7月最終日の今日、阪急9000系が神戸線にデビューした。阪急の通勤車両のニュースタンダードである。
ホテルマニアであると同時に鉄道ファンでもある私は早速試しに出かけた。梅田駅で9000系が使用される列車の時間を尋ねると20分後の特急新開地行きがそうだという。ラッキーである。なんといってもまだ1編成しかない9000系である。20分待ちで乗れるとは。言われたとおり8号線に上がるとホームの端には大勢の鉄道ファンがカメラ片手に集まっている。待つことしばし、9000系が姿を現した。顔は京都線用の9300系と変わらないが、側面のイメージがかなり違う。クロスシートの9300系の窓が天地方向に大きくとられているのに対し、ロングシートの9000系はこの寸法を切り詰めているため非常に横長の窓に見える。それからLED式となった行き先・種別表示機はやはり直射日光の下では視認性に劣る。
それでは車内を見てみよう。一番目に付くのはロングシートの中ほどに2箇所設けられた仕切り板である。定員どおりの着席を促すためのようだが、従来関西の私鉄は関東の各社と比べこの種の対策にはあまり熱心ではなかった。あくまでも乗客の良心に任せるということだったはずだが・・・・。そのほかにはドアの上に計3箇所取り付けられている液晶式のモニターが特徴である。2台が1組で1台は停車駅案内等の列車情報、もう一方はキャンペーンの告知等に使用されるようだ。座席に座ると掛け心地が在来車とは全く違う。かなり柔らかめになっている。柔らかすぎるとかえって疲れるのだが、いわゆる低反発クッションのように心地よい。全体的なインテリアは阪急伝統の木目調の壁面にグリーンのシートを踏襲しているが色調は最近の車両同様かなり濃い目で特にドアの部分が一際濃くなっている。照明は通勤車両にはもったいないような間接照明を採用している。全国の通勤用車両の中でも最も贅沢な車両ではないだろうか。
さて、梅田を発車する。私が乗車したのは三宮方から2両目の9500つまり電動車だがVVVF制御に特有のウイーン、ウイーンという諧調音もほとんど聞こえない静けさだ。十三を過ぎ110キロ走行に入ってもいたって静か、揺れもなく滑るように走っている。
他の乗客も新車であることに気付くと「きれいな電車」、「新車に当たってラッキー」と口々に評論しあっている。電車にはうるさい土地柄である。
三宮まで20数分の快適な時間であった。