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南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【大河ドラマ】『風林火山』-人を「不幸」にしないために-

2007年11月18日 19時57分16秒 | 大河ドラマ『風林火山』(2007年)

先週の第45回『謀略!桶狭間』までに、

  • 大井夫人(風吹ジュン)
  • 由布(柴本幸)
  • 雪斎(伊武雅刀)
  • 萩乃(浅田美代子)
  • 寅王丸/長笈(柄本佑)
  • 今川義元(谷原章介)

など、登場人物が少なくなってきて寂しいかぎりです。
由布を喪い、失意の山本勘助(内野聖陽)が高野山へ出奔。

(勘助)「かような者に、人を慈しむことなどできましょうや」
(清胤)「それは、そなたが“不幸にした者”に訊くほかあるまい」
(勘助)「死んだ者には訊けませぬ」
(清胤)「そなたにしか訊けぬことじゃ。死んだ者は生きている者に必ずなにかを遺してゆくもの。それを見つけて生きるほかあるまい」

さすがは高僧、わかりにくいことをわかりやすく仰ってくださる(第42回『軍師と軍神』)。

今川家に仕官を求めて叶わず。
ささやかな居場所を守るのも・・・と思い始めた矢先、武田信虎(仲代達矢)にミツ(貫地谷しほり)を惨殺され。
おのれ武田!で復讐の鬼と化したら晴信(市川亀治郎)と出会った。
これぞ主君、と見込んで軍師となり、「諏訪攻め」をしたら諏訪家の姫に一目惚れ。
由布を生かしたい一心でその弟、寅王丸を出家させれば、(出奔後の話となりますが)刺客となって戻ってくる。
由布の子、四郎のために武田義信(木村了)の廃嫡を画策。この因果がどうやら後年、父の信虎を追放した晴信(信玄)にめぐってきそう。しかも、由布はもういない。

ぐっちゃぐちゃですね。
でも、悪くない。悪くないです。
由布の方は、似たような宿命を背負った大井夫人から、

「そなたは気高い。(中略)武田家の側室となっても、未だにその心は諏訪家のままであろう」
「よいのじゃ。その武田家に屈しない強き心こそが、そなたなのです」
「諏訪の平安を保ってこそ、そなたは武田家に勝ったと云えるのです。それはそなたの定めじゃ。定めを背負うた女は、時に哀しい。されど、強いのです。」
「由布どの・・・そなたのような姫が、よう晴信を好いてくだされた。母として礼を申します」

と定めを肯定され、祝福を受けて愛憎への執着を解放(第36回『宿命の女』)。最後は従容として旅立った観がありました。
そして、ヒサ(水川あさみ)は云います。

「平蔵。わたしは今のままがよい。十吾郎やミツが無事に育ってくれるのならば、今のままで充分幸せじゃ」(第43回『信玄誕生』)
「武田を恨む者は皆死んでゆく。わたしらは生き残った。なれば、恨みを晴らすより今は新しい命を育ててゆくことが大事じゃ!」(第44回『信玄暗殺』)

この大河ドラマで、もっとも力強さを感じたせりふです。彼女の流転の人生を振り返ると涙ものです。平蔵(佐藤隆太)、自分がどれだけ幸せなのかわかっちょるか?
で、女がここまで覚悟できるのだから、男はどうすればカッコがつくのかというと、「逃げない」ことでしょうね。
どんなに不幸に見えても、無残な死にざまでも、生死の価値は本人が決めること。死を悼むことと「不幸」のレッテルを貼ることは違います。
勘助自身が侮蔑や偏見を撥ね返して生きてきたはず。遺児である四郎に訊いてみればよかったと思いますよ。母が不幸だったのかどうかを。
もう出家して「道鬼」と号したから、吹っ切れた、と信じていますが。
あのツレ出家、眩しかったなあ。


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