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心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(外宮)26 ~御池<みいけ>~

2016-02-11 22:00:00 | 神宮
御正宮前には細長い池、御池<みいけ>が広がっています。


昔この辺りは、近くを流れる一級河川「宮川」の支流である豊川<とよかわ>が流れていたそうです。
地震などのために埋まって3つの池になってしまったとのこと。
前述した川原祓所<かわらのはらえしょ>の「川原」とは、昔流れていた豊川の川原ということですね。
昔の人たちはここで手水をとって参拝をしたそうです。

御池の水は非常に綺麗、とは言い難いのですが、大きな鯉や水鳥、亀などが見られます。
看板等は立ってはいませんが、神域内の生き物にエサを与えるのはやめましょう。

別宮<べつぐう>、摂社<せっしゃ>、末社<まっしゃ>、所管社<しょかんしゃ>とは

2016-02-01 22:47:00 | 神宮
規模の大きな神社の境内には、メインとなる本社(正宮、正殿、本殿)の他に、小さなお社が複数お祀りされていることがあります。
これを摂社<せっしゃ>、末社<まっしゃ>といいます。
各時代によって制定された神祇制度<じんぎせいど>により神社の格(社格)が定められ、その格に応じて摂社・末社と分類されているようです。
摂社、末社どちらも、本社にゆかりのある神様がお祀りされています。

さて、伊勢の神宮には、皇大神宮(内宮)、豊受大神宮(外宮)の2社の正宮、上記の摂社、末社の他に、別宮<べつぐう>、所管社<しょかんしゃ>と呼ばれるお社があります。
それらを全て合わせると125社あり、その総称が「神宮」なのです。

正宮<しょうぐう> 計2社
神宮には2社あります。
・皇大神宮(内宮)
・豊受大神宮(外宮)

別宮<べつぐう> 計14社
正宮と特に関わりの深い神様をお祀りする格の高い神社で、正宮に準じて祭祀が行われます。
中でも皇大神宮の第一別宮である荒祭宮<あらまつりのみや>と、豊受大神宮の第一別宮である多賀宮<たかのみや>は、大きなお祭りにおいて天皇陛下が幣帛<へいはく>(=絹の反物など)をお供えあそばされます。
皇大神宮に10社、豊受大神宮に4社あります。

摂社<せっしゃ> 計43社
延喜式神名帳<えんぎしきじんみょうちょう>に記載されている神社です。
延喜式神名帳は、西暦927年(延長5年)に成立した国家の官帳です。
皇大神宮に27社、豊受大神宮に16社あります。

末社<まっしゃ> 計24社
延喜式神名帳には載せられていないものの、延暦儀式帳<えんりゃくぎしきちょう>に記載されている神社です。
延暦儀式帳は、西暦807年(延暦23年)に成立した伊勢の神宮の儀式帳です。
皇大神宮に16社、豊受大神宮に8社あります。

所管社<しょかんしゃ> 計42社
御正宮や別宮に直接かかわりがあり、水やお酒、お米、塩、麻、絹などの御料<ごりょう>(=お供え物)、宮域鎮護など、祭祀にあたり深く関係を持つ神々がお祀りされています。
皇大神宮に30社、豊受大神宮に4社、別宮の瀧原宮<たきはらのみや>に3社・伊雑宮<いざわのみや>に5社あります。

豊受大神宮(外宮)25 ~多賀宮遙拝所<たかのみやようはいしょ>~

2016-01-21 22:00:00 | 神宮
古殿地の前、別宮<べつぐう>につづく参道の手前に、注連縄を張った小石敷きの一画があります。


多賀宮遙拝所<たかのみやようはいしょ>です。
多賀宮は、豊受大神宮の第一別宮で、豊受大御神の荒御魂<あらみたま>をお祀りしています。
多賀宮や荒御魂については後日記事にします。

多賀宮に行くには98段の階段を登らなければなりません。
足腰の弱い方や時間に限りのある方は、ここで遙拝<ようはい>します。
「遙拝」とは、遠くにお祀りする神社や、遠方で行われる祭祀に対して拝礼することです。
ここでの拝礼は、もちろん「二拝二拍手一拝」です。

豊受大神宮(外宮)24 ~三ツ石<みついし>~

2016-01-11 23:50:00 | 神宮
古殿地の向かいに縄で囲われた石があります。


これは三ツ石<みついし>と呼ばれています。
三ツ石は、川原祓所<かわらのはらえしょ>の場所を示す目印です。

伊勢の神宮では、20年に一度社殿を建て替える式年遷宮が行われます。
式年遷宮は、その過程において幾度となく祭祀を行い、それを遷宮諸祭<せんぐうしょさい>といいます。
遷宮諸祭を行う際には、神様にお供えする御装束神宝<おんしょうぞくしんぽう>や奉仕員を清め祓います(=修祓)。
遷宮諸祭における修祓を行う場所を「川原祓所<かわらのはらえしょ>」といいます。
この三ツ石の前に五色の幣串<ごしきのへいぐし>という特別な御幣<ごへい>を立てて修祓が行われます。

昨今、いわゆるスピ系の人たちが三ツ石がパワーストーンと言ったことから、随分ともてはやされています。
この石に手をかざしたり、石の周りの空気をすくって頭や身体に擦り付けたり……
みなさん思い思いの動作を行っています。
最近、その行動が行き過ぎて、縄をくぐって三ツ石に触れようとしたり、お賽銭とおぼしき小銭を投げ入れたりする人がたくさんいます。


参拝者のそのような行動に、神宮の神職さん、衛士さんをはじめとする職員のみなさまは非常に困惑していらっしゃるそうです。
それはそうでしょう。
三ツ石は、20年に一度の行事を行うための目印であって、何かをお祀りしている訳ではないのですから。
実は、以前はこの三ツ石の周りを囲う縄の範囲は、もっと狭いものでした。
参拝者の皆さんの行き過ぎた行動が、囲う範囲を広げるという結果になったのでしょう。

三ツ石がパワーストーンというのは、いわゆる都市伝説でしょう。
何にパワーを感じ、何を大事にするのか、それは人それぞれかもしれません。
しかし、神域内のものはみだりに触るものではありません。
『触るな』と禁止されているから触らない、というのは当たり前のこと。
『触ってもよい』と許可されているもの以外は触らないというのが、あるべき姿ではないでしょうか。
自分の家の物を、隣人や客人があなたの許可なく勝手にベタベタと触ったら、あなたはどう思いますか?
そして、触った拍子にそれが壊れてしまったら、あなたはどうしますか?

また、お賽銭は決められた場所(=賽銭箱)に入れるものです。
参拝者がそれぞれ思い思いの場所(「好き勝手な場所」ともいいます)に投げ入れたお賽銭は、誰がどうやって探して拾い集めるのですか?

なお、平成27年12月14日にリニューアルされた伊勢の神宮のホームページには、三ツ池について次のように記述があります。
近年、手をかざす方がいますが、祭典に用いる場所なのでご遠慮ください。


最後に、手をかざすのは非常に失礼な行為であることを申し添えておきます。

豊受大神宮(外宮)23 ~日別朝夕大御饌祭 2~

2015-12-21 21:15:00 | 神宮
豊受大神宮(外宮)ご鎮座以来、一度も欠かすことなく行われている日別朝夕大御饌祭<ひごとあさゆうおおみけさい>。
神様は毎日どのような食事を召し上がっているのでしょうか。

神様の朝夕の献立は次のとおりです。
・御飯3盛
・鰹節
・海魚
・海草
・野菜
・御塩
・御水
・御酒
・果物
上記に御箸を添えて御饌としてたてまつります。

たてまつられる食材は、基本的に伊勢の神宮が管理する特別な場所で清浄に調整されます。
たとえば
 お米=神宮神田
 野菜=神宮御園
 御塩=御塩浜、御塩殿神社
 御水=上御井神社<かみのいのじんじゃ>

御饌は、これまた特別に調整された器に盛られます。
赤土の素焼きの器です。


こちら↑は、神宮(外宮、内宮)で御饌(神宮ではご祈祷のことを「御饌」といいます)や御神楽を奏上した後、御神酒をいただいた時の器です。
(器はおさがりとして頂戴することができます)
御神酒をいただいたので、シミがついていますが・・・。

御酒、御水以外は、器の上にトクラベの葉が敷かれ、その上に御饌が盛られます。
ハイノキ科のミミズバイという常緑樹のことを三重県ではトクラベと呼んでおり、神宮でもトクラベと言われています。
6月に行われる月次祭<つきなめさい>と、10月に行われる神嘗祭<かんなめさい>でたてまつる大御饌では、トクラベではなく柏の葉が用いられます。
神職さんのお話では、トクラベの葉、柏の葉、どちらも抗菌のために用いられているのでは、とのことでした。