稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

小林恒岳先生と小林巣居人の「水郷、六月」

2012年05月18日 | 日記
5月16日。

以前、稲敷市四箇出身の日本画家・故根本正さんの
青年時代の作品を中心とする特別展を開催した折に
根本正さんの大親友であり、同じ新興展の重鎮となられた
小林恒岳(こばやし・こうがく)先生ご夫婦が展示をご覧になりに
当館まで足をお運びくださいました。

恒岳先生は実に気さくに、そして懐かしそうに
ご自身の若かった時代の、そして正さんとの想い出を
目を細めながら語ってくださいました。

その際に、先生の御父君であられる小林巣居人(こばやし・そうきょじん)先生の
「水郷、六月」の100号の大作が旧新利根村に所在であることを
覚えておいでで、そのお話を少し致しました。

この作品は、旧新利根中学校の敷地に「財団法人盈科会(えいかかい)」
が建設した図書館の中に飾られていたもので、
図書館もこの絵も、根本村出身の足達締(あだち・あきら)氏が寄贈されたものです。

この図書館が老朽化して取り壊された後は、新利根村中央公民館など
に長い間常設展示されており、経年の傷みがそこここに見られる
状態となっていました。

この巣居人先生の作品が傷んでしまっていることを
恒岳先生にお伝えすると
「もし父の作品を修復するならば、是非、私に相談してください。
 それは子供の務めですから」
 と笑顔でそのようなお言葉をいただくことができました。


それから4、5年という時が過ぎて、
小林巣居人先生の「水郷、六月」が当館所蔵となったということもあり、
今更ながらと思わぬでもありませんでしたが、
「あの時の言葉」を頼りに、
思い切って恒岳先生のご自宅にお電話を掛けてみました。
それが5月16日の午前中のこと。

数年ぶりにお電話でお話しする恒岳先生は、
体調を崩されておいでとのことでした。
けれども、数年前のお言葉を頼りに
お電話を差し上げた旨を伝えましたところ
明日、そちらに伺いますとのお返事を頂くことができました。

翌5月17日。

小林恒岳先生は、病身を押して、傘寿の自らお車を運転されて
奥様と一緒に当館に見えられました。
1週間で5kgも痩せられたというそのお姿を拝見し、
先生のお心使いの有り難さと重さを、ひしひしと感じました。

そして小林巣居人先生の「水郷、六月」を見て頂くと、
「ああ、これ…」と懐かしそうにご覧になられていました。
先生はこの絵が旧新利根村へ納められた経緯もご存じで、
ひとこと、ふたこと当時のお話をして下さいました。

心配していた作品の傷みについても
「これなら展示はできますよ。かえって修復すると作品をダメにすることもありますから」
と仰って頂き、
「ただ傷んだ額は修理した方が良いでしょう」
とのアドバイスも頂くことができました。


また、この日、先生の画集や絵葉書、詩人でもある奥様の詩集など沢山の書籍も
ご寄贈頂きました。


父親である巣居人先生の絵のこととはいえ、わざわざご足労いただいたことの
お礼を申し上げると、
「いえいえ、これも親孝行ですから…」
と恒岳先生は笑って仰っていました。。




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小学校の団体見学がありました

2012年05月18日 | 日記
5月17日、江戸崎小学校の3年生が見学にやってきました。
今回は短い時間での見学という事でしたので、
急ぎ足の見学になってしましましたが、
江戸時代の江戸崎の地図や民具など、
普段目にすることのない展示物に興味津々の様子でした。



3年生ではこれから『昔の暮らし』の授業があります。
今回見学にいらした皆さんが、授業でいろいろな勉強をして
もう一度来館した時には、
たくさんの質問をしてくれるのを
楽しみに待っていようと思います。

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