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プロ野球 OB投手資料ブログ

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坂井勝二

2016-09-11 12:34:43 | 日記
1965年

「ベンチにかえったときのまわりの方がおもしろかったよ。みんななんにもいわないんだもの」坂井はそういって笑おうとしたが、完全な笑顔にはならなかった。八回一死後にが手の左打者高木に左前安打されるまでパーフェクト。矢頭が「守っていても緊張しちゃったですね。こんな経験は長い間野球をやっているが初めてだ」といった。坂井は「高木に打たれたのは沈む球、完全試合なんてやれるとは思っていなかったが、あそこまでやったらやりたかった。まだノーヒットだな、なんていってるうちに五回まできちゃった。でもいつかは打たれると思っていたので、それほどショックではなかったけどね」といったが、打たれてもめたに表情をかえないポーカーフェースの坂井が、高木の打球がソロムコの前に落ちるとさすがに両足を開いたまま肩をおとした。試合後マウンドへの往復と同じように頭をたれてホープをゆっくりふかしながらポツリポツリ話していたが、急に顔をあげニッコリした。「エノさんがね、六回ごろから一人アウトにするごとにぼくのところにきてこんどヒット打たれちゃえよというんですよ」榎本はそれをいかにも榎本らしく説明した。「記録というのは自分で求めても得られない。向こうからやってくるものだ」本堂監督はいった。「そりゃ記録もつくらせてやりたかった。しかしまだ開幕したばかりだし、むしろ高木に打たれたことがこれからの坂井にとってはよかったのではないかな。いまの坂井ならこんなチャンスはまたくるだろうからね」記録よりも、四月二十四日の東映三回戦で四回まで張本、ラーカーと二本の2ランをあび5点をとられた坂井の立ち直りを喜んでいた。坂井は「きょうくらい一球一球慎重に投げたことはいままでなかったですね」と、しんみり語っていた。

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