唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

威権

2006-09-04 20:38:10 | Weblog
「いい加減にしたらどうだ、梅録!」

ぎょっとして回紇の使者梅録は振り向いた。

河東節度使李説の歓迎の宴

唐を支援する回紇の勢威を振り回し、

狼狽した説の説得など無視して

席次を争っていた時だった。

「もしかしてあの声は、景略殿」

酔っぱらった目を見開いて燈火の向こうをみつめると

宴の始まりにはいなかったその姿が・・・

豊州刺史李景略だ。

梅録にとっては唐の官位などは屁でもない

旧知で威権のある景略こそ憚る所である。

「いやいや座興で申しただけでござるよ」

「この席で十分でござる」

そして梅録は座を降り、自ら挨拶に出向いた。

説は憮然とそれを見つめていた。

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