1967年
最後の打者、代打の西園寺を三振にとったとき小川は思わず白い歯を見せた。22勝目をマークした喜びもそうだが、再三のピンチをのがれ、ようやく勝ったというホッとした気持ちの方が強かったのだろう。三日の対産経戦でも三イニング投げ、自らのサヨナラ安打で勝っている。「ほんとうは五日の先発を予定していたんだが、三日に投げてしまったので一日ずらしたんだ。そのため調子はあまりよくなかったようだ。いまの小川は疲労がたまっているから2、3点の失点は覚悟してやらないといかんからね」近藤コーチは気の毒そうに小川をかばう。オールスター前はリリーフの切り札板東の故障からその代役をつとめ、板東が復調するとともに、また先発グループにカムバック。一人で中日の投手陣を切り回した疲労は中二日あいての登板のこの日も出ていた。とにかくいまの中日投手陣でたよれるのは三十二歳の超ベテラン小川以外にないのだ。「きょうなどは最初からからだがだるく、きつい試合だった。でも六回の無死一、二塁を切り抜けたときに、これは勝たせなくてはいかんと思った。ボールが走らないのでコントロールばかりに気をくばったんだよ。ああバテた」冷えたお茶をごくりとのんだ。最多勝利を目標に一歩一歩階段をのぼっているわけだが、報道陣からそのことを聞かれると「いまは出されたときにひとつひとつ勝つだけのことや。もうこのへんで勝ち星はいいよ」とそっけない。だれもいないベンチにどっかと腰をすえ、質問に答えていた小川は、吉江代表が呼びにきてからやっと重い腰をあげて、バスにむかった。長い通路を通りぬけながら、小川は最後に張り切ってこういった。「あとウチは三十五試合あるが、出番が五つとして、絶対に25勝はするよ」評論家の白石勝巳氏は「とにかくシュートの使い方がうまい。それで外角のスライダー、ストレート、カーブが生きている。今シーズン30勝は残りゲームから見て無理だが、25勝は絶対にいけるだろう」と太鼓判を押していた。
最後の打者、代打の西園寺を三振にとったとき小川は思わず白い歯を見せた。22勝目をマークした喜びもそうだが、再三のピンチをのがれ、ようやく勝ったというホッとした気持ちの方が強かったのだろう。三日の対産経戦でも三イニング投げ、自らのサヨナラ安打で勝っている。「ほんとうは五日の先発を予定していたんだが、三日に投げてしまったので一日ずらしたんだ。そのため調子はあまりよくなかったようだ。いまの小川は疲労がたまっているから2、3点の失点は覚悟してやらないといかんからね」近藤コーチは気の毒そうに小川をかばう。オールスター前はリリーフの切り札板東の故障からその代役をつとめ、板東が復調するとともに、また先発グループにカムバック。一人で中日の投手陣を切り回した疲労は中二日あいての登板のこの日も出ていた。とにかくいまの中日投手陣でたよれるのは三十二歳の超ベテラン小川以外にないのだ。「きょうなどは最初からからだがだるく、きつい試合だった。でも六回の無死一、二塁を切り抜けたときに、これは勝たせなくてはいかんと思った。ボールが走らないのでコントロールばかりに気をくばったんだよ。ああバテた」冷えたお茶をごくりとのんだ。最多勝利を目標に一歩一歩階段をのぼっているわけだが、報道陣からそのことを聞かれると「いまは出されたときにひとつひとつ勝つだけのことや。もうこのへんで勝ち星はいいよ」とそっけない。だれもいないベンチにどっかと腰をすえ、質問に答えていた小川は、吉江代表が呼びにきてからやっと重い腰をあげて、バスにむかった。長い通路を通りぬけながら、小川は最後に張り切ってこういった。「あとウチは三十五試合あるが、出番が五つとして、絶対に25勝はするよ」評論家の白石勝巳氏は「とにかくシュートの使い方がうまい。それで外角のスライダー、ストレート、カーブが生きている。今シーズン30勝は残りゲームから見て無理だが、25勝は絶対にいけるだろう」と太鼓判を押していた。
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