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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

ウクライナのゼレンスキー大統領国会演説に備える。どんな「突風」が吹いても落ち着いて。日本は憲法9条を持つ平和国家で他のG7の国々のような「普通」の国にはならないという断固たる意志を示そう。

2022年03月20日 | 憲法9条改憲・安保法制・軍拡反対

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 一昨日、2022年3月18日に書いた

戦争当事者のウクライナのゼレンスキー大統領に日本の国会で演説させるのは、憲法9条を持つ平和国家日本として非常に危険。「参戦」を求めてくる同大統領の「煽り」に浮足立つくらいなら今からでも断るべきだ。

という記事がSNSで賛否両論、大変な論議を巻き起こしまして、護憲派の中でも各所で議論が起こり、私そっちのけであちこちでコメントした人同士が論争しているという(笑)、大変な事態になりました。

 私は知らなかったのですが前日たまたま、ジャーナリストで都知事選にも出たことのある鳥越俊太郎氏も同大統領の国会演説にやや乱暴な口調で反対論を述べていたことも影響したようです。

結論は同じようでいて、台湾にも話させるのかとか、な~~んか言いたいことが違う。

 

 

 さて、ゼレンスキー大統領の国会演説に私が危惧の念を抱いて反対する理由は、彼はこれまでの各国での演説でも巧みにカスタマイズしながら、各国の議員と国民を「煽り」、ウクライナへの支援を呼びかけてきたので、日本でも同じことをやるだろうという理由からです。

 上の記事では日ソ不可侵条約を破って日本に参戦した旧ソ連、とか、日本への原爆投下に触れてプーチンの核を使うぞという威嚇にウクライナはさらされています、というようなことを言うだろうと書きましたが、もちろんロシアに不法占拠されて返ってこず、むしろ軍事要塞化されている北方領土のようにウクライナもなってしまう、というようなことも言うかもしれません。

 上の記事に書いたように、ゼレンスキー大統領はいま侵略されているウクライナの元首として、ウクライナを救うためなら煽りだろうが何だろうが言う権利はあります。

 しかし、この夏の参院選で改憲が焦点になる日本で、彼の演説を認めてしまうことは非常に危険です。

 ゼレンスキー大統領の演説直後から、安倍晋三元首相や高市早苗自民党政調会長など右翼政治家やネトウヨたちがそれを利用して、日本の軍備拡大、核共有や核武装、憲法9条改悪を言い立てる可能性は十分あるのです。

 

 これに対して、私の投稿に否定的な反応をしてきた護憲派の方たちの論拠は

1 いま侵略されているウクライナの声を聞く姿勢こそが、平和憲法を持つ日本にふさわしい態度

2 憲法の国際協調主義からもゼレンスキー大統領の声は聴くべき

3 日本の国会議員も国民ももう「大人」なんだから大丈夫だし、大丈夫でなければならない

4 危険性だけで、ゼレンスキー大統領の発信を受け取らないというのでは、国権の最高機関としての国会の役割を果たせない

5 価値相対主義に立つ日本国憲法において、立憲主義とは多種多様な意見を聞くことである

6 G7の中で日本だけゼレンスキー大統領の演説を拒んだら恥をかき、国際的に孤立する

などなど、ネトウヨの「真珠湾攻撃のことを米国議会で言ったからもう来るな」(笑)、と違ってさすが護憲派、説得力があります。

 

 ただ、ナイーブだなあと思うのは、護憲と改憲の争いは政治なんだということを忘れてはいないかということです。

 平和主義だから国際協調主義だから国権の最高機関だから、被害者の言い分を聞こうとか建前を言っていて、その肝心の憲法を改悪されてしまったら元も子もないでしょう。

 たとえば、価値相対主義だから立憲主義の原則としてはいろんな意見を聞くべきだという論理を貫いたら、プーチンロシア大統領にも演説をさせないといけなくなってしまいます。

 それに、ゼレンスキー大統領の発信はもう日本でも十分受け取っていて、日本用にカスタマイズされた演説を聞くことに情報としての意義はそれほどありません。 

 私もプーチン大統領とロシア軍によるウクライナ侵略のことは口を極めて批判してきましたし、いま殺されつつあるウクライナの人々、戦争に加担させられているロシアの民衆に深く同情する気持ちも人に負けないつもりですから、ゼレンスキー大統領の演説をお断りするのは、確かに非常に心が痛むのも事実なんです。

 しかし、その代わり、日本はウクライナに平和主義に徹する人道支援をしたり、ロシアとウクライナの間に入って調停外交を進めるような、NATOに属しておらず「当事者」ではない日本にしかできない努力を真摯にやるべきなんだと思います。

 

 さて、とはいえ、日本の国会内では日本共産党もゼレンスキー大統領演説にもろ手を挙げて賛成してしまっている現状ですから、2022年3月23日にこの演説が行われてしまうのはほぼ確実です。

 どんな演説が行われても、日本の市民も議員も大人なんだから大丈夫なはず、などと楽観している夢想家はここの読者にはそんなに多くないでしょう。

 自民党は今度の参院選で憲法9条改悪や市民の人権を制限できる緊急事態条項創設を含む改憲を公約にしてきます。

 自公政権はそれ以前から、敵基地攻撃能力だの、核共有だの、軍備拡張だの日本国憲法に反する策動をし続けています。

 

 ゼレンスキー大統領国会演説が突風のように吹き荒れた後、日本国内で盛り上がって恐ろしいのは

「ウクライナを救え」

以上に

「日本はウクライナのようにはならない!」

「ロシアも恐ろしいが、中国はさらに恐ろしい!」

などというナショナリズムが喚起されることです。

 ゼレンスキー大統領は各国の実情はよくわかって演説するのだから、日本の平和憲法に合わせた演説をしてくるなどと超お花畑なことを言っていては、そのお花もゼレンスキー大統領にではなく、日本の改憲派に踏みにじられてしまうでしょう。

 腹を決めて、あらゆる事態を想定して対処できるように心の準備を。

 

 

G7の中で日本だけがゼレンスキー大統領の国会演説を認めなかったら国際社会で孤立するという意見もありましたが、日本は「普通」の国にならなくていいんですよ。

憲法9条自体が世界にただ一つしかないような類まれな憲法条項なんですから、それを守ろうとしたら、他の国とは違う生き方になるのは当然で、孤立を恐れてはなりません。

日本は徹底した平和主義だからこそ、ウクライナを非軍事的な項目に徹底して支援する、ロシアに対しては侵略を許さず停戦と撤退を実現するためにあらゆる外交努力をすると宣言すればいいのです。

同大統領の国会演説に賛成した共産党も含めて、ポピュリズムに堕するな。

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ウクライナのゼレンスキー大統領、23日に日本の国会でオンライン演説

ウクライナのゼレンスキー大統領=キエフで2022年3月16日、ウクライナ大統領府提供・AP

 衆参両院は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説を23日午後6時から実施する方針を固めた。双方をリアルタイムでつなぐ「オンライン形式」を採用し、日本の国会では初めての試みとなる。設備の都合から本会議場ではなく、国会内の大規模会議室で実施する。↵

 ゼレンスキー氏は英国や米国などの議会でもオンライン形式で演説しており、日本に対しても在日ウクライナ大使館から日本の外務省を通じて打診。17日にはウクライナのコルスンスキー駐日大使が衆参両院議長に対し、正式に要請していた。演説はロシアによる攻撃を非難し、ウクライナへの支援強化を呼びかける内容になるとみられる。

 自民党の高木毅、立憲民主党の馬淵澄夫両国対委員長は18日、国会内で会談し、国会演説を早期に実施する方針を確認していた。【野間口陽】

 

 

 
18日 19時57分 TBS
 
ウクライナのゼレンスキー大統領による国会での演説が来週23日に行われることが決まりました。

関係者によりますとゼレンスキー大統領による演説は来週23日に、事前収録ではなく生中継で行われることが決まりました。きのうウクライナ政府から国会に正式に打診があり、調整が行われていました。

ゼレンスキー大統領は欧米の議会で相次ぎ演説を行っていて、アメリカの議会では防空システムなどの支援を訴えていました。

日本の国会での演説実施にあたっては、本会議場に大型モニターを運び込む案が浮上していましたが、構造上、設置が難しいことが分かり、国会内の別の場所での実施を検討しています。
 
 
 

外国元首による異例の国会演説、消極姿勢から転換した理由は…「悪しき先例主義では世界中が失望」

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のオンライン形式での国会演説を巡り、与野党は23日に実施することで一致した。外国の元首がオンライン形式で国会演説するのは異例のことだ。当初、各党や衆参両院事務局が前例がないことを理由に消極姿勢を示したが、ウクライナへの連帯の意思を示すために協議をまとめた。

プーチン氏の演説中継、愛国歌に突如切り替え…報道官「故意でなく技術的なトラブル」
衆参両院議長らとの会談に国会を訪れたウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使(中央)(17日)=源幸正倫撮影
衆参両院議長らとの会談に国会を訪れたウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使(中央)(17日)=源幸正倫撮影

 在日ウクライナ大使館から日本の外務省を通じて国会に演説の打診があったのは、今月15日のことだった。17日には、セルギー・コルスンスキー駐日大使が細田衆院議長、山東参院議長と国会内で個別に会談し、正式に要請した。

 ロシアの侵攻で危機に直面しているウクライナは各国に支援を求めており、ゼレンスキー氏は主要な民主主義諸国の議会で演説することで、国際世論に訴えかける意図がある。

 与野党は打診を受けた直後から協議を始めたものの、国会の根深い「前例主義」が障害となり、「即答」はできなかった。

◆難題

 外国の元首らがオンライン形式や事前収録したビデオ映像などで演説をした前例がないため、まず実施方法が難題となった。

 外国の元首らの演説は本会議場で行われるのが通例だが、議場にはスクリーンがない。議場に外部からスクリーンを持ち込む案も浮上したものの、自民党幹部の一人は「参院本会議場には、天皇陛下がお座りになる場所付近にスペースがあるが、さすがにそこにスクリーンを置くのはまずい」と否定した。

 このため、国会議事堂本館から道路を隔てた衆院議員会館の会議室で行う案が浮上。ただ、衆参の全議員を収容できる広さはないため、この会議室を使うなら各会派から代表者だけが出席することになる。

 各党からは「ウクライナとは7時間の時差があり、日中の開催が難しい」「予算審議が大詰めを迎えていて、演説の日程を確保できるのか」といった意見も出た。

 ウクライナ側に演説実施を即答できないことに、自民党の衛藤征士郎外交調査会長は「  しき先例主義、形式主義にとらわれて、日程が遅くなっては、世界中が失望する」と語った。

◆英米は

 英国や米国などの議会は、ロシアの侵攻で深刻な被害を受けているウクライナへの連帯の意思を示すため、打診後速やかに応じてきた。英国議会は本会議場に特別に大型のスクリーンを設置し、議員らは同時通訳を介して演説を聞いた。米国は通常の議場とは異なる講堂を使用した。

 

 

鳥越俊太郎氏、ゼレンスキー大統領の国会演説に猛反対「所詮紛争の当事者」「国民は許さない」

配信 よろずー

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鳥越俊太郎氏

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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (まさか、と思った人)
2022-03-20 20:31:05
今頃、官邸と外務省では、
真珠湾攻撃を例に出されて、今の日本はテンワやんわになっちゃたからという理由で、
あんな事は言ってくださることのないようにとか、こんな解釈もできないような演説にしてくだされ、
とにかく、くれぐれも、真珠湾攻撃級の不意打ち演説を奏でてくれるな、
と申し込んでいるというか、お願い差し上げているんじゃないかなと思うんですよね。

もちろん、来日するわけじゃないから、
折り詰めに日本政界印でおなじみのとってもおいしい毒まんじゅうをたらふく仕込んでのお願い申し上げ候は無理かもしれませんが、
アイズオンリーの超法規的措置とはなりますが貴国の欲しい物をなんなりとお申し付けください、
なんていう日本一流のお・も・て・な・し外交の銃弾をゼレンスキー大統領に直接かどうかもわかりませんが、
ウクライナ政府の外交筋に浴びせまくっているような気がするんですよね。

過去の外交を思うと、あくまで、そんな気がするだけなんですけどね。
空気感に縛られた予定調和が大好きな民族性というか、霞が関永田町に古来伝わる伝統芸というか。

なんてったって、最近では、
過去にあったことさえもなかったことにしてしまえる今の日本政府ですからね。
これから起こりそうな危険を回避するなんてオチャノコサイサイかなと、つい、思ってしまいました。
返信する
参戦要求か (ゴメンテイター)
2022-03-22 08:47:59
明日、ゼレンスキー大統領の国会演説が行われる予定です。
ビデオによる演説なら、事前に検閲が可能かもしれません。しかし、オンライン演説です。彼のスピーチライターはどんな原稿を作っているのでしょう。ゼレンスキー大統領はもう、台本に目を通したでしょうか。

「広島、長崎に原爆が投下されたように、ウクライナに核ミサイルが撃ち込まれる。その前に日本にあるアメリカの核兵器でロシアを攻撃してくれ。」
などという内容でしたら大変です。
核兵器の共有を提案し、核戦争を煽っている維新は勢いづくでしょう。「ウクライナを助けるために核戦争を」と言い出すかもしれません。

戦争はもう少し続くでしょう。アメリカが提供している武器・兵器がまだ少ないですから。兵器産業が十分潤えば、戦争は終結するでしょう。そして、それまでに日本の費用負担が決まるんじゃないですか。あの、湾岸戦争のときと同じように。
返信する
[ゼレンスキー、国会での演説が実現] (バードストライク)
2022-03-22 20:51:02
むむ…吾輩の予測に反して、実施するらしいですね。
ドイツでの国会演説では、ドイツはカネのためにロシアと手を結んできた、あなた方は経済、経済、経済だ!…とかなり激しい口調で親ロ政策を非難したとのこと。

しかしこれは前政権、つまりメルケル姐さんを批判したものであって、現首相のショルツにとっては自分の政策への追い風であり、両者は事前に綿密に打ち合わせをしていたこと、またゼレンスキーの背後には「国際的な戦争広告屋」がいると指摘されている。
ゼレンスキー自身、コメディアンとして一緒に活動してきた仲間&妻にブレーンとして今までもサポートされてきたというが、今回はそれ以上の切れ者が付いているということだろうか。

日本で一体、何を言うのか。
「憲法9条では 無法者から国を守れない」
なんて言わんやろな?
ここは是非、我らが総理大臣最長在位日数を記録し、プーチンとファーストネームで呼び合う仲、3000億円と北方領土をプレゼントした

安 倍 晋 三

センセエの「偉業」について語って欲しいのねんのねん。まあマズゴミは全力で報道しない自由を行使するだろうが、生中継なら少なくともその時は流れますからね(^^)
返信する

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