憂鬱な4月

そこで起こり得る瞬間

「廃用身」久坂部洋

2009年09月27日 | その他ミステリ




今日、目黒のGIANTショップに行ってきました。
目的は2010年版のカタログを買いになんですが、
行ったらタダでくれました
少し惚れたぜGIANT!

ついでにサイズを検討。
ESCAPEの時はSサイズだったのですが、ロードバイクでは違うと思いまして。
まぁロードもSサイズだったのですがね…

最初はDEFY ALLIANCE 1(リンクあり)というスポーツ用の自転車を見に行ったのですが、いやはや跨ってみてDEFY ADVANCED 3(リンクあり)がやたらに欲しくなりました。

そもそもGIANTで行こうと考えていたなかで、コンポーネント(まぁギアだよ、ギア)何かはおいおい交換してしまえば良いので、色とデザインで決める気でいました。

アルミ・カーボンのコンポジットで、さほど高くないお値段で考えていたALLIANCE。
ADVANCED 3もデザインと色がかっこよかったので魅力的でしたが、素材としてのカーボンは敷居が高そうだなぁ…と思ってたのです。

しかし…
現物見ると駄目だわ…


欲しい… 欲しい…
室内保管の場所もつくるよ、俺。

さて、自転車のことは改めてじっくり書くことにして、読書感想文いきましょう、読書感想文。

ん?値段?

22万だよ

結婚もしていないし、彼女もいないんでって…こんな買い物したら、ますます女性には引かれるでしょうねぇ…惹かれる人はいないのかな。

今回は前回告知した通り(つっても同じ日ですが)、久坂部洋先生「廃用身」です。
「無痛」が結構面白かったし、知識になるミステリ的なものは大好物なので、買ってみました。

大正解でしたね。おもしろかった~

さっそくあらすじですが、よくまとまっていたので、表紙裏より…

――廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。
神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。

それは廃用身の切断だった。

患者の同意の下、次々に実践する漆原をやがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――


すごく簡潔なあらすじですが、それが全てです。
今作はまるまる作中作の形式を取っており、医師漆原の書いた文章の最後に編集部が注意書きをしている形です。
少なからず介護に携わる者として、それが良いのか悪いのかを排除した際に残る感想は非常に面白いものでした。
医師(倫理観…とか、かなぁ)でなければある意味出せなかった本であり、ラノベと化してきた海堂崇先生よりもメッセージ性の強いものでした。

そのメッセージ性も
「医学会はこんなにも歪んでいるんだよ、こうなるべきだよ」といった、告発的なものではなく(それ自体も大変重要な話ですし、海堂先生の本は好きです)、
「こういった考えもあるんだよ、君はどうおもう?」といった投げかけに近い感じだと思いました。だからこそ、考えられるのです。受身ではなく、考えなくてはこの本の感想はかけないのです。

老人虐待に関しても書かれており結構リアルな作品です…
ある意味勉強になります。

介護職として働いている身とすれば麻痺の有る方々を見ることは多く、老人ホームであれば毎日見ることができます。
自分は幸いなことに五体満足な体をしています。だから本当の意味での麻痺の人の気持ちは分かりません。
ヘルパーの実習でも、たとえば目隠しをしたり、車椅子に乗ったりといった事はしました。
車椅子が非常に路面状況を反映させることも知りましたし、視覚によって得る情報がいかほどに多いのかも知りました。
大変重要な経験だったと思います。

でも辛さは分かりませんでした。

所詮自分では、車椅子を降りれば歩けるし、目隠しを採れば見れるのです。
「ショック」も「回復への期待」も「混乱・苦悩」も「適応」も「受け入れ」も無いのです。

この作品では、そういった廃用身によって日々の生活が困難になり、廃用身を排除することで生活の改善があるのではないかといったことが、テーマとなっています。
勿論久坂部先生ですから、狂気的な展開です(やる側も、やられる側も…)作中でも、マスコミによって尊厳等が語られますが、こういったケースでは必ずしも「これが正しい」といった結論には導かれないものです。
「動かないからといって大切な体を切り取ってしまうなんて、とんでもない」
と言った話は、それを切り取った事で生活の改善が認められた人にとっては逆にとんでもない意見だし、イボだって、魚の目だって、親知らずだって、虫歯だって、それを残しておくと、生活に不便が生じる可能性があるから取っちゃうんでしょう?
イボが良くて手は駄目なのか?
歯が良くて足は駄目なのか?

イボはともかく、親知らずは虫歯の原因になるかもしれないじゃないか?でも彼らは今の生活に苦しんでいるんだぜ?それを言うなら自分の生活を向上させるために整形をする人は?

自分も含めてですが、障害受容を経験していないのに、単純に「駄目だ」とは言えないですよ。
勿論、廃用身自体が癌のように悪いものは無いのでしょうし、それを持ちながらも普通に生活している人も居るとは思います。
でもこの話はそういった人のケースでなく、廃用身を持つことで不自由が有る人達の話なのです。
もはやこうなると、切り取っちゃうのが正しい気もします。が、それは選択肢の一つであり、切り取らない事もまた正しいのです。
作中でも語られますが、体重が重いと特にきついでしょうし(足一本だって人によっては十数キロありますしねぇ…計ったこと無いですが…)…それが改善するんだったらねぇ、
作中のように杖なしで歩けるとか、認知症が改善するケースはまれでしょうが…

自分がこの本で一番思ったことって、結局マスコミがイメージ操作しちゃうんだなぁってことでした。
漆原の言ってる事は画期的だし、賛否両論あるだろうけど、間違ってはいないと思います。
選択肢の一つとしてはまったく問題ないの無いことだとも思います。
問題提起としても、ストーリー性としても新人の作品とは思えない驚きがありました。こりゃあすげぇもん読んだわ。

「無痛」しか読んでいませんが、「破裂」も読んでみたくなりましたね。

※ 次回は8月におこなったバーベキューの話です。
30超えた男がはしゃいでいます。


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