フィリピンりぱぶりっく狂笑国

フィリピンらしく
フィリピンでも
フィリピンだから

まだまだ生産国にはなれない

2024-08-07 | フィリピン

フィリピン統計局(PSA)は15歳以上の11,028世帯、33,161人を対象に6月8日から28日までの18日間にデータ収集した調査では2024年6月現在、合計162万人のフィリピン人が失業した状態にある。

PSAの6月の労働調査によると、フィリピンの雇用率は96.9%に上昇し、これは5,028万人に相当する。

失業率は3.1%に低下したが、それでも162万人のフィリピン人が失業していることになる。

「2024年6月の失業者数は162万人で、これは、2023年6月の失業者数233万人、2024年5月の失業者数211万人を下回った。調査によると、サービス業が最も雇用者数が多く、国の労働者の58.7%を占めている。一方、農業は19.6%、工業は19%である。  

 

不完全雇用の増加

雇用の増加にもかかわらず、不完全雇用も5月の9.9%から6月には12.1%に増加した。

「2024年6月の雇用者数5,028万人のうち608万人が、現在の仕事の労働時間を増やしたい、あるいはさらに仕事を増やしたい、あるいは労働時間の長い新しい仕事に就きたいと回答している。雇用ブームを考えればこれは普通のことであり、以前の調査でも同じ傾向が見られた。フィリピンでは就職した人全員が完全雇用されているわけではなく、依然としてEND或いは、派遣従事者が多い。

フルタイムで働く人もいれば、40時間未満しか働かない人もいる。

2024年6月の雇用者数の63.8%が給与所得者であり、27%が従業員を持たない自営業者である。また、家族経営の農場や事業所での雇用者は1.7%である。

フィリピンでは、現在派遣業者の雇用に関して、6ヶ月以上同一企業へ勤務した場合、正社員雇用として昇格しなくてはいけないが、請負派遣制度を利用した派遣工を使う企業があとをたたない。さらに、外資系の進出企業はフィリピン労働法で労働者の解雇などの難易度もあり正規雇用をせず派遣工雇用が相変わらず多いことも失業率改善が行われない原因とも考えられる。

コロナ禍当時、またカリフォルニアの停電、材料不足の影響で注残を多く抱えていた企業は、2023年度残業を行い不足品供給を行ったが、ウクライナとロシアの戦争が長期化した影響による市場流通の悪化等で生産を見合わせたり、生産時間の縮小など影響が出ている。

フィリピン経済を支える大黒柱は、海外出稼ぎ労働者からの本国送金である。経済成長の牽引役である個人消費拡大を支えているのは、出稼ぎ労働者からの送金であり、また、貿易赤字を相殺し経常収支 赤字拡大を食い止めているのも、出稼ぎ労働者からの本国送金と言われる。つまり、フィリピン経済は「出稼ぎ 労働者からの送金に依存する経済」と言われる状態である。

フィリピンは、タイやベトナム、マレーシア、インドネシアほどの大規模な輸出産業の集積がないために雇用環境が悪く、海外出稼ぎ 労働者が多い。したがって雇用しても基本は海外就労を目的とするものが多く、人材が海外流出し国内産業が空洞化してしまう傾向が強い。

これを 防ぐには、FDI(海外直接投資)を促進し国内雇用を増やす必要があり、P E Z Aなどを軸に外資系を進出させるなど率先した策を講じているが、中間管理者の能力がアセアン諸国の中では最も低く、品質を上げるための本国からの人材派遣等による経費が高騰している傾向がつよい。

フィリピンの物価の異常な高さ。一例を挙げるとホテルや外食の食事代。円安の影響とはいえ、アセアンではシンガポールを除き、ホテル代の高さと食事代の高さは目を見張るものがある。そして賃貸契約の場合には年間5%の賃貸料アップをはじめ、様々な賃貸量が高いことも進出企業が躊躇してしまう要因とも考えられる。

 

近年、フィリピンは、ベトナムに輸出額で抜かれている。

フィリピンへの FDI が少ない主な原因は、インフラの脆弱さが挙げられる。電力価格の高さや流通インフラの不足、交通渋滞の激しさなどが外国投資家に問題視されている。

政府の大規模なインフラ整備や投資関連法改正などが実施され、投資環境は改善に向かう兆しが見られるが、フィリピン国内での資材の現地調達の多くが輸入品であり、フィリピン国内生産資材が極端に少ないことから、資材の輸入調達によりコストダウンが図れない。

フィリピンの大きな強みは、少子高齢化の兆しが見えるタイなどに比べると圧倒的に若年層労働人口が多いことである。今後、政権が堅実な政治運営で投資家の信認を維持しつつ FDI 誘致を促進し雇用拡大を図れるかが中長期的に維持されるかどうかについては、進出企業の税制の緩和を始めまだまだ不確実な面もある。

FDIの1番の課題である労働賃金については、近年度々昇給が行われている。工員の生産能力に関しても、アセアンの数値と比較すると、決して安い国ではなくなってきている。

フィリピン人は勤勉と言われるが、実際の勤怠率は決して良くない。派遣業者の工員が正社員へ昇格した途端、欠勤率が高くなるなどの影響がある。

このような観点から、.堅調に推移するフィリピン経済と言われるが、フィリピンの産業構成比をみると、サービス業がGDPの半分以上を占めており、次いで工業・建設業が全体の約3割とも言われ、半数を占めるサービス業の不安定な雇用環境から失業改善が図れていない。

 
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