亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

上野先生のお話のつづき 臨床試験をやろう!と患者は声をあげよう、ですって

2009-10-18 | 先生&病院譚
昨日の腫瘍内科医・上野先生のお話では、くりかえして、標準治療、科学的根拠に基づいた医療(Evidence Based Medicine; EBM)を意識しなさいとお話されていました。

特に、先生が専門にされているガン治療では、第一次治療が標準治療から外れていると、のちのち、「先にxxという処置をした場合のエビデンス」というのがなければ、そのあと標準治療に戻れなくて困ることになりかねないってことから、影響は大きいそうです。
だから、ガン治療では、治療を始める前に「先生は標準治療を進められますか?」と聞いてみるのもいい、とおっしゃっていました。

でも、標準治療を意識するって、どんな病気についても、とっても大事なことだと思います。

もちろん「マニュアルどおりの診療は困る」とか「症状の出方は個人によって違う」とかいうことがふと心に浮かぶわけですが、ガイドラインやEBMっていうのは、「こうしなければいけない」と強制するものというよりも、「膨大なデータを比較する限り、この条件では、この治療が圧倒的にお勧め」というお話なのかもしれません。
今ある臨床試験の結果と、条件があてはまらないなら、それにあう臨床試験をしっかりやろう、ということなんですね。

ポイントは、担当している先生の経験とか、病院での症例とか、そういう限られたところだけに頼っていたら、けっこう心配じゃないですか?ということ。先生がなぜその治療法を勧めるかの、論理的・科学的な根拠というのは、やっぱりこういう臨床試験のデータに基づいた話になるんじゃないかなぁ。

全身性エリテマトーデス(SLE)は治療法が限られているから、例えになるか微妙だけれど、ステロイドパルスをするとき、副作用のウツや脱毛や脂肪がつくことや、やだなぁということって、いろいろあります。そういうとき、症状を軽くする漢方やサプリ、健康食品があるなら、それを使ってみたくなるもの。
でも、実は、そういう漢方やサプリが、ステロイドの効果を強くしてしまうこと、弱くしてしまうことって、実はあるんです。

漢方やサプリを飲みたいなぁと思ったら、まず主治医に相談してみるってことが大事ですよね。本人がそうしようとしていなくても、家族や友人から勧められて、何となく飲まないといけない空気になる…って話はよくありますもの。

で、先生の反応で、よくあるパターンは、「えー、それはダメだよ~」って、とりあえず反対されるパターン。次にありそうなのが、「そうなの、いいよ。」と話をあんまり聞いてないパターン。どっちも、患者として困ります。。。
そういうときこそ、「そういうあわせ技をしたっていう臨床試験はありますか?症例報告はどうですか?つらいのが解決するなら試したいけれど、根拠があるものなんでしょうか?」って言っちゃいなさいということなのかもしれません。

こういうEBMを推薦される先生も、もちろん、研究が十分にはされてないものがたくさんあることを百も承知。先生ご自身のご病気も、臨床試験の報告は2件しかなくて、しかも、信頼性(エビデンス・レベル)はあんまり高くない…というもので、不安だったけど、それで治療したんだとお話でした。

じゃあ、十分な研究がないときにどうするか!?

「じゃあ、試験しましょう」って、勇気を持って、先生に提案してみてくださいっておっしゃるんですね。

よーく考えてみると、こういうデータの蓄積が、5年後、10年後に、漢方との組み合わせが、標準治療になる世界をつくる素になるのかもしれないんです!逆に、これがないと、何年経っても、「標準からはずれた治療」なってしまうわけです。今なくても、未来のために、きちんと分析できるデータを作りましょうね、と先生をその気にさせるのがいいよ、ということ。

実際、首の近くのガンの治療をした人には、針治療が非常に緩和の効果がある、という臨床試験の結果があるから、テキサスのMDアンダーソンでは、針治療が導入されているそうです。びっくり♪

先生は、「未来の治療をつくるのは、自分たち!」って意識を持つのがいいというメッセージを繰り返されていました。待っていたら、勝手に新薬や新しい治療法ができるわけじゃない、って。
患者を先生の趣味でモルモットにされる必要はないけれど、自分たちの治療を自分たちで創り出すんだ!って、すごいことです。患者さんの1割がそういう意識を持つだけで、実は世界が変わるかも!?

現実問題として、日本で、こういうコミュニケーションって習慣がないから、簡単じゃないような気もするけれど、膠原病や甲状腺疾患の場合は、先生とのおつきあいもしょっちゅう、長く…ということも多いから、挑戦できるかもしれないなぁ、という予感も。

具体的に考えても、軽症のSLEや皮膚ループスに効くとされる、ハイドロキシクロロキンは認可されていませんが、先生と相談されて個人輸入して飲んでらっしゃる患者さんはたくさんいます。
そういうところをうまく臨床試験に持ち込めないかという提案をして、データを集約する努力って何かいい方法はないかなぁと思うのです。

甲状腺でいうと、甲状腺機能低下症の治療でも、標準治療のT4(チラーヂン)だけでは症状がよくないという患者さんのなかに、T3+T4の併用療法の効果があるという声が多いけれど、これに関する信頼できる臨床試験はあんまりないようです。
今、ヨーロッパの甲状腺疾患の患者会が中心に、国際甲状腺学会に要望を出す署名をしていますが、日本でも、臨床試験をしようという提案をしてみることができないかなぁと思ったりしているのです。

…って、どちらも、わたしは飲んでないんですけどね♪

でも、これはどちらも、きちんと臨床試験をしたら、いい結果がでるようなのに、今の国内のガイドラインにはないことだから…と取り合ってもらえないことが多いものだから、「だったら、臨床試験をやりましょう!」というのはとっても自然な話だと、個人的には思うのです。

あとは、お金の問題?
予算を組み替えている民主党さんに、「臨床試験の応援は、未来のヘルスケアの大事な資産ですよ!」ってご理解いただいて。

試験のような積極的なアプローチに参加することで、きっと医療はよくなっていくと思って治療に望めることは、患者さんにとっても、医療者にとっても、しあわせなことなのかも、と本気で思うのです。

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