ローマは何度か行っていますがフォロ・ロマーノは今回やっと訪れる機会を得てとても楽しみにしています。
外観上はほとんどが古代の建築物のごく一部しか残っていないような場所ですので事前に十分調べて想像力を働かせて見学する必要がありそれだけに評価も分かれ、遺跡にあまり興味のない人には魅力を感じない場所に映るかも知れません。
チケットはフォロ・ロマーノ、コロッセオ、パラティーノの丘の共通券ですが、どうしても有名なコロッセオを優先し、地味なフォロ・ロマーノは後回し、さらにパラティーノの丘にまで足を延ばす人はもっと少ないというのが実情のようです。
フォロとはフォーラム(Forum)の語源、フォロ・ロマーノは2000年前古代ローマの集会所、公共広場、ローマ市民の広場の意、古代ローマ政治の中心地、カエサルが演説し歴代皇帝たちが凱旋したローマで最高の遺跡群ですから、ここを訪れずしてローマを見たとはとても言えません。
パラティーノは宮殿(Palace)を意味する語の語源、共和制時代から帝政時代にかけての貴族や有力者が住む住宅地でした。
いろんな資料を参照し遺跡の名前と写真に簡単な説明をつけて資料化しました。
・エミリアのバジリカ(バジリカは公会堂、集会所の意)
・クーリア・ユリア(元老院議事堂)
・セヴェルスの凱旋門
・聖なる道(ヴィア・サクラ)
・サトゥルヌスの神殿
・ユリウス(ユリア、ジュリア)のバジリカ(バシリカ・ユリア)
・カストルとポルックスの神殿
・ヴェスタの神殿
・カエサルの神殿(カエサルが火葬された場所とされます)
・ヴェスタの巫女の家
・アントニヌスとファウスティナの神殿
・ロムルスの神殿
・マクセンティウスのバジリカ
・考古学博物館
・ティトゥスの凱旋門
フォロ・ロマーノの2倍以上の広さがあるパラティーノの丘からはフォロ・ロマーノが一望できるほか
・ファルネジアーニ庭園
・パラティーノ考古学博物館
・ドムス・アウグスターナ
・スタディオ
など見るべき遺跡も点在しています。
これらの遺跡の位置関係を明らかにして効率的に順序良く見て回れるよう全体地図を探しましたがいいものがありません。
仕方なくGoogle地図にプロットする方法を取りました。
■クーリア・ユリア(元老院議事堂) Curia Iulia
2年前の2017年4月テレビ東京の番組「美の巨人たち」の「アッピア街道」前編でフォロ・ロマーノが詳しく紹介され元老院議事堂の中の素晴らしい様子が映し出され、それが強烈に記憶に残っていて今回ぜひ見たいと思っていました。
元老院を入って両側に戸口調査(ケンスス)の情景やトラヤヌス帝が母子に接見する場面の彫刻、また床を飾る見事なオプス・セクティレ技法は四世紀のものとしては最も保存状態のよい例の一つと言われ必見の価値があります。
しかしガイドさんの話しでは現在元老院は閉まっていて中が見れないとのこと、非常に残念です。
番組の再放送、あるいはDVDの販売を願っています。
下調べを進めるうち、驚いたことに発掘調査や修復が終わり今まで見ることのできなかった貴重な建物の内部を公開している遺跡がフォロ・ロマーノに一つ、パラティーノの丘に二つあることがわかりました。
■ 聖母マリアアンティクア教会 Chiesa Santa Maria Antiqua
フォロ・ロマーノのカストルとポルクスの神殿の南西に隣接、2016年に30年ぶりに内部が一般公開されました。
その美しさは「中世のシスティーナ礼拝堂」と称えられています。
本来の姿、復元予想図を3Dで映し出してくれます。
玉座に座る聖母子像(聖母マリアと幼子イエス)
■ リヴィアの家 Villa di Livia (Casa di Livia)
紀元前1世紀のもので19世紀に発掘されました。
パラティーノの丘のアウグストゥスの家に隣接しています。
■ アウグストゥスの家 Domus Augusti
パラティーノの丘のドムス・アウグスターナの東に建ちローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの邸宅跡。
発掘調査が終わり2008年3月から公開されています。
他の遺跡がほぼレンガを残すのみのものですが、ここだけは極彩色の壁画がほぼ完璧に残っています。
アウグストゥスはカエサルにより後継者に指名され、カエサルの暗殺後元老院の力を抑えて実質的な元首(皇帝)の地位に初めて就きました。
これら聖母マリアアンティクア教会、リヴィアの家、アウグストゥスの家についてはガイドブックにもほとんどまだ詳しく紹介されておらず、ネットで所在位置を探すにも苦労しました。
いずれも見学には通常チケットとは別に追加の特別チケットが要るようです。
遺跡保護のため見学曜日、一回の見学者数、見学時間などが制限されており詳しい情報がネット上からはよくわかりません。
ガイドさんによれば元老院同様現在どこも閉まっていて見ることができないようでがっかりです。
これら屋内の素晴らしいフレスコ画が見れるのと見れないのとではフォロ・ロマーノを訪れる値打ちが天と地ほど違います。
ああ残念!残念!
これを機に塩野七生さんの大作「ローマ人の物語」(単行本15巻、文庫本では43冊)をぜひ読んでみたいものと思いました。
それでは21日より行ってまいります。
関連ブログ:
・ヴァチカン美術館 下調べ(2019.10.07)
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