ダディ！

ロビンソンデパートで買い物をして帰宅しようとしたとき 

「ダディー！」 

・ナヌ？俺はここに子供はいないぞ。聞き間違ったのだろう 

そのまま歩き出したら 

「ダディーナマンオ！」 

・やっぱり俺をよんでるのか？と後ろを向いた 

ジャジゃyじゃyジャヤジャy-ん （訳のわからない効果音。そのくらい動揺した。） 

目の前にあのちびが 

大きくなったなー　　　（目の中は大雨注意報） 

言葉が出ない。 

一緒にいた友達も一緒に、わが住処へ 

長い長い物語を一気に話してくれた。 

2011年2月2日午後6時の出来事。 

すでに25歳。 

なんと一人で私設質屋をやっていた。 

何でこんな商売をしてるの？ 

「ダディーが昔話してたでしょう。お金は3日間しか貸さない。もし3日過ぎて持ってこなかったら預かったものは絶対に返さない。その条件でやればよい客が増える。」 

ディバー 

思い出したワイ 

それを今まで貫き通したようで何とか軌道に乗って自立できていた。 

もちろん自分の携帯電話は一世紀も前のもの。 

「ダディ。ごめんなさい。私ダディとの約束を一つだけ破った。シングルマザーになっちゃった。」 

いきなり沢山言わないで頂戴。 

そのことには、自分で聴いた瞬間から触れないことにした。 

チビと出合ったのが１０年前。 

場所は、LAカフェ 

昨日の様によく覚えている。韓国人の友達とよく遊びほけてた時代。 

店の仕事を終えサウジアラビアの料理を食べてLAカフェへ出かけたとき。 

当時、店の中を仕切っていたママが 

[PP！今日まったく見かけない二人連れが店に来ている。どう見ても未成年だよ。」 

俺に紹介するのかい？俺は未成年はだめだよ。 

といっていたら、すでに我々の席にこのチビトもう一人が来ていた。 

どう見ても、未成年。 

年を聞いた。 

１５歳ポ 

・この店はどういう店か知ってるの？ 

「オオ　ポ　ペロ　カイラーガン　ペラ　エ」（よく知っています。でもどうしてもお金が必要なんです。） 

事情を聞いた。 

バコーロッドから家がいやで家出してきた。 

もちろん家族のお金をかすめてきたのだと思う。 

マニラへ上陸後、洋服を買ってこの店へきたらしい。 

もう一人の連れの姐がこの店で同じようなことをしていたので。だったような記憶がある。 

見るからに栄養失調のような体つき。 

店をで、マラテのフィリピン料理店で好きなものを食べさせた。 

食べる姿を見ていた。 

本当にうれしそうな顔をしてほおばる。このジジィを見る目。決して曇っていなかった。 

確かその日は、昼にロビンソンでパトへ来るように約束、もう一人の連れと一緒に姐の家に戻ったように記憶している。 

日中の仕事に時間的な余裕があったこともあって、翌日、ロビンソンデパートであった。 約束通りの時間に現れた。

まだ中学生。一緒に来てくれた友人に依頼して、ちびをサンアンドレスの学校へ転校させてもらった。 

父親の姿を見ることもなくおバーちゃんに育てられた親の愛情のかけらもないちび。 

携帯電話をあたえ、いつでも連絡できる体制を作って・・・・・・ 

自分でもなぜこんなことをしたのか今でもわからない。

学校から帰ってくるとメッセージが来る。 金の要求はこちらから聞かない限りほとんど言って来ないちび。 

１ヶ月に要する金額もたいした金額ではなく、食事も生真面目に自分で作っていた。 

土日はいつも一緒にあちらこちらへ遊びに連れて行った。もちろん時間があるたびに食事に連れて行った。とにかく頭のよい子だった。そして時間はいつもオンタイム。 

将来の夢を聞いたら、看護婦になって老人を助けてあげたい。自分を育ててくれたおバーちゃんへの思いだったのかも。 

そして高校へ。さすがに頭がよいだけに公立へ。この当時金もあったのでできることをしてあげた。

楽しかったな。娘なのか孫なのかわからない年の子供を育てる。 

高校を卒業、ナウシングスクールへ。

具合が悪いときにはせっせと介護もしてくれた。

物事を頼めばとにかく腰が軽く何事も早い。

自分の事務用品はじめ全てちびに買い物は任せた。

帳尻は１００%完璧。お金も一円足りと狂いがない。金を預けておいてもまったく心配のないちびだった。 

が、突然姿が消えた。 

まるで猫みたいな子だ。 

いつも一緒にいるわけでないのでよくわからなかったのだが(管理不十分といいたいのだが、自分ではこのちびの応援者としか考えていなかった。）極力、私生活までは口を出さないようにしていた。ジョリビーなどでもアルバイトをし、得れる収入もわかっていた。 

恐らくディスコなどへ出入りしていたのだと思う。金曜日の夜になれば私の家に来て掃除や洗濯もしてくれた。

多くの人に頼んで探した。が２０１１年２月２日までまったく不明。 

風の便りでは韓国人と結婚して韓国へ行った。

病気になってその後わからない。

田舎にかえって結婚した。

日本人に囲われていたけど、妊娠した途端日本人が寄り付かなくなった。

おなじみの浪花節そんな話ばかりしか聞こえなかった。

今回想すると、スモーキーマウンテンへ米かついで行ってみたり、パサイの大火のさい救援物資を差し上げ、クリスマスイブには車にスパゲティー、カンフーズ、生活用品などをいれ、路上で生活しているひとへ「マヒラップ　カバ」と声かけてその袋を渡したりと、やってみたが、何年やっても意味がなかったことは事実。すなわち何も変わらない。で、友人と一緒にやめることにした。

ストリートチュルドレンもまったくおなじ。ロビンソンでパンを買ってどのくらい与えただろう。

善人ぶっているわけでもなんでもない。自分が独り身だったこともあった。そして子供好きなところもあって、いろいろなこともやってみた。 

しかし、外国人に手を出せば簡単に物事がかなう。 

そのくらいにしか考えない連中へいくら親心出してもまったく無意味。 

そんな結論になったのも事実。 

但し、このちびだけはまったく違った。 

でも大きくなったな。

そしてママだ。 

生まれて3ヶ月の子供。 

ちびが言った事。

「私は片親。父親の顔は一度も、だれが父なのかすらわかりません。その母親とも小さいときからコミュケーションなし。家出するまでおバーさんに育てられ、ダディーと一緒に遊んでもらったころ本当の楽しかった。お父さんってこういうものなのかと思いました。でも突然私がいなくなってごめんね。でも今まで一度も忘れたことないです。 

何時までもダディーでいいんでしょう」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボロボロでくしゃくしゃ。 とてもではないが何をしていたなど聞けるわけもない。

「子供の将来は決して私のようにしたくない。だから今からできる限りのことをする。」 

こんな言葉を聞いたとき。

 

「これを子供の名義で定期預金しなさい。そしてママなんだよ。だから子供のために毎月すこしでもいいから必ず貯金してあげてね。」 と

父親は韓国人の語学留学学生。子供が出来たとわかった途端、行方不明。 

でも何でもよい。 

あの子が子供の話しをするときの顔に絶対嘘はなかった。 

10年か・・・・・・・・・月日が経つのがこんなに早く、こんなことがおこるとは。 

子供を見に家に買えるときの顔。

子供の話しをするとき。

すでに親ばか状態。

・久しぶりに日本レストランでご飯食べるか？ 

「ダディーあの店はタカイダヨ。ラインがすきディバ。」

・フィリピン料理にするの？

「ヒンディ！セブンイレブンイあるダヨ。 」

昔の生活が、全て戻された。 

久しぶりに焼肉を食べに出掛け、食事をしながら

ダディー酒飲むだめな。 

ご飯食べるな。 

ちゃんと寝るするダヨ。 

アーア

神様ありがとう。