日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

客観なきマンガ

2013-09-09 19:26:20 | ぼくの地球を守って
まんまです。

たとえばシュウカイドウがモクレンに、
「シオンには気を付けた方がいい」と警告します。

モクレンは、
「シュウカイドウとシオンはお友達なのに。
あんな風に言うなんて、シュウカイドウはおかしいわ」
と解釈します。

でも、そうなのか?

シオンは本当に要注意人物なのかもしれない。
あるいはシュウカイドウはモクレンを想っているので、
嫉妬から二人の仲を裂こうとしたのかもしれない。

いったい、本当のところどうなのか?
作者は決定的な方向を教えてくれないのです。

「ぼくの……」にあるのは、キャラの主観だけです。
誰が何を言った。何を考えた。
それらは緻密に、読者の前にさらけ出されます。
でも真実は何なのか。
作者はわざとのように、答えを見せません。

こういうのって、純文学ではよくあるんですよ。
でもマンガでは珍しい。
私は初めて読んだ気がします。
マンガ家は必ず読む者をリードして「あるべき方向に」導こうとします。
自分がすでに出している答えを、読者に、いわば強制する。

「ぼくの……」には、安定したキャラがいない。
あ、この人の感性に乗って読み進めれば大丈夫といっとき思っても、
どこかで裏切られる。
誰にも自分を託せない。

「ぼくの地球を守って」を読むためには、
読者自らが物語の世界に参入するほかない。

だからこそ、人気を博したんでしょうね。


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