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南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【大河ドラマ】『天地人』-真(まこと)は人を生かしたか-(第15回『御館落城』)

2009年04月13日 02時11分44秒 | テレビ番組

普段はやらないんですけど、もう脚本や演出、俳優の意図は読まず、このドラマを味わうことにしました。つまり、俺は勝手に観て遊ぶからな、という感想をたまに書きます。
で、第15回『御館(おたて)落城』のMVPは上杉景虎(玉山鉄二)。悲劇のプリンスを自害に追い込んだ「御館の乱」の“立役者”は、

  • わが子である兼続を、上杉家の重臣として成り上がらせようと画策した樋口惣右衛門(高嶋正伸)
  • 上杉家を二分して越後の国力を削いだ、おそらくは北条家の間者・遠山康光(螢雪次郎)

ですね。
府中八幡で北条高広(新井康弘)を殺ったのも、道満丸(村山兼太)を刺客に襲わせたのも、トオヤマンの差し金だと思いますけど、血縁、というプリンスのもっとも脆いトラウマを衝いた姿の見えない北条家の恐ろしさ、しかも実家だぜ! おっさん、もしかして風魔乱波ですか。

最期に臨む景虎と樋口兼続(妻夫木聡)が鮫ヶ尾城で対峙したこと自体は、この乱の始末として必要でした。
しかし道満丸の件は景勝の与り知らぬこと・・・という申し開きの真偽は、少なくともプリンスにとってはどうでもよくなっていて(まったくだ)、仙桃院(高島礼子)の降伏の勧めに揺らぐ表情や、

(景虎)「もはや儂に、人を信じ抜く力は残っていない」

「己が身の拠りどころ」を求め続けてついに力尽きた様子には、ちょっとティッシュを抜こうかと思いました。そうしたら手近にトイレットペーパーしかないやんけ。

(景虎)「景勝殿に伝えよ。お屋形さまの志を継ぎ、良き上杉の城主(※01)となられるよう・・・」

ふっと自嘲とも見える笑みを浮かべ、願っておると、と洩らし、

(景虎)「兼続・・・大儀であった!」

叫ぶように云い放った言葉に、あらゆる無念、万感が籠められていました。おまえのせいだろ!みたいな。
※01:春日山「城主」でいいんですかね、上杉家「当主」ではなくて。最後の皮肉かしらん。

だって、上杉謙信(阿部寛)の「義」をもっともよく知ろうと努めたのは景虎に違いないんですから。養子であるがゆえに、誰よりも「上杉の義」にこだわり、「上杉の子」になろうとした彼を、

  • 「上杉」という大木の幹を守るために紅葉となって散る

兼続の「義」が死に至らしめたわけです。
この矛盾。
大儀、と労う景虎と、応えて「はっ!」と頭を下げ、涙する兼続(と上田衆)の間には深い溝があります。彼らは未熟で若すぎる。きっとわかっていない。己の真(まこと)がこの人を殺したのだ、ということを。悲しめる立場ではないことを。
ただ景虎は、上杉景勝(北村一輝)だけは赦したのではないでしょうか。

(景虎)「悲しいいくさであったのう」

同じ養子として家臣の思惑に振り回され、敵同士となってしまった。なぜ儂は家臣のいないところで、一対一で景勝殿と話をしなかったのか。
我、生き過ぎたり。
そこにはいない景勝を、「兄」として、兼続を透して(おまえも同じなのか、そうだったのか)と思い遣るような諦めた顔・・・に見えたんだよ、なぎらには。

今まで兼続の「義」と「愛」という視点で観ていましたが、それは止めます。兼続はたぶん、これからも間違える、体を張って間違え続けると思います。
それを引っ張っているのが兼続のおとっつぁんで、彼は薪炭奉行、人は食わなきゃ生きていかれん、義なんてものは腹がいっぱいになってからだ!というシビアな役職に就いています。そういう人が、上杉家の棟梁になりかけている景勝の直近の家臣として未来が拓けたわが子の背を、ぐいぐいと押さない理由はありません。
本丸の占拠を、弁は爽やかだけれどいくさはアレな兼続の手柄としてアピール、良くも悪くも家中での存在感、発言力、影響力を大きくしてやる・・・そのためなら形(なり)振りかまわず、つじつまを合わせていられるか、という野心を感じますね。人の良さそうな演技の陰に。

お船(常盤貴子)も武家の女(むすめ)として、直江家を絶やさないために信綱(山下真司)を迎えたはずですが、まだ跡取りを生(な)していないのに死を賭して敵の陣中へ赴く、と云う。
それは兼続の「義」に殉ずるため、と見た。
体は他の男の妻となっても、心はあなたの妻でございます、という女の愛欲、執念。濃い、濃いぜ・・・。

いろいろ云々されている『天地人』、このように観ればどろどろでどす黒くなり得る、と気づいたので、これからもがんばって観るぞ。おー。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
なぎらさま、おはようございます。 (きつね)
2009-04-13 10:11:51
なぎらさま、おはようございます。

昨夜のエピソードが責任転嫁オンパレードに見えたのは、わたくしだけでしょうか。。
(失礼なことを書いてもいけないので、詳細は省きます;)

こりゃ久々に視聴脱落か、とあきらめかけたのですが、予告の家康公にガツンとやられました。
あのタンコブ?扇?の真相を知るために、かならず次回も見てしまうことでしょう★
( ... 踊らされてます?)

なので、ひとまず「おー。(←デクレッシェンドで)」に参加します。

早く花の慶次(違う)サマが登場してほしいです~。


(ちょこっと追伸)
「戦国絢爛」というカード付きお菓子、ご存知ですか?
ビックリマン系のモノですけど、オマケのカードがかなりイケてます!
お目につかれたら、手にとってご覧になってみてください~!
(宣伝くさくてスミマセン;)
返信する
きつね様 (なぎら)
2009-04-13 23:36:56
きつね様

こんばんはー。

>責任転嫁
いやいやいや、白状すると1回/2~3分くらいの頻度で耳から茶が出そうでした(我慢し過ぎて)。
なぎらめは『天地人』を愛憎ドラマとして観ることにしたので、もうなにが来ても、驚くけど、負けないぞ、と気合入れました\(^∇^)/。
時々は遊びにいらして、どうぞツッコミを入れてくださいませ。

>予告の家康公
だはははは、濃いのが出てきましたね~。
秀吉死す、の報せにふんどし下げて、長かったぁぁぁ、と感涙にむせた西田敏行(『功名が辻』2006年)以来の怪演を期待しちゃいますね。

>「戦国絢爛」
なんですか、こりゃ!
早速、帰りがけにスーパーのスナック売り場に凸撃しましたけど、なかった・・・食玩のことはあまりよくわからなくて、やっぱりコンビニですか?
見かけたらGETしてみますよ。
ありがとうございます!
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