ラッコ庵日乗

「不思議な話」や「ヘンな話」が大好きなラッコ庵の日記。

冠婚葬祭のひみつ」斉藤美奈子著(岩波新書)

2006年12月18日 | 本あれこれ
唐突ですが、

かかりつけの葬儀屋さんを持っていますか?

私は持っています。
この7年で3回身内のお葬式があり、うち2回はうちが喪主でした。
7年前の実父のお葬式の時は、長く入院したあとでもあり覚悟ができていたので漠然と心づもりがありました。
本人に聞いたわけではありませんが「父は合理的な人なのでお葬式もシンプルな方がいいだろう」と。
おりしも息子さんが急になくなられた近所の方が、呆然自失のうちに葬儀屋のいうままにやって1000万円かかった、という話を聞きました。
それで、生協と提携している葬儀屋さんに頼んだのですが、そこが感じがよく明朗会計でとてもよかったので、3年前の義姉のお葬式も同じ所に頼みました。
子供たちにも「もし私が死んだら、お葬式は○○に頼んでね」といってあります。

縁起でもない、とご不快になられた方がいらっしゃったらすみません。
ただ、少子高齢化で年間の死亡者数は増加する一方。
誰でも親のみとりの心配はしておくべきではないでしょうか?
ブライダル産業が縮小化する一方で、葬儀は一大成長産業・・・
そんな時代の「いまどきの結婚」と「葬送のこれから」を明快に教えてくれるのが斉藤美奈子「冠婚葬祭のひみつ」です。

まず驚くのが、なんとなく「永遠不変」のように思いがちな冠婚葬祭の儀礼が、この100年間に大激変しているということです。
たとえばしばらく前まで普通だった神前結婚は1900年の大正天皇(当時は皇太子)の婚礼以降のことだ、とか。それまでは自宅での人前結婚が普通で、婚礼に宗教はなんら関与していなかったのです。
100年も遡らなくても、自分自身、今年久しぶりに結婚式に出てびっくりしました。人前式で仲人も立てない、というのは当たり前。かつての「お披露目」の意味はなくなって「お楽しみパーティー」化してる、という指摘は当たっていると思いました。

同じく葬儀も、思った以上にいろんな方法があるらしい。
派手な方ばかりじゃなくて、「家族葬」とか「密葬」とか「樹木葬」とか。極端な話、火葬だけして遺骨は火葬場においてきたっていいなんて知ってました?
その中で、自分と家族にとって一番いい葬送の方法とは何なのか。
もし
「遺骨を海に流して欲しい」
なんて遺言したら、かえって手続きとかどこに頼むかとか難しくて残された人に迷惑をかけるので、そういうのを希望してる人は手順をちゃんと決めておいたほうがいい、とか。
特に信仰を持たない身としては無宗教のお葬式もいいなあ、と思いますが、よく考えずにやると、なんだかわからないダラダラしたものになる可能性が高いので、みんなの手馴れた?仏式にしておいたほうが無難だ、とか。

まあ、自分の死んだあとのことは、残された人が満足いくようにやってくれればいいとは思いますが、それでも死顔を見られるのはいやだよ~、とか、祭壇はセンスのいいのにしてねとか、夫の家のお墓には入りたくない、とかやっぱりこだわりはあります。
この本には、遺言や戒名やお墓のことまで含め、一筋縄ではいかない葬儀のあれこれについてもいろんな例が具体的に出ていて役にたちます。
えっ、そんなこともできるの!?という方法が見つかるかもしれませんよ。

で、最初の質問にもどる。
かかりつけの葬儀社を持っていますか?
本書いわく「信頼できる葬儀社探しは最低限の危機管理」だそうです。
でも、それってどうしたらいいの?を思ったらこの本をお読みください^_^;。

追記:

地方によってやり方はまちまちでしょうが、一連の体験から、私が一番嫌だったのは火葬場でのお骨拾い。

遺骨を参列者が、交代で箸でつまんで骨壷に入れるのですが、父の時には、まず遺骨が人体模型のようにきれいに並んだまま出てきたのがショックでした。
昔の経験では、お骨ははじめからごちゃごちゃになっていたのに・・・。
最新鋭の火葬場だからかなあ、と思いましたが、そのあと行った川崎の同様の施設ではごちゃごちゃでした。あれって、わざとごちゃごちゃにしてるのかな?

さらに骨壷に入れる前に、係員さんが「これがのど仏の骨です」とか説明しますよね。そうすると、参列者も「骨太だったからね」とか「こんなにボロボロ。やっぱりくすりのせいかしら」とか論評(?)する。あれがイヤ。デリカシーのかけらもない。
とどめは、骨壷に入りきらない時。
係員さんが「では失礼して」とか何とか言ってガシガシと棒のような物でお骨をつぶしてムリムリ骨壷に収めます。
うわーん、やめてくれ~。

なんだか悪い冗談のよう。
私の時にはお骨は人に見せないで、裏で事務的に骨壷に入れて欲しい。
すくなくとも「ごちゃごちゃ」でお願いしたい。
それが最低限の希望です。

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2 コメント

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そうだと思う ()
2006-12-19 00:21:25
死んだ後家族に苦労させないようにしたいものです。葬式もその一つ。最低プランと見積もりを出させたいものですが、田舎ではそうも上手くいかないだろうなあ。親にこんな話すると嫌がられるから話も出来ないです。困った。この本は買っておくと良さそうです。
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葬儀話 (uoco)
2006-12-19 14:07:45
骨を拾う儀式は、昔土葬して月日が経った後に掘り返して、
骨壷に入れるときにやったことが発端なのかなと想像します。
ほんの35年前の祖母が亡くなったときは土葬でした。
骨壷にガシガシやるのを私も見ました。
あれは、本当に泣けました。なんかモノ扱いだし。

うちはご近所さんのお葬式手伝いを組内でやったときに、
その葬儀ホールの会員制があるという情報を聞いて、
その日に入会したのですが。
1週間後うちの父が亡くなった時に、会員だったので大幅な費用削減が出来ました。
こういうのも縁っていうんでしょうか。
父の葬儀は仏教だったのですが、お寺に寄付が付帯してきています。
坊主丸儲けだなぁって思うことも。
これからは宗教関係無い葬儀が増えていくでしょうね。
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