伊坂幸太郎 著
星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」
これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。
「あれもウソだったのね!」
「そーだよ、こいつはそういうやつなんだ!」
「違う!確かにウソはついたけどそれはホントなんだ」
そんな情景から始まる五編のストーリーからの書き下ろしの最終章、六編で成り立つ一冊です。
ある事情で借金を抱えてしまった主人公の男が、実は五又をかけていた。
その借金の代償を払うべく「あるバス」に乗せられるのだが、その前に五人の彼女達に別れを告げたいと申し出る。
そこから五人の彼女に別れを告げに回るのだが・・・・・。
内容は非常にシビアな行く末を案じているが、女性達意外はなぜか現実感のないノー天気ぶりで、面白おかしく描かれている。
まさに伊坂氏らしい一冊に仕上がっているんじゃないでしょうか。
そしてこの本の一番の見どころは主人公の男の見張り役「繭美」であろう。
新調180cm、体重180kgの女。
私個人の想像としては「マツコデラックス」がピッタリ当てはまるかな?
この大女と主人公のやりとりがまさに見どころ。
最後にはこの二人が何故か好きになってしまう展開に、伊坂氏の巧さに感服でした。