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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

つばさの党の黒川敦彦代表・根本良輔元候補ら3人の公職選挙法違反(自由妨害)での逮捕は当然。だからこそ公職選挙法の厳罰化は要らない。自民・維新・都民ファ「強権3兄弟」の事件を悪用した人権抑圧には要注意だ

2024年05月17日 | 日本の政治

見るからに反社会的勢力に見えてわかりやすいだけに、権力に悪用・逆用されやすい。

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 2024年4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙での選挙妨害問題で、警視庁捜査2課は5月17日に、拡声器を使い大音量で声を上げるなどして他陣営の演説を妨害したとして、同補選に候補を擁立した政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦容疑者、元候補の根本良輔容疑者、陣営幹部の杉田勇人容疑者の3人を公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで逮捕しました。

 この人たち、先日強制捜査を受けたときに、家宅捜索してもすでに動画で自分たちのしたことは全部公開しているのだから、今日逮捕されないんなら逮捕されるわけがないとうそぶいていましたが、素人というか捜査実務が全く分かっていません。

つばさの党に強制捜査。こんな選挙妨害は今の公職選挙法で十分対処できる。自民・維新・都民ファーストの「権力3兄弟」が表現の自由の規制を求めている策動は当然、市民の正当な政治活動の自由の制限を狙っている。

 

 

 三浦瑠麗氏の元夫の清志氏の例を見てもわかるように、家宅捜索はあくまでも逮捕の前段階。

 そこで捜索差押で得られた証拠をもとに逮捕の要件があるかどうか捜査当局も判断し、あるとなれば今度は逮捕状請求をするのですから、家宅捜索を受けてヘラヘラしてまた動画を公開していること自体が、この人たちの常識のなさを示しています。

 もちろん裁判では推定無罪ですが、少なくともとにかく彼らが逮捕されたのは当然です。

(選挙の自由妨害罪)
第二百二十五条 選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁又は百万円以下の罰金に処する。
一 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。

 

 

 さて、彼らが逮捕されたのは現行の公職選挙法をもとにしており、彼らのようなあからさまな選挙妨害は今の公職選挙法で十分対処できることが逆に証明された形です。

 今回は演説妨害が「暴行若しくは威力を加え」や「演説を妨害し」にあたるとして逮捕の被疑事実になっていますが、選挙カーで相手の選挙カーを追い回した行為は「交通若しくは集会の便を妨げ」にもあたるはずで、再逮捕は必至です。

 自民党や日本維新の会は今国会にも選挙妨害についての公職選挙法「改正」案を出すと息巻いていますが、これはつばさの党事件を奇貨として、自分たちに対する市民の正当な表現の自由と政治活動の自由に基づく抗議行動を制限しようという露骨な策動です。

立憲民主党公認で日本共産党も支援した酒井なつみ候補陣営も、つばさの党にさんざん選挙妨害をされたけれども、両党とも公職選挙法厳罰化には慎重なのはさすが。

衆院補欠選挙、東京15区で立憲民主党の酒井なつみさんが維新と都民ファーストやトンデモ政党たちに大勝。保守王国島根1区で亀井亜紀子さんが自民を圧倒。長崎3区で維新に2倍以上の差をつけて圧勝!政権交代へ!

 

 

 kojitakenの日記さんの古寺多見さんから教えていただいたので、今回から権力3兄弟改め「強権3兄弟」と呼ぶことにしますが、自民・維新・都民ファーストが権力者なのに被害者面するのがちゃんちゃらおかしい。

 かつての安倍晋三首相、いまの吉村洋文大阪府知事らが演説中に市民からヤジられているのを抑え込もうというのが、今回の公職選挙法「改正」策動で、日本共産党の小池晃書記局長が5月13日に

「時の政権に盾突く言論を規制する方向につながりかねない」

と語った通りです。

強権3兄弟とはよく言ったもの。

『自民・維新・都ファの、宮武さんの表現では「権力3兄弟」、私としてはここの表記は「強権3兄弟」としたいところだが*1、これら強権(×犬)的政治勢力の思惑に、何もリベラル側が自分から嵌りに行く必要など何もない。』

山本太郎氏 つばさの党・黒川敦彦氏の凸から逃げた陣営を批判「政治家なんて向いていない」(東スポWEB)/元々盟友だからな。あれに応じると合同演説会になって、公職選挙法で禁じられてるのを知らない方が政治家に向いてない。(dd369氏のブコメ)

 

こういうのを実は嫌がっている強権3兄弟。
日本維新の会初の公認首長誕生ならず!維新の大嘘がバレて兵庫県西宮市長選挙で維新公認の増山氏が落選、現職の石井市長が再選。吉村府知事・松井市長・斎藤兵庫県知事の無能ぶりを西宮市民はよく見ていた!

 

 

 そもそも、内心の自由にとどまる思想良心の自由や信仰の自由などの基本的人権は、これは他者の人権を侵害する可能性がありませんから絶対的に保障され制限はあり得ません。

 しかし、政治活動の自由など表現の自由は最大限尊重されるべき人権ではありますが、名誉権やプライバシー権など他者の人権を侵害する可能性があるので、絶対無制約ではありえません。

 つばさの党の選挙妨害は他の候補の選挙の自由や選挙の公正を侵害するものですから、これらの言動はもちろん制限され、取り締まられて当然です。

こんな選挙運動あるか!

現行の公職選挙法で十分取り締まれるのにこれを放置していた警視庁の問題。

【#憲法記念日】自国維公=地獄逝こうの緊急事態条項は人権弾圧と国会議員の居座りの危険性が高い。また災害救助法や国民保護法など法整備はされており改憲は不要、百害あって一利なし【#緊急事態条項反対】

 

 

 しかし、権力者たちが現行法で十分対処できるこれほど明らかな違法行為を悪用して、不必要に公職選挙法を厳罰化して、一般市民の表現の自由を萎縮させることは絶対に阻止しないといけません。

 強権3兄弟のような専制的な体質の権力者ほど、市民の人権行使を恐れており、何か口実を見つけては常に基本的人権を抑圧できる機会を狙っていることを忘れてはいけません。

 例えばコロナ禍やウクライナ戦争を利用して憲法を改悪し、人権侵害し放題の緊急事態条項を入れようとしているのがその典型例です。

 くわばらくわばら!

2019年7月の参院選で、札幌市で演説中だった当時の安倍晋三首相に「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした男女2人が、北海道警の警察官に違法に排除されたことについて、憲法で保障された表現の自由を侵害されたとして、北海道に慰謝料などを求めた訴訟の判決が2022年3月25日にあり、北海道警の行為を違法と認め、国家賠償請求が認められた。

安倍晋三首相の演説にヤジを飛ばし、北海道警察に排除された市民たちからの国家賠償請求が認められる!日本はロシアと違って表現の自由がある。権力者とその支持者の言論だけ保護する警察のやり方は許されない。

 

基本的人権、とりわけその中心となる自由権は「国家からの自由」と言われ、国家からの干渉を排除することがその本質です。

たとえば、表現の自由なら国家に干渉されずに自由に言いたいことを言えるのが表現の自由です。

だからこそ国家権力は市民の基本的人権が邪魔だし、その行使を恐れていて、常に制限しようと企てています。

つばさの党のようなワイドショーの「絵になる」ショッキングな映像を見て、もっと厳格に取り締まるべきだ!と飛びつくことのない冷静さが、良識ある市民には求められます。

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事件・司法 2024年5月17日 9:19 (2024年5月17日 10:21更新) 日本経済新聞
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衆院東京15区補欠選挙の告示日、立候補した別候補の演説会場で、電話ボックスの上から声を上げる政治団体「つばさの党」から出馬した根本良輔元候補(右)(4月、東京都江東区)=共同

4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙を巡る選挙妨害問題で、警視庁捜査2課は17日、拡声器を使い大音量で声を上げるなどして他陣営の演説を妨害したとして、同補選に候補を擁立した政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦容疑者(45)ら3人を公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで逮捕した。

逮捕されたのはほかに、元候補の根本良輔容疑者(29)と陣営幹部の杉田勇人容疑者(39)。

捜査関係者によると、3人は同補選期間中、他陣営の演説中に拡声器を使い大声を出して選挙活動を妨害するなどした疑いがある。

公選法は選挙の演説を妨害したり交通の便を妨げたりする行為を「選挙の自由妨害罪」として禁じている。違反した場合は4年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金を科す。

1954年の大阪高裁判決は演説妨害について「聴衆が内容を聞き取りがたくなるほど執ようにヤジや質問をし、一時演説を中止せざるを得なくする行為」との判断を示している。

警視庁は補選告示直後の4月18日、他陣営の演説中に大音量で発言するといった行為は公選法に抵触する可能性があるとして、つばさの党陣営に警告した。警告後も同様の行為はやまず、他陣営は街頭演説日程の事前告知を控えるといった対応を迫られた。

つばさの党陣営は補選中、他陣営の演説中に大音量で発言したほかに、他陣営の選挙カーを追いかけまわすといった行為も確認されている。捜査関係者によると、この行為によって近くの警察署へ避難を余儀なくされたケースも複数あったという。

警視庁は5月13日、東京都千代田区にあるつばさの党本部など関係先3カ所を、同容疑で家宅捜索していた。

黒川容疑者は同日、報道陣の取材に「表現の自由の中で適法にやっている」と話し、今後も同様の活動を続ける意向を示していた。

 

 

4月行われた衆議院東京15区の補欠選挙で、政治団体「つばさの党」の陣営が拡声機などを使ってほかの陣営の演説が聞き取れないようにして、選挙活動を妨害したとして、警視庁が選挙に立候補した幹事長や代表ら3人を公職選挙法の「選挙の自由妨害」の疑いで逮捕したことが捜査関係者への取材でわかりました。

逮捕されたのは政治団体「つばさの党」の幹事長で、選挙に立候補した根本良輔容疑者(29)と、代表の黒川敦彦容疑者(45)、それに、運動員の杉田勇人容疑者(39)の3人です。

捜査関係者によりますと、3人は4月行われた衆議院東京15区の補欠選挙で、拡声機などを使ってほかの陣営の演説が聞き取れないようにして選挙活動を妨害したとして、公職選挙法の「選挙の自由妨害」の疑いがもたれています。

警視庁は5月13日に、団体の事務所や容疑者らの自宅を一斉に捜索するとともに、ほかの陣営からの被害届を受理して聞き取りを行うなどして捜査を進めてきました。

容疑者らは選挙期間中にほかの陣営の選挙カーを追い回すなどの妨害行為も繰り返していて、警視庁は妨害の目的や詳しい経緯をさらに調べることにしています。

警視庁によりますと、選挙に立候補していた陣営がほかの陣営の選挙活動を妨害したとして候補者らが逮捕されるのは極めて異例だということです。

一方、黒川代表は捜索を受けた際、「我々の行動が選挙妨害になった判例および法的事実はないので、表現の自由のなかで適法なことをやっていると理解している」などと反論していました。

林官房長官「公正・適切に選挙運動を展開する必要」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「選挙は国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会で、公正に行われるためには選挙運動は自由に行われなければならない。妨害することはあってはならず、候補者や選挙運動関係者はルールを順守し、公正・適切に選挙運動を展開する必要がある」と述べました。

そのうえで、公職選挙法の改正の必要性について問われ「選挙運動に関する事柄であり、各党・各会派で議論するべきものだ」と述べました。

松本総務相「極めて重大な問題」

松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「選挙が公正に行われるためには、有権者に考え方や政見が伝わることが大事で、そのような環境がもし妨害されているとすれば極めて重大な問題であると考えている。報道などの映像をみるかぎりは、本当に深刻な状況だと感じざるを得ない」と述べました。

そのうえで「公職選挙法の制度の改変については、選挙の自由という極めて重要な案件であり、立法府での政党間の議論を注視したい」と述べました。

 

 

 衆院東京15区補欠選挙で他候補の選挙活動を妨害したとして、政治団体「つばさの党」が13日、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで、警視庁の家宅捜索を受けた。他候補の街頭演説会場で大声を上げる行為などが問題になっている。同党はこうした様子を動画で配信していた。約10年前の公選法改正でネット選挙が解禁されたが、その狙いとは違う事態が起きている。騒動の背景に何が見えるか。(森本智之、岸本拓也)
衆院東京15区補選で、つばさの党から出馬した根本良輔氏(手前)が、他候補の街頭演説のそばで声を上げる動画の一部=ユーチューブから

衆院東京15区補選で、つばさの党から出馬した根本良輔氏(手前)が、他候補の街頭演説のそばで声を上げる動画の一部=ユーチューブから

◆「凸撃」を繰り返す動画を投稿

 4月28日に投開票された衆院東京15区補選。他陣営の街頭演説に、大音量の選挙カーで乗り付け、候補者に向かって大声で叫ぶ。
 ユーチューブには、つばさの党から出馬した根本良輔氏らが、他陣営に「凸撃(とつげき)」を繰り返す動画が複数投稿されている。
 相手側のスタッフらから抗議されるなど、トラブルの様子までもライブ配信。他候補の選挙カーを追跡した「朝からカーチェイス 見つけ次第バトル」など、動画にはあおるような題名が付けられ、再生回数が15万に上るものも。同党は7月の東京都知事選にも候補者を擁立すると表明。補選後も動画投稿を継続しており、チャンネル登録者は25万人を超えている。

◆ネット選挙、2013年の法改正で可能に

 ネットを用いた選挙運動は、2013年の公選法改正で可能になった。ただ、同法を所管する総務省は今回のような動画について「権限もなく、チェックはしていない。法に触れているかどうか、取り締まりは警察が対応する」(選挙課の担当者)という状況だ。
 動画が投稿されたユーチューブではヘイトスピーチやハラスメントなど複数の観点から禁止事項を定めた「コミュニティガイドライン」を設けている。選挙についても「投票手続きを邪魔したり干渉したりするような、民主的な手続きに対する妨害行為を他者に促すコンテンツ」などを禁じている。違反を繰り返すとチャンネル停止になり、再生回数に応じて入る広告収入も停止されることがある。
つばさの党の事務所を家宅捜索し、段ボール箱を運び出す警視庁の捜査員ら=13日、東京都千代田区で

つばさの党の事務所を家宅捜索し、段ボール箱を運び出す警視庁の捜査員ら=13日、東京都千代田区で

◆過去の投稿でGoogleが「違反警告」

 ユーチューブを運営するグーグルの広報部によると、つばさの党が過去に投稿した中に、ヘイトスピーチについてのガイドラインなどに違反する動画があり「削除し、違反警告した」という。「こちら特報部」は補選の動画に対する見解や対応も同社に尋ねたが、回答はなかった。
 明治大の湯浅墾道(はるみち)教授(情報法)は「ネット選挙が解禁されてこの10年で、動画は特に都市部の無党派層らに対する選挙運動として有効だと認識されるようになった」と指摘する。その大きなきっかけが、22年7月に初当選したガーシー元参院議員の選挙戦。暴露系ユーチューバーとして活動し、海外に滞在したまま一度も帰国することなく、28万票余を獲得した。

◆メールやホームページの利用を想定

 選挙ツールとしての動画の存在感が高まる一方、公選法は現実に追いついていないという。「13年の改正時に想定されたネット選挙はメールやホームページを利用したもので、今回のように大量の動画をSNSで生中継するような状況は想定しなかった」からだ。同法はネット利用について「公職の候補者に対して悪質な誹謗(ひぼう)中傷をする等表現の自由を濫用(らんよう)して選挙の公正を害すること」を禁じているが、努力義務にとどまるという。
 湯浅氏は「つばさの党の動画は選挙版の『炎上商法』(批判を承知で耳目を集める手法)のようなもので、知名度を上げるために利用しているのではないか。今後模倣する人が出る可能性はあるが、現行法では対応は難しい」と懸念。「選挙に関する表現の自由は尊重されなければいけないが、残念ながら罰則の強化など法改正の議論に発展する可能性もある」と述べる。
警視庁城東署で声を上げ、不満を申し立てる根本氏(左)と制止する署員ら=ユーチューブから

警視庁城東署で声を上げ、不満を申し立てる根本氏(左)と制止する署員ら=ユーチューブから

◆「表現の自由 許容範囲を超えている」

 物議を醸すつばさの党の行為は、政治から有権者を遠ざけかねない深刻さをはらむ。京都大大学院の曽我部真裕教授(憲法・情報法)は「他者の選挙演説にやじを飛ばしたり、議論を仕掛けることなど、表現の自由として保障されなければならない範囲は確かにある」としつつ、「今回の行為は、許容範囲を超えている」との見方を示す。
 一方で、つばさの党の一連の行為を認識しながら、選挙期間中にはほとんど報じなかった主要メディアの対応も疑問視する。
 つばさの党の行為は、ネット上ではかねて騒動になっていたが、新聞やテレビが報じたのは選挙が終わってからだった。選挙の公正確保が理由だが、曽我部氏は「明らかに起きていることを報道しないのはメディア不信を助長する。何よりも当時から(今回の件を)報道しておけば、問題が広く認知され、多少なりとも抑止につながったのではないか」と、ネット時代に即した選挙報道の必要性を訴える。

◆批判が殺到すればするほど…

 「炎上商法」といえそうな、つばさの党の手法。文筆家の綿野恵太氏は「批判が殺到するほど、動画へのアクセスが増える。世間の関心が高いほど広告収入などが得られる『アテンションエコノミー』の仕組みを悪用しているようにみえる」と話す。
 「法の範囲であれば、何をやってもよい、というのが彼らのスタンス。既存の法や制度の穴を突く『ハック』や『チート』を格好良い、頭が良いともてはやす近年の風潮の中で、選挙でも同じことが起きている」
衆院東京15区補選の告示日。乙武氏陣営の演説中に公衆電話ボックスの上から声を上げる根本氏

衆院東京15区補選の告示日。乙武氏陣営の演説中に公衆電話ボックスの上から声を上げる根本氏

◆常識破りの対応に一定の支持

 綿野氏は、その原点は、NHKから国民を守る党(NHK党)とみる。ユーチューブなどを使った奇抜な政治運動で知られるが、何度もの党名変更や、政党交付金を受け取り続けるために政党要件を満たす票を得ようと大量の候補者を擁立するなど、常識破りの対応が、ネットを中心に一定の支持を集めてきた。
 「政治もスポーツのように、法とは違う慣習や暗黙のマナーがある。それを違法ではないからと、政治や選挙までハックするやり方が広がることは危うい」と綿野氏は懸念し、こう続ける。「邪道でしかないハックやチートの考えを許していけば、社会全体は壊れる。今回の選挙妨害を、より大きな問題としてみれば、社会全体のメンタリティーがハックやチートといった危うい方向にいかないように考えないと」

◆時代の変化に対応し切れず

 東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)も「個人が動画で簡単に発信して稼げる時代になって、視聴回数を増やし、個別利益を考える人が選挙に参画しやすい状況になった。時代の変化に各選挙管理委員会や警察が対応し切れていない」と指摘する。
 河村氏によると、日本では市町村選管が選挙実務を担うが、海外のような中央の統括組織がないという。「戦前の反省から選挙干渉しないよう分権を進めた結果だが、妨害行為に警告を出すにしても統一基準がない。公正さを確保するために、どんなケースが選挙妨害となり、警告や取り締まりの対象になるのか、総務省や警察庁が過去の摘発例を踏まえた物差しを示す必要がある」と提案する。

◆自民や維新から規制強化の声

 今回の事態を受けて、自民党や日本維新の会から公選法改正も見据えた規制強化の声が上がる。しかし、河村氏は拙速な規制ではなく、民主主義の原則を見つめ直すことが重要と説く。
 「異なる多様な意見を尊重することが民主主義の基本だ。相手の権利に配慮せず、自分たちの権利だけを主張することは全体の利益にとってマイナス。こうした民主主義社会のマナーを主権者教育の中で教え、有権者のリテラシーを高めていくことが長い目でみて有効ではないか」

◆デスクメモ

 ネット選挙解禁のころ、私はスマホを買って間もなかった。それから10年。スマホの性能や通信環境は向上し、動画視聴もより身近になった。現実に合わせたルールの検討は必要だ。だが、一番重要なのはそこだろうか。ツールをどう使うかは人間次第。私たちの良識が問われている。(北)
 
 

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現行法で対応できることを証明 (ゴメンテイター)
2024-05-17 20:58:42
13日に衆議院議員東京15区補選で、選挙妨害を行ったとして「つばさの党」の関係先が家宅捜索されました。そして今日の逮捕です。

乙武候補を応援する小池百合子都知事の学歴詐称疑惑への質問。維新候補への質問。これが大音量であった。また、質問から逃げる候補の選挙カーを追いかけた。これらが選挙妨害だとしての捜索で、それを理由とした逮捕です。
選挙妨害かどうかは別にして、大音量での演説、電話ボックスの上に乗っての演説は、いただけたものではありませんでした。

しかし、つばさの党が選挙期間中に街頭で接触して質問を浴びせたのは、この2候補だけではなかったようです。
同じく15区に立候補をした須藤元気氏にも、つばさの党は街頭演説中に質問をしていたのです。須藤元気氏は質問に対して真摯に受け答えをし、何らトラブルはなかったということです。
TVや新聞はこの須藤元気氏の対応を伝えたでしょうか。

都合の悪い質問から逃げ、臭い物に蓋をする。こんな姿勢に対する批判は一切しないマスコミ。
TVではつばさの党の行動を「選挙妨害では」と報道し、つばさの党への批判の声だけを流していましたね。質問の内容を伝えたTVはあったでしょうか。
これこそ偏向報道。そして検察、警察の横暴を支える権力のしもべの情けない姿です。

今日の逮捕で、地獄行こう(自国維公)の思惑とは裏腹に、現行法で十分に対応できることが証明されてしまいました。

ここはやはり、乙武陣営が何を質問され、どうして逃げたのか、そして維新の候補はなぜ質問に応えなかったのかを、明らかにする必要があります。そして、大マスコミがこの点をなぜ報道しないのかもはっきりさせなければいけません。

「3人の逮捕」=「つばさの党は有罪」、ではないということも広く知らせるべきことかと思います。警察は、逮捕したいから逮捕しているだけなのですから。
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追加です (ゴメンテイター)
2024-05-17 21:03:58
「身の危険を感じた」と言っていたのは小池百合子さんだったのですね。
なるほど、学歴詐称が明らかになって知事の座から引きずり降ろされる危険を感じられたということですね。納得。
返信する
犯罪はジミンも同じ (津木野宇佐儀)
2024-05-18 00:44:21
捜索と逮捕は当然、というか遅かったですね。
彼らって、「正論정론」(笑) 「Will」「HANADA」の、一方的にがなり立ててるだけの高市よしこの別動隊?
ま、よしこちゃんたちは大音量ではがなり立てないですけど(笑)
(とかいっても、その賛同団体は「つばさ」同様に宣伝カーで大音量でもお咎めナシですが…)
この件に関して、是非、高市よしこの意見をお伺いしてみたいです。

一方、選挙で、公金も使うという疑惑もあるように、カネに物を言わせるジミンも・こそ犯罪組織かと
返信する
Unknown (秋風亭遊穂)
2024-05-19 22:45:12
 Xの投稿を見ていると、つばさの党に対する擁護が少なくない。逮捕が言論弾圧と発している有様はトランプ支持者のようだ。
 朝日新聞(5/18付)の記事では、個人からの寄付が2022年度に800万円を超えているという。そして事件があっても支持を続ける60代の人の声も紹介されている。曰く、政府がやっていることに比べたら小さなことだと。ハマスのテロを免罪する人の思想だ。

 Wikipediaに、つばさの党についての記述がある。それを読むと、右派と左派の双方(双方とも熟慮の足りない一部の人)にも支持があるようだ。対米自立、反グローバリズム・反移民、伝統保守、脱原発・再エネ推進、反ワクチン…。
 ロシアのウクライナ侵攻についても、「アゾフ連帯はナチスのマークを使っている」(連帯は連隊の誤字。)「日本のマスメディアはアメリカのネオコンのシオニストの言いなりなので」と、長周新聞愛読者が喜びそうな投稿を代表の黒川がXにしている。

 この支離滅裂さを支持する人たちのモラル崩壊は、目的のためには手段を選ばないイデオロギーの危険さを感じる。
返信する
「開発優先の現市政に危機感を感じる」前市長が小田原市長に (ロハスな人)
2024-05-20 07:18:13
小田原市長選では『自民の応援が逆風になって?』前市長が「開発優先の現市政に危機感を感じる」政策を掲げて当選されたそうです。

もはや市民たちが『開発による利権』よりも『地域密着政策』を選ぶ時代になりつつあるようです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c4ff7b575fbd6ab78f61e0c2fa0b2871e4942d75
☆小田原市長に加藤憲一氏が返り咲き…自民など推薦の現職を破る
5/19(日) 読売新聞オンライン

 神奈川県小田原市長選は19日、投開票が行われ、前市長の加藤憲一氏(60)(無所属)が、再選を目指した現職の守屋輝彦氏(57)(無所属=自民、日本維新の会、国民民主推薦)と新人で元会社員の古川透氏(64)(無所属)を破り、返り咲きを果たした。
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