チューニング。

最近どうも感度がいい。
前よりもいろんな情報を受け取ることが出来ている気がするのだ。
ちょうどラジオの周波数を合わせていくみたいに。

風のにおいだとか、空の色。
雑踏のＢＧＭや人々の会話。

誰も気付いてないだろうカケラを拾っていく。世界がちょっとだけ違った顔を見せる。
昔ナイショで父のいない書斎に入り込んで本を読んでいた、あのドキドキ感が蘇ってくる。

でも。そのカケラがときどき。
心の底にしまってた思い出のフタを開ける。
チューニングがうまくいきすぎるのも困ったものだ。

ひっそりと涙を流しても、周りは決して気付かない。
それが妙に安心で、私はまたそっとフタを閉める。

結局。いつも気持ちよりカラダの方が正直なのだ。