大阪との境に近い京都府大山崎町にある「アサヒビール大山崎山荘美術館」を訪ねた。自宅から淀川を渡ればすぐの場所にあるのだが、なかなか行く機会に恵まれなかった。今日は天気も良く、紅葉も見ごろであろうと出かけてみた。
JR山崎駅からは徒歩でも10分程度だが、かなり急な坂道なので高齢者、身障者優先の送迎バスが20分おきに出ている。バス停で時刻表を見ると12時台は運休とある。ドライバーのランチタイムなのだろう。私が着いたのは生憎その12時台である。ということは13時台はその分混雑が予想されるので身障3級認定の私は徒歩で3分ほどの阪急大山崎駅に向かった。バスはこちらが始発なので積み残されるリスクは低い。
それにしてもバス停で喋りまくっていたオバハン3人組の会話には失笑を禁じ得なかった。
「楽しみやわ、ビールの試飲コーナーとかあるんでしょう」。
「試飲は無いと思うよ、喫茶店にあるかもしれないけど」。
「そやけどウイスキーの試飲なんかもあるって聞いたよ」。
アホ!それはサントリーの山崎ディスティラリーのことやろ、と思わず突っ込みそうになった。いったい何が目的なんだろうか?
さて、バスに無事乗車、JR山崎駅前では予想どおり長蛇の列。積み残しも出る始末。ただ、バスの終点から美術館までは広大な山荘の敷地を歩かねばならず歩きやすい靴で行かれるようお奨めする。
ようやく美術館に到着しアサヒビール初代社長で新大阪ホテル(現リーガロイヤルホテル)社長も務めた山本為三郎氏の民藝派コレクションを鑑賞するとともに2階のオープンカフェでコーヒーとケーキを楽しむ。ケーキはそのリーガロイヤルの製品だった。
ここの売り物の一つが、その素晴らしい眺望にある。眼下に宇治川、桂川、木津川が合流し淀川となる3川合流地点がテラスから一望できるのだ。今一つは大正年間に建築された本館に増築された安藤忠雄氏設計の地下式の新館である。
大阪・京都の中間にこれほど心癒される場所があろうとは・・・。
一時、不動産業者に買収されマンションとして開発される直前のこの地を買い受け美術館として整備したアサヒビールの英断に敬意を表さざるを得ない。