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熱利用、下水、浸水、河川、水道、…ただのメモ。

浄化問題 周辺住民の知恵貸して

2007年03月07日 20時42分30秒 | 環境全般
湖山池の浄化問題 周辺住民の知恵貸して


 かつての清らかな湖を取り戻そうと、官民一体となった水質浄化の取り組みが続く湖山池(鳥取市)。改善の兆しは見られるが、水質は久しく環境基準を下回り、漁獲は減り続ける一方だ。日々の生活雑排水も汚染に追い打ちをかける。特効薬のない待ったなしの課題解決には、周辺住民の理解と広範な知恵の結集が欠かせない。現状と展望を探った。


浄化に向けた抜本的な解決策がいまだ見い出せていない湖山池

 「この池ではもう魚が住めんようになった」。湖山池漁協の組合員、邨上和男さん(63)は嘆く。

 三十年前はワカサギやハゼなど八十種類の魚が住み、組合の年間漁獲量は約百トンだったが、現在は十トン以下に激減。組合員は減り続けている。

 「浄化の取り組みが汚染の広がりに追い付いていない。漁業じゃ食っていけんようなった」


汽水湖目指して

 汽水湖を目指す県は昨年度、塩分を試験導入するため、水門の操作を始めた。海水を取り込んで夏場は三〇〇ppm、冬場は五〇〇ppmになるよう調整。試験は二〇〇八年度まで実施する。

 湖底にたまる泥やヘドロも悪化の要因だ。湖水の酸素が減るため、一九八〇年からしゅんせつ事業に乗り出し、表層二十-三十センチを毎年除去。また、群生して悪臭を放ち水の流れを妨げる水草のヒシを、本年度は三十四トンを回収した。

 農家は肥料に配慮した環境にやさしい農業を進め、地元の人たちはボランティアでごみ拾い-。さまざまな取り組みが功を奏し、汚れの指標COD(化学的酸素要求量)や窒素、リンの値はここ数年、少しずつ改善し、十年前と比べて半減した。だが、国の基準には程遠いのが現状だ。

 県は、塩分の試験導入が終わる〇八年度以降、新対策を講じる。例えば農地の代替水源の確保、水門操作のマニュアル作りなどが考えられ、河川課は「塩分濃度はいくらが適切か。魚や稲にどう影響を与えるか。解決の糸口を見つけたい」としている。


下水の整備率53%

 下水道の未整備地区では、家庭や事業者が浄化槽を設けても台所やトイレ、風呂の排水がある程度は池に流れ込む。池周辺では九千二百六十七人(昨年度末現在)が暮らすが、下水の整備率はまだ約53%。旧市全域の整備率(93・83%)に比べてかなり低い。

 鳥取市下水道計画課は四月から池の東側を引き続き重点的に配管し、北側を最後に二〇一四年度までに六十億円かけて整備する計画だ。しかし、下水道を整備しても各家庭が下水管に接続しなければ意味がない。工事費は個人負担だが、同課は「住民の理解が浄化の鍵を握る。下水管を利用してほしい」と呼び掛ける。

 また、未整備地区で浄化槽の管理がおろそかだと水質改善は立ち止まる。鳥取保健所によると、県東部の浄化槽定期検査の受検率は本年度48・1%。全国平均を上回るが「まだまだ低い」のが実態だ。

 池の浄化を研究している鳥取大学工学部の細井由彦教授(環境工学)は「地域の環境は地域で守るという意識を持ち、あきらめないで活動を継続することが大切。路上や農地にたまる汚れが雨水と一緒に池に流れ込むため、今後はこうした対策も必要だ」と訴える。