心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(外宮)31 ~土宮<つちのみや>~

2016-04-21 19:00:00 | 神宮
多賀宮<たかのみや>をお詣りしたら、次は土宮<つちのみや>を参拝しましょう。


外宮域内の別宮の社格は、
1 多賀宮(詳しくはこちらこちら
2 土宮
3 風宮<かぜのみや>
であり、遷宮もこの順番に行われます。

土宮のご祭神(お祀りしている神様)は、大土御祖神<おおつちみおやのかみ>です。
外宮宮域の地主の神様です。
大土御祖神は、もともと外宮周辺、山田原<やまだがはら>の鎮守神としてお祀りされていました。
その頃は「土社<つちやしろ>」と呼ばれていました。
外宮の鎮座以降、外宮宮域の地主の神として祀られるようになりましたが、当初は別宮でなく末社でした。
外宮の近くを流れる一級河川、宮川の度重なる氾濫をおさめる堤防の守護神として、平安時代末期の大治3年(西暦1128年)に別宮になったそうです。

土宮も向かって左側に古殿地があります。


平成27年(西暦2015年)1月28日に遷御の儀が行われましたが、その直後は新宮<にいみや>にお詣りする人々が長蛇の列を作りました。
普段別宮は話題になることが少ないことから、大変珍しい光景と地元ではニュースになりました。

神社は基本的に南向き、または東向きに建てられています。
外宮の他の別宮は南向きですが、土宮のみ東向きで建てられています。
東向きで建てられている理由は不明で、過去には南向きに替えようと議論されたこともあるようです。
しかし、古来からの形を尊重しようと、東向きのままとなりました。

早朝、土宮の御扉<みとびら>に朝日がさす様は、とても神々しい光景です。

豊受大神宮(外宮)30 ~多賀宮 2~

2016-03-21 23:45:00 | 神宮
多賀宮は社殿と、その前にある柱と屋根だけの建物で構成されています。
他の別宮も同じです。


別宮は御正殿と同様に20年に一度、社殿が新しく造り替えられます。
多賀宮は平成25年10月13日、遷御<せんぎょ>(=新しい社殿に神様がお遷りになること)が行われました。
向かって左手にある御敷地が、以前社殿があった場所、古殿地です。
心の御柱<しんのみはしら>をお納めし、お守りするための覆屋<おおいや>があります。
 ※心の御柱についてはこちら


多賀宮は御正宮に引き続いて祭祀が行われます。
この第一別宮だけは、御正宮と同様に勅使(天皇陛下の使者)により幣帛<へいはく>(=供物)がささげられるなど、特別に取扱いされます。
こちら↓は、勅使が雨の中、多賀宮へ参進する様子です。

豊受大神宮(外宮)29 ~多賀宮<たかのみや>1~

2016-03-11 23:50:34 | 神宮
98段の石段を登った先にあるのが、豊受大神宮(外宮)第1位の別宮の多賀宮です。


こちら↓は平成25年10月の式年遷宮直後の社殿です。


高台にお祀りされていることから「たかのみや」と呼ばれています。
明治以前は「高宮」と表記されていたことも。
ご祭神は豊受大御神の荒御魂<あらみたま>です。

神様の御神霊のはたらきから、「和御魂<にぎみたま>」「荒御魂」にわけられています。
和御魂はおだやかなはたらきを、一方、荒御魂は積極的で活動的、時に荒々しく、格別に顕著な御神威をあらわされます。
そのため地元では、多賀宮の神様は何か物事を始めようというときなど、現実的で力強い後押しをしてくださる神様であると崇敬されています。
まさに静と動ですね。
豊受大御神の和御魂は御正殿にお祀りされています。

他の別宮には社殿の前に鳥居がありますが、この第一別宮には鳥居がありません。
なぜ鳥居がないのか、理由はよくわかっていないそうです。

豊受大神宮(外宮)28 ~別宮参道・地蔵石~

2016-03-01 23:45:00 | 神宮
前述の亀石を渡って進むと、突き当りに石段があります。


階段手前右手に土宮<つちみや>、左手に風宮<かぜみや>の2つの別宮があります。
これら2社のお詣りは、外宮第一別宮である多賀宮<たかのみや>をお詣りしてからにしましょう。

別宮や摂社・末社など、境内(神域)に複数のお社がある場合、基本的にお社の格(社格)の高い順にお詣りをします。
 ※社格、別宮、摂社、末社についてはこちらをご参考ください
 ※例外はあります(機会があれば記事にします)
外宮神域では、御正宮→多賀宮→土宮→風宮の順にお詣りします。

石段はまだまだ続きます。


日頃の運動不足を実感する方も多いはず(苦笑)。


左端にあるのは、手すりではなく木の柵とのこと。
疲れても、もたれてはいけないようです。


登りきった……と思ったらおどり場です。
おどり場にはこんなものがあります。


万が一、火の手があがった時に使うものが収納されているようですね。

石段は計98段あります。


多賀宮の手前には、こんな石があります。


石の形がお地蔵さんに似ていることから、地元では「地蔵石」と呼ばれています。
写真右下がお地蔵さんの頭部のようです。
石の形がたまたまお地蔵さんに似ていたことから、いつの間にか地蔵石と言うようになったようです。
乱暴に表現すると、地元の人が勝手に名付けた通称。
決して、神様や仏様をお祀りしている石ではありません。
ですから、ここにお賽銭としてお金を置くのはやめましょう。

豊受大神宮(外宮)27 ~亀石~

2016-02-21 19:00:00 | 神宮
御池の中ほどに大きな石の橋が架かっています。


石の形が亀に似ていることから、亀石と呼ばれています。
亀石は、高倉山古墳の入口にあった岩だと言い伝えられています。

高倉山古墳は、外宮宮域にある標高116mの高倉山頂上にある円墳です。
昔は自由に高倉山に登ることができ、古墳の石室は鎌倉時代頃から開いていたそうです。
いつのころからか天岩戸の神話と結び付けられ、参拝客がたくさん訪れた形跡が残っているとか。
昭和50年代以降、高倉山への入山は禁止されています。

亀石には、頭上の木々から垂れる雨露で穿たれた穴がたくさんあります。


これほどの穴が開くには、どれだけの年月が流れたのでしょうか。
まさに、「涓滴<けんてき>岩を穿つ<うがつ>」ですね。

亀石の奥に、3社の別宮があります。