安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡る問題についての野党合同ヒアリングで内閣府などの担当者たち(左列)に質問する議員たち(右列)=国会内で2019年11月12日午後3時6分、川田雅浩撮影安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡る問題についての野党合同ヒアリングで内閣府などの担当者たち(左列)に質問する議員たち(右列)=国会内で2019年11月12日午後3時6分、川田雅浩撮影

 首相主催の「桜を見る会」を巡り、内閣府がまとめた招待者名簿が会の直後に廃棄されたことへの反発を、野党が強めている。内閣府は「保存期間1年未満の文書だった」とするが、総務省などは同様の文書を「保存期間10年未満」として扱っていると説明。野党は、安倍晋三首相の後援会関係者が多数参加した「公私混同疑惑」と位置づけて追及しつつ、森友・加計問題などで指摘された公文書管理のあり方も問う構えだ。【野間口陽、東久保逸夫】

 12日の衆院本会議では立憲民主党の落合貴之氏が追及した。「(天皇、皇后両陛下主催の)園遊会の招待名簿は30年間保存なのに、桜を見る会はなぜ即廃棄されているのか」。菅義偉官房長官は「個人情報を含んだ膨大な文書を適切に管理する必要が生じるため、内閣府は遅滞なく廃棄している」と応じ、野党席から「ありえない」とヤジが飛んだ。

 内閣府と内閣官房は、各省庁提出の名簿をもとに招待者をまとめる。立憲など野党4党は、12日に合同で開いた「追及チーム」の初会合で、総務省と文部科学省の名簿保存期間を質問。両省の担当者はそれぞれ省の文書管理規則を挙げて「10年未満」と答えた。

 食い違いについて内閣府は、膨大な個人情報管理を避けるために「『とりまとめ課』として廃棄している」と説明。だが野党が「内閣府自体の推薦名簿はどうなっているか」とただすと、担当者は「いったん持ち帰らせてください」と繰り返した。

 政府は2017年、森友学園問題などで公文書管理のずさんさが指摘され、公文書管理法に基づくガイドラインを改定。ただ、例示は抽象的で各省庁の裁量に委ねられている。

 ボルテージをあげる野党に対し、与党は冷ややかだ。自民党幹部は「民主党政権でも桜を見る会はやっていた。これは(野党の方が打撃を受ける)ブーメランになる」とつぶやく。こうした見方に対し、立憲の福山哲郎幹事長は12日の記者会見で「800人が前夜祭をやっていること、そのお金がどこから出ているのかが本質だ。安倍政権になってどういう方に招待が行き、総理大臣の『枠』は800人あるのか、という話だ」と反論した。

招待枠、二階氏「問題ない」 「地元に配慮するのは当然」

 首相主催の「桜を見る会」を巡り、自民党議員に関係者を招待できる「枠」があったとする石破茂元幹事長の発言に関し、二階俊博幹事長は12日の記者会見で「ほとんど興味はないし、何枚割り当てられているのか知らない」としつつ、「枠」の存在については「それはあったって別にいいんじゃないですか。特別問題になることがありますか」と述べ、問題ではないとの認識を示した。

 二階氏は「議員は選挙区の皆さんに機会あるごとに、できるだけのことを呼びかけて参加いただくことに配慮するのは当然だ」とも話した。

 石破氏は11日夜、記者団に「桜を見る会」について問われた際、「自分の後援者を行かせてあげたいと当選1、2回生の方がもっと思っているかもしれない。私は自分の後援会を大勢招いたことはないが、枚数があったら期数の若い人にあげたいと思ってきた」などと述べた。

 社民党の吉川元・幹事長は12日の記者会見で「税金を使っているのに与党議員の枠があるのはおかしなことだ」と指摘した。【竹内望】