いやはや、最近なんだかこのblogで嘘ばかりついています。
島田荘司「嘘でもいいから殺人事件」か東野圭吾「容疑者Xの献身」を読むといっておきながら、
結局読んだのは岡嶋二人。
しかも岡嶋二人の自伝のようなものでミステリですらありません。
タイトルは「おかしな二人」
岡嶋二人の名前の由来になった映画のタイトルと同じです。
二人は見たことが無いとの事ですが、自分も見たことがありません。
ちなみに、大泉洋のでているドラマとは関係有りません
さてさて、ここのblogで取り上げた事はないのですが、この岡嶋二人、ミステリ好きには有名ですが、
そうでない人(本読みであったとしても)に対しての知名度が一気に下がります。
まぁぶっちゃけると、自分も岡嶋二人よりも井上夢人のほうを先に知っていたのですが…
この人達…
そう、「達」という表現ですから、海外で言うところのエラリークイーン、つまりは岡嶋二人は競作作家です。
まとめ・執筆担当の井上 夢人(当時は井上泉)氏と、企画・プロット担当の徳山諄一氏から成り立ちます。
この合作作家は誘拐物のミステリを良く手掛け(勿論そうでないものも多いのですが良くできているのは特に誘拐物が多いです)、
二人で作っているせいか良く練りこまれた会話や、驚くような真相が秀逸です。
解散までに20本以上の長編を手掛けており、比較的多作な作家です。
その二人がいかにして、出会い、別れたのかまでを綴った本ですね。
でもミステリではなく、記録なので感想は大したことはかけません。
ここはいつも大したことは書いていませんが…
さて、岡嶋二人の作品は面白いです。デビュー作の「焦茶色のパステル」や「あした天気にしておくれ」、「クラインの壷」等は純粋に人に薦められるミステリです。
また コンピュータやパソコン通信等の知識を早くから取り入れ、今までに無いトリックで魅了してくれました。
本屋で見かけては買い、夜更かしをしながら読んだものです…
しかし、この本を読んでじゃっかん印象が変わりました。
作中で井上氏が徳山氏に対して「自分が養っている」的な事を言った事や、暴露本に近いこの本を書くに当たって、徳山氏に「徳さんも書きなよ」との発言など…
確かに岡嶋二人にとって、多くの作業を受け持っていた井上氏の言い分はたしかにわかる部分も有り、
そのことから岡嶋二人は解散していきました。
もちろん井上氏からの提案で。
岡嶋二人が岡嶋二人である所以――岡嶋二人が面白いのはまさに二人が合作してその効果を最大限に発揮していたからであり、
ばらばらになった岡嶋二人では、決して岡嶋二人を超えることはできないのです。
もっとも井上氏の作品は「メデューサ鏡をごらん」しか読んでいないので偉そうな事はいえませんが、(ホラー、怪奇的な作品でした)
岡嶋二人の魅力はそこには無かったと思います。
作中では徳山氏の納期が遅い事から、井上氏が出版社の締め切りに合わせるために奮闘する様が書かれており、かなり徳山氏を責めています。
それに対して徳山氏は決して怒らず、そして反論すらせずに受け入れるのです。
ん~受け入れるというよりも、受け流すといった感じでしょうか…
岡嶋二人が解散した原因は徳山氏だけではなく、井上氏にも有るように思いました。
なかなかプロットを出さない徳山氏にもアイデアとトリックは素晴らしいものがありましたし、井上氏の構成力、文章力も素晴らしいとです。
今考えると、岡嶋二人は性格の違う二人が奇跡的に生み出した作家なんでしょう。
もう新作にはお目見えできない今だからこそ、輝いて見えるのでしょう。
でも、まぁ、なんですか、よくよく考えたら、面白いミステリであればどんなクソ野郎が書いていてもかまわないといった殊能センセーの意見に賛成しますから、何でも良いんですけどね…
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