元日弁連副会長で、日頃から大変お世話になっている、中本和洋弁護士による勉強
会を開催させていただきました。
勉強会の内容は、我が国の民事司法の現状と課題を明確にして、急増する海外での
訴訟にどう立ち向かっていくべきなのかを議論するものとなりました。
中本弁護士によると、日本企業が関係する国際的な紛争は年々増加の一途をたどっ
ているものの、その訴訟を解決するための舞台は米国を始めとした海外にあり、日本
国内での紛争解決はほとんどないそうです。
この背景には、日本の法曹養成制度や教育制度が英語教育を十分に行えておらず、
結果として「国際弁護士」が少ないという現実があります。
例えば韓国では毎年2,000人の弁護士が登録されており、その多くが英語力を発揮
して米国の弁護士資格を取得し、結果として在米の韓国人弁護士が2万人を超えてい
るのだそうです。
韓国企業が国際的な紛争に巻き込まれたとき、実は多くの在米韓国人弁護士が訴訟
解決に参画し、いわば「国益を守る」最前線に立っているそうです。
一方、国際的な紛争に精通する日本の弁護士は少なく「日本の国益を守る日本人弁
護士が少ない」事態となっているのです。
他にも、日本では行政訴訟がイギリスやフランスに比べて極端に少なく、さらには
紛争解決までに時間を要しすぎるなど多くの課題があることを聞きました。
日弁連は、民事司法に関するグランドデザインを議論中で、その最終報告が11月
にまとめるそうです。
機会を見て、また報告させていただきます。