窪美澄 著
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。
姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。
R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
高校一年の斉藤くんの話を読んだ後、次の話に移ってしまって、「何だよこれで終わり? よく分からんタイプの短編か?」・・・・・・・・っと思ったら、話が続いてると気付いたときはちょっと鳥肌立ちましたね
ストーリー毎に主人公が変わっていく構成ですが、視点が変われば感じ方や見方の角度も変わってくる。
個々の欲望、熱、性別、年齢、向かう方向、それぞれが主張し、譲り合い、そして生臭く泥臭く青臭い。
この一冊に人間の未完成が沢山詰まっている、非常に興味深い物語に仕上がっていると思います。
読んで損のない一冊だと思いますよ。