亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

上野先生の講演「患者さんが納得のいく医療を受けるために」を聞いてきました♪

2009-10-17 | 先生&病院譚
今日は、上野直人先生の講演を聞かせていただいてきました~!

腫瘍内科医で、がんサバイバーでもある先生ですが、いい医療を受けるために患者さんができること、という視点で、いろんなお話をされている先生でもあります。わたしにとっては、『最高の医療をうけるための患者学』(講談社+α新書)の著者というイメージが強いです。

診察のとき、記録や質問の準備をしておくといいとか、今の医療ではこれが絶対いいというアプローチ以外の治療を考えるとき、ちゃんと科学的根拠があるか確認すると、先生もしっかり考えてくれるようになるはずとか、標準治療をきちんと勉強しつづけている先生の治療を受けるのがいいとか、たくさんのお話があったのですが、「患者さん中心のがんチーム医療のために:チームオンコロジー.Com」で、繰り返し、なるほど!と読ませていただていたお話です。

わたしが、今回、おぉ!!と思ったのは、「夢の共有」というお話でした。

先生がビジョンのお話をされているのは、医療者が、目の前の患者さん、目の前の業務に向き合うだけでなく、5年後、10年後、20年後、30年後、よりより医療、よりよい環境をみんなで作っていこうというムーブメントだと思ってました。そして、そのためには、その夢を語り、おぉ!という共感のエコーを拡げるということが大切というお話だと。

でも、もしかしたら、この「夢を語り、共感のエコーを作る」のは、実は、患者さんにも求められていることなのかも!?
患者さんの方で「わたし、こういうのがつらいんです。」「こういうのがうれしいんです。」ということを、他の人に「なるほど」と思わせる語りができて、向かいたい方向をはっきり共有できたら、ドクターと治療方針について闘わなくても、自然な形で、いい選択ができるんだろうなぁと思ったのでした。

共感、とか、納得、というのは、患者が医療者に与えることも大切、という大発見!逆はよく言われますけれどね。

身近なことなら、「風邪を引いたけれど、明日は大事な試験があるから、眠くなる成分のないお薬がいいんです。」ということもあるだろうし、歌手なら「歌を歌うために、喉が乾燥しやすい副作用のある薬は、避けてもらえるといいんです。」ということもあるでしょう。
お子さんが小さければ、強めの治療でも、治療期間を短くしたいという希望があるかもしれません。
そういう自分の描いている方向性を、「なるほど、そりゃあ、そうだな。」と納得してもらうと、闘わなくてもふさわしい方針が提示されるし、ドクターから別のいい提案を受けることも出てくるかもしれません。

「この薬を使ってくれ」ということを、素人である患者が主張すると、いろんな考慮すべきポイントが抜け落ちてしまうことがあるかもしれないけれど、でも、「この薬の副作用はつらくて、つらくて…」と主観的な話をしつこく伝えるのは、向かって生きたい方向を理解してもらうのには役に立ちそうです♪
「でも、治療には必要ですから、ガマンしましょう」と言われても、「この効果は○○と先生はおっしゃったけれど、それを捨ててもいいくらい、副作用がつらいです。」と言うとか。

そういえば、わたしも甲状腺の機能が暴走していたとき、機能を抑えるメルカゾールを飲みたかったのですが、これは、長期使用でごく稀にAncaという血管炎を誘発する抗体が高くなるような副作用が出ることがあって、すでにAncaが高かったわたしは、やめていたことがありました。でも、しばらく経って、体調があまりによくなくて、「かなりつらいから、副作用が出るまででも、この薬を使いたい」と言ったことがあります。実は、血管炎が起きる仕組みについては、まだ研究が進められているところで、まだよくわかっていないところがあるそうです。
しかも、起きた場合、非常に危険な可能性が高くなるので、先生たちは力いっぱい反対しました。
でも、10m歩いたら座り込む状態で、人にも会えない、ご飯も作れないという状況がつづいたら生活できない。他の治療法がない、と言われても、泣いちゃいます、と具体的に困っているところを話したら、「それは、わかるなぁ。」という話に。
結局、「患者がリスクもよく理解しているから」ということで、Ancaを定期的に観察する条件で、試験的に飲むことになりました。

そのときに、加わってくださった先生が、「これまでの報告では、プロパジールと比べると、メルカゾールのAnca関連血管炎の発生は10年以上の長期投与の場合が多いので、しばらくは大丈夫だという可能性がありますよ。今、TR-αブロッカーという、あなたのような症状を抑えるのに役立つ薬は、開発を進めているところだから、10年もメルカゾールを飲み続けなくてもいいことになるかもしれませんね。」と話してくれたのは、「このあと、メルカゾールが飲めなくなったらどうなるんだろう…」という不安を取り除いてくれました。

自分の向かいたい方向、そのために引っかかっているところ、うれしいところを、率直に伝えられると、先生の言うことを聞かない…ということでなくて、いい方向に向かえることもあるんじゃないかなぁと思うのです。

日本ではこういうコミュニケーションは「性格」と呼ばれるけれど、アメリカの視点でいうと、これは「スキル」なんだ、と先生はおっしゃっていました。性格を変える努力はとってもたいへんだけれど、スキルだとしたら、訓練で変えられそうな気がして、ちょっと希望がわいてきたり♪
患者コミュニケーション・ワークショップってあるけれど、いろんなプログラムが出てくるといいなと思います!

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