対病害虫管理の
一つの方法です。

もちろん、殺虫効果のあるガスですから、長時間・
大量に吸い込むと、人体にかなりの悪影響があります。

ですから、安全対策のため、一定期間、資料館と
図書館を閉館する必要があります。

以前は「エキボン」という、使用時間が短く、かつ効果の
高い薬剤を使用していました。
けれどもエキボンはオゾン層を破壊する恐れがある、
ということで、2004年12月末以降、使用が禁止されました。

やはり、地球環境への配慮は、大切ですね。


さて、当館の収蔵庫内は、ご覧の通り資料でいっぱいです!


燻蒸に使う機材が、館内に搬入されます。


下の写真は、燻蒸効果を確認するための、
「菌」や「虫」を封じ込めた「テストサンプル」です。

この時は、まだ虫もわしゃわしゃと元気に動いていました。

収蔵庫内を密閉するために、エアダクトなどを
目張りします。


安全確認のため、消防署の立入検査が入ります。


さぁ、準備ができました。
資料館や図書館が閉館した、午後6時頃から
48時間、アルプという燻蒸ガスを収蔵庫内に
圧送します。



48時間後、燻蒸ガスの圧送が終了すると、
今度はガスの排気をおこないます。

下の画像は、残留ガス濃度の検査器がオレンジ色に
変色したものです。
終了直後のガス濃度が高かったことが分かります。


燻蒸作業中は、圧力をかけてガスを資料に浸透
させるのですが、文書箱や衣装ケースなどは、
浸透させたガスが中々抜けにくく、ガス濃度が
下がるには時間がかかるのです。

安全確認がなされるまでは、たとえ職員でも
収蔵庫の中には入れません。


さて、引き渡し前の、残留ガス濃度の検査です。
アルプには、人為的に「甘い香り」が付けられている
そうですが、収蔵庫内には、それ以前にしてなかった、
「甘い香り」が、まだ漂っていました…。

検査器で収蔵庫内の空気を吸い込み、オレンジ色に
変色する部分が多ければ多いほど、残留濃度が
「高い!」ということです。


まだ「甘い香り」は残っていたものの、検査器は
全く変色せずに、燻蒸ガスの濃度が安全なレベル以下に
なったことを示しています。

テストサンプルの虫も今では全く動いていません。


この後、テストサンプルは、1カ月程度の監視を
おこないます。

と、いいますのも、ごく稀に、「死んだはずの」
虫や菌が「復活」し、元気に活動を再開することが
あるからです。


しかし、今まで当館においては、サンプル虫や菌の
「ヨミガエリ」はありませんでしたし、今回も
温度・湿度、共に既定の条件を満たした中で
燻蒸が実施出来ました。


今回は、資料を保存・管理していく、当館の活動の
一つをご紹介いたしました。



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