前原政調会長も9月20日の記者会見で、東日本大震災の復興財源に関し、
「議員定数削減は残り2年間で必ずやり遂げなくてはならない。国家公務員の人件費2割削減も、やらなければいけない」
と述べて、増税などの国民負担を求める前に、国会議員の定数削減と公務員人件費の削減が必要との認識を示しました。
民主党の藤井裕久税制調査会長も、9月20日の党税調の会合で
「仮に増税があった時は、国会議員の首切りとワンパッケージだ」
と強調したそうです。
「仮に増税」って、増税案を出すための調査会の会長のくせに(苦笑)。
しかし、この人達がおっしゃっていることは、ピントがずれているとは思われませんか?
震災復興に増税が必要かどうかと言う問題と、国会議員の定数はどの程度が適当かと言うこととはなんの関係も無いでしょう。
復興増税についてはその額も期間も、なにを増税するかも慎重でなければならないことは当然です。
野田内閣 復興増税・税と社会保障一体改革増税 ダブル消費税増税の危険性
しかし、議員の定数は選挙制度の問題です。それをまるで悪いことをしますので丸坊主にします、みたいなエクスキューズに使われたらたまったものではありません。
「丸坊主」という意味では、議員報酬の削減ならまだ意味はわかるのですが。
議員定数不均衡で一票の価値が2倍以上になってしまっていて、選挙権という極めて重要な権利が不平等になっている問題の解決は、国政上の緊急課題です。
当然とはいえ、画期的名判決 政権交代選挙 1票の格差違憲判決!
定員をただ減らせばかえって投票価値の不平等が進むに決まっています。
また、同じく選挙制度で重要な問題には、このまま小選挙区選挙中心でいいのかという問題があります。
(冒頭の図は小選挙区だけの結果だが、民主党は2年前の総選挙で、得票数からすれば比例選挙区と合わせて219議席しか取れないはずなのに、総計308議席も獲得してしまった)
二大政党制確立などと言うお題目でしたが、小選挙区制度導入以来、小泉郵政選挙だの民主党大勝だの、ろくなことがありません。
小選挙区制度では、一つの選挙区から一人しか当選しませんから、死票が大量に出ます。
たとえば、A30%,B25%,C20%,D15%,E10%という得票でAが当選すると、
1 30%で議席を独占できる
2 逆に、70%の選挙民の意思が死票となり議会に反映されない
ことになります。
民意の正確な反映という意味では比例代表選挙が望ましいけれど、せめて二人が当選する中選挙区制度にしていればAとBが当選して、55%という過半数の意思が議会に届くのです。
(いわゆる郵政選挙では小泉圧勝と言うが民主党よりさらにひどくて、自民党は比例区ではわずか38%の支持しかないのに総計61%の議席を獲得できた。これが小選挙区制の弊害)
増税は増税、選挙制度は選挙制度で分けて論議するべきです。
民主主義の基本は民意が忠実に議会に反映すること。そうでなければ、国民代表の名に値しません。
震災復興とは別に、選挙制度の問題に取り組み、早急に小選挙区選挙を廃止しなければならないと考えます。
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そう言えば、もう昔だが、産経の”正論”懸賞論文に応募して、入賞の賞金を貰ったことがあり、この論文は月刊誌の「正論」に掲載された。(汗)
そしたら、政府筋、雑誌などから、執筆のスカウトが懸かり、大学教授の文部省資格審査にも、論文審査の利点となった。しかし、わたしの大学院修了論文は、若気の至りで、マルクス主義の哲学に基づく、イギリスの政府レポートだった。
米国の大学院博士課程に連邦政府奨学金学生の入学許可となて、「アメリカの大学にはマルクス学者の経済講義科目はないのだよ!」、と言われた。そして、博士課程のミクロとマクロ経済学ゼミを、受講しなさい」と言われ赤顔の至り、「ハハー、アメリカでは資本主義しかないのか?」(汗)
大学院の別のゼミ演習に、ソ連邦のウクライナ共和国キエフ大学の経済学部長が、同級生でマルキスト経済理論の専門家だった。
実学の学問、政治行政の政策は、学際的で社会変動は急激に変わるから、観念論と現実との間に矛盾した亀裂があって、現実には右左は全く当てにならない。その後に、政府中東・資源エネルギのエコノミスト担当。この時、社会主義、共産主義の国家が、中東の半分以上だったから、ソ連邦の影響下にある諸国の調査研究のため、実質的に役立った。
日本の現今の非常時でも、こうして統合的な大局観の観点と、詳細の分析を欠かせない。すなわち、理論と現実の矛盾を、きちんと整理する分析力と、また道義的な信条、思想哲学を要する。