ちぎれ雲

熊野取材中民俗写真家/田舎医者 栂嶺レイのフォトエッセイや医療への思いなど

空気読むインコ & バリ島でオーラを発す

2009-04-04 | 心理
 先日、無意識に周囲を感じ取っている人間の感覚について書きました。
 では、自分の方は、周囲に無意識に何を発しているのでしょうか。

 うちではハムスターの他にオカメインコを飼っているのですが、私が何か作業に疲れてきて、自分でも自覚しないうちにふっとアクビが出かかった瞬間、すかさず背後から「ふぁ、ふぁーぁぁー」と声が浴びせられます。
 びっくりして、出かかったアクビも引っ込みます。
 な、なぁーぜーわかった!?
 まだ口もちゃんと開けないうちから、インコは「ふぁぁー」とアクビの真似をするのです。
 背伸びをしようと、腕を伸ばした瞬間にも、「あァーー」と、先にインコが喋ってしまいます。誰かと笑う雰囲気になっても、インコが先に「アハハ、アハハハ」と笑う。ちゃんと状況というか、その場の「空気」によって、真似る言葉を使い分けるんですね。
 故コンラート・ローレンツ博士が著書「ソロモンの指輪」の中で、友人の家からこっそり帰ろうとすると、オウムが「バイバイ!」と叫ぶのでバレてしまう、言わせようとして帰るフリをしても全然駄目、とボヤいていました。そのオウムはいろんな言葉を喋るけれど、誰かが帰る時にのみ「バイバイ!」という言葉を発するのですね。
 「KY(空気読メナイ)」なんて言葉が流行りましたが、私たちは自分が自覚している以上に情報を常に発している、ということを、自覚した方がいいかもしれません。

***

 バリ島の街中を歩いていると、決まったように「コンニチーワー」「ドコイクー?」と声を掛けられます。街の中にはいろんな外国人がたくさんウロウロしている。のに、どうしてピンポイントで日本語で話しかけてくるねん!
 何も一言も発していないのに、あからさまに日本人と見透かされるのは、ちょっぴり腹が立ちます。
 私のどこがどう日本人だってのよ!!(いや、日本人なんだけど)
 くやしいのでバリのスタバに座って、道行く人をじーっと観察してみました。
 いや、そうすると、わかるものです。あれは韓国人、こちらの家族は中国人、これは同じ中国でも台湾の人、あっちは、あー、コテコテに日本人の、それもたぶん海外旅行初めての子供連れ、変な客引きに取り囲まれて・・・助っ人に行った方がいいかしらん・・・?
 もちろん着ている服やバッグの持ち方、髪型やお化粧の仕方など、その国のその時期の流行りがあるので(今バブルの頃の日本のファッションを見たら、全部同じに見えて失笑するように)、外見だけでもかなり違いが明確なのですが、それよりも、姿勢、表情、歩き方 - - - 歩いている時の目線の高さや目の動かし方、手の振り方、歩幅のとり方・・・その国一般の無意識の心の内側(自分というものを周囲のどういう位置に置いているか)や周囲の人々との間合いのとり方が、もう、もう、全然違うのでした。
 さて。
 連れと顔を見合わせ、暗黙にうなづき合った私たち。いかにこの「日本人」って名札をつけて歩いているかのような状況を脱することができるか!? "どうしたら日本人に見られなくなるか作戦"開始です(笑)
 がらっと歩き方を変えて、胸を張り、目線を変えて、周囲へ発する「オーラ」を変えてみます。
 最初は、こっちが頑張っているつもりでも簡単に「コンニチーワー」「ドコイクー?」と声をかけられていましたが、そのうちにだんだんと「ニーハォ」「アニョハセォ」と声をかけられるようになり、さらに「シンガポー?」「タイランド?」と、語尾に疑問符「?」がつくように(笑) 連れと「これだ、これ」と勢いづいて続けていると、そのうちに何語で話しかけられているのかまったくわからなくなり、ちんぷんかんぷんな言語が飛び交うようになったのでした。私たちは爆笑しました。

 人間も動物も、無意識に情報を発しているし、無意識に受け取っている。目に見えるものがすべてじゃありません。それをちょっと意識してみるだけでも、かなり面白いものです。
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